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江戸の川柳 雛祭り旦那どこぞへ行きなさい 柄井川柳の誹風柳多留五篇③

 豪華なひな飾りはなくとも、行事を楽しみに人々は生きていた。ひな祭りは女の人の楽しみの一つ。
 江戸時代の名もなき人々が五七五で創り、柄井川柳が選んだ「誹風柳多留はいふうやなぎたる五篇」の古川柳紹介。
 読みやすい表記にしたものの次に、記載番号と原本の表記、七七の前句を記す。
 自己流の意訳を載せているものもあり、七七のコメントもつけているものもある。



四五両のおこわを息子夕べ食い

313 四五両のおこわをむす子夕べくい  だましこそすれだましこそすれ

 「だましこそすれ」で、だますものは何? 
おっ、美人局つつもたせだ。エッチすると男に言って、だまして金をまきあげる。
 浮気をしたら殺される代わりに五両出せば助かった江戸時代。色仕掛けで息子がだまされ、四五両取られてしまった。
 「おこわ」はもち米を蒸したもので「強飯」と書く。「おーっ恐」のダジャレともなっている。食べたおこわが四五両もした。食べたのはおこわじゃないよ。

おお恐い昨日の「おこわ」高すぎる
エッチの代償親からもらう


 

雛祭ひなまつ旦那だんなどこぞへ行きなさい

370 雛祭ひなまつ旦那だんなどこぞへ行きなさい  たのしみな事たのしみな事

 ひな祭りは女の人にとっては「楽しみ(たのしみな事)」なので、女の人が集まれば、じゃまなダンナは「どっかへ行きなさい」と追いやられる。女たちの女子会が始まる。

女には男にはない楽しみが
小さな幸せどこにでもある



股ぐらをぱっかり開けてこれが勝ち

401 またぐらをぱつかりぱっかり明けてこれかち  けつこふけっこうな事けつこふけっこうな事

 昔の女の人は腰巻きをしていた。下着は布をくるっと巻いているだけ。腰巻きがまくれると陰部は丸出し。賭場で女の人が立て膝をすれば、股ぐらがぱっかりと見える。これは「けっこうなこと(けつこふな事)」だと男たちが浮かれて見ているうちにバクチで有り金を全部巻き上げられてしまったという句。 



妹の先へ片付く気の毒さ

478 妹のきへかたづく気のどくさ  りつぱりけりりつぱりけり

 前句の「立派(りつぱ成りけり)」は姉と妹どちらのことだろう。妹が姉より先に結婚した。それを外野は気の毒なことだといっている。 



 タイトル画像は、曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」より、犬村大角だいかく礼儀まさのり。父に化けた化猫の妖怪がいる家を出て一人暮らしている図。後に犬飼現八と妻の助けで父の敵の化猫を討つ。「礼」の玉を持つ八犬士の一人。

犬村大角


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