こんにちは、蜷川実花事務所ラッキースター代表の金谷です。 僕は蜷川実花が映画『さくらん』(2007年)を監督するすこし前から一緒に働いています。その後美術館での個展や、映画『ヘルタースケルター』『ダイナー』『人間失格〜太宰治と3人の女たち〜』Netflixドラマ『Followers』をともにつくってきました。 ここ最近は大規模な展覧会のやりくりをしています。
かつて蜷川幸雄さんがこう言った。 「自分の評価は自分でできるようになれ。 舞台の幕が開くと様々な評判が押し寄せてくる。 評論家の無責任なもの、お客さんのストレートなもの様々だ。 時に自分で思っている以上の良い評判になったり、 的はずれな批評もでてくる。 そういったものに惑わされないように、 舞台稽古初日(本番直前のリハーサル)で自己採点を行うようにしている」 自分の評価を正しく自分自身で行うのは、本当に難しいことですよね。 アーティスト、俳優、世界に自分の名前で
「コミュニケーションは努力だよ、だから自分から手を伸ばして相手の手を握りに行かなきゃいけないよ」演出家蜷川幸雄さんは、かなりシャイだったと自他共に認めていた方でした。 地位や名声、ある種の権威がついて来ると、人とのコミュニケーションはさらに大変になってきます。相手も緊張しますし。 蜷川幸雄さんは、人と話すときは、「勝手についてきてる色々な権威を自分から脱ぎ、同じ地平に立っていることを示さないといけない」とおっしゃっていました。 「俺だって緊張するんだよ笑」「例えば誰かと
映画ホリック xxxHOLiCから遡る事、ちょうど10年前の2012年、ヘルタースケルターが公開された。 蜷川実花に出会った時、 「私についてきたらひとりじゃ見られない景色をみせるよ、一緒に世界にいこう」 と言われた。 なんかおもしろい事言う人だな、と思った。 個展、写真の撮影、映画の撮影、映画祭で海外にもたくさん行った。 20年近く前、初めて行ったニューヨーク、僕は窓のない狭いホテルに泊まって、近くのピザ屋さんでお昼ごはんを食べていた。 昨年パリに行ったときは、素
蜷川幸雄さんは演出家として駆け出しの頃からキャスティングや演出について、自分で自分を小さな枠に押し込めなかったと仰っていました。 その時の様々な状況(演出家としてのポジション、予算、会場などなど)に対して、やれることのボーダーラインを作らずに、 「実現できたら面白いのになあ」 と口に出してみた、と。 「最初から夢の歩幅は大きかったんだよ」と。 「夢の歩幅」ってかっこいいですよね。速攻でパクろうと思いました。 蜷川実花も「夢の歩幅」が大きいというか、例えば映画の企画が決
蜷川幸雄さんが「やくざの手法だ」と仰っていた言葉です。 一見被害者のような感じで近寄ってくるのですが、実は加害者である、という話です。 「あなたのせいで、こんなにつらい思いをしています」 被害者の顔でやってくるのですが、冷静に話を聞いてみると実は加害者はあなたでは、、、となることが。 幸雄さんがあるお芝居の稽古で、 「他者や状況を否定することで自分を保とうするインテリ崩れがいるだろう、そういう人間が発するように話せ」という言葉で演出をつけていたことがあります。 僕
「物を作っていくことは労働だ。稽古場はファクトリーだ」 これは蜷川幸雄さんが稽古場の見学会でお客さんに伝えた言葉です。 芸能、芸術の世界って華やかに見えるかもしれませんが、ちっちゃな町工場と同じでみんなでコツコツと製品(作品)を作っている、表に出ている俳優、完成された作品の後ろにはたくさんのスタッフの労働がある、というお話です。 今日発表された映画『ホリック xxxHOLiC』は10年掛けてコツコツつくってきました。 途中本当にいろいろなことがありました。 蜷川実花、
蜷川実花監督映画『さくらん』は2007年に公開されました。 その少し後のときのお話をします。 映画は、企画→開発→撮影→編集→完成→宣伝→公開となるのですが、 10本企画して1〜2本公開されたらすごく良いかな、というものなんです。 撮影直前になくなる、完成したのに公開されない(劇場配給されない)、公開がきまっても、例えばコロナウイルスの影響でしっかり公開されない、など。 本当に成立が厳しいものです。 そして公開されても黒字になるのはほとんどない(10本中1〜2本ぐらい
蜷川実花のスランプ 僕は蜷川実花のスランプ、 何度かあったかもしれないのですが、はっきりと蜷川が口に出したのは一度だけだと記憶しています。 蜷川は2001年に木村伊兵衛写真賞という写真界の芥川賞と呼ばれる賞を受賞し、日本国内の主要な写真賞は全て受賞しました。 (写真ひとつぼ展グランプリ、キヤノン写真新世紀優秀賞、コニカ写真奨励賞、木村伊兵衛写真賞) そして、2004年11月に現代美術ギャラリーの小山登美夫ギャラリーで個展も開催し、写真家としての評価は日に日に高まり、もの
これは蜷川幸雄さんが稽古場でよく仰っていた言葉です。 舞台の上では、演出、演技が進化すれば見え方が変わるので、 それにあわせて今まで良かったものが明日はだめになることもある、ということだと思います。 蜷川実花と働いていると昨日までOKだったものが今日NGになる、ということが度々あります。 で、僕は「昨日OKって言ったのに、もう進めてしまったよ、変更するの大変だなあ(泣)」という気持ちが、一瞬芽生えてしまうことがもちろんあります笑 ただ、『蜷川実花』が見えている世界の広