どうする、攻めの広報。 事業貢献したいし、社会課題だって解決したい。
音声プラットフォームを開発・運営するVoicyで広報をしているこいでです。
前回の記事、おかげさまで想像以上の方に読んでいただき、すこしばかり驚いています。実は、PRについて発信すること、これまであまりしてこなかったんですよね。自分のために書いて、ちょっぴりだれかの参考になって、新しい出会いにつながって。アウトプット最高やん!と当たり前のことに気づかされました。
noteを書くことで得られた感動と同時に、きっとVoicyもそんな連鎖を生んでいる存在なはず、と想像して発信者の気持ちをちょっぴり体験。というわけで、この機会に棚卸しとして、上長や社内のみんなと模索してきたことを振り返る記事、第二弾です。ゆるっとお付き合いいただけたらうれしいです。
盤石な土台づくりをしたら、次はPUSHがしたい
土台づくりが盤石な状態なら、自分たちからの一貫性のある発信体制が整います。PULLのメディア掲載でも、もちろんすべてとは言えませんが、戦略から乖離ない内容となる可能性が高いです。実際にVoicyでは、ニュースリリースなどの発信とメディアとのコミュニケーションを通じて、オーガニック含めたメディア露出の6割以上で、訴求項目にあてはまる内容の掲載が実現しています。はい、がんばっております。笑
①そもそも、どうしてメディア掲載がほしいんだっけ?
根本的なところも整理しておきたいですよね。
「PESOモデル」と言われる専門用語、ご存知の方も多いと思います。
Paid Media(広告)→知ってもらう
Earned Media(パブリシティ=メディア掲載)→お墨付きをもらう
Shared Media(生活者によるSNS)→口コミで応援してもらう
Owned Media(企業サイトや公式SNS)→理解してもらう
媒体を通じたコミュニケーションを大きく4つに分けたとき、それぞれの役割は上のようなイメージです。超ざっくり。自分たちの想いを届けたいと思うと、つい熱いラブレターを書きたくなってしまう、けど一方的ではないコミュニケーションだからこそ受け入れられるようになるものだよね。とよく言われている気がします。笑 そこでひとつの鍵となるのが「Earned Media」、いわゆるメディア掲載です。
なぜなら、すでに信頼を獲得している第三者からのお墨付きだから。
最近はメディアという定義も拡張され、“信頼を獲得している第三者”の幅も広がっている実感があります。メディア掲載という「Earned Media」だけに重きを置く必要はないかもしれません。そうはいっても、現代の情報社会のなかでメディアが多くの信頼を得ていることは、それぞれ差はあれど事実だと思います。
聞き入れてくれる相手が多数いるメディアに「音声市場にいま注目が集まっていて、Voicyが成長中で期待されているよ」と書いてもらえたら、記事に触れた人に「そうなんだ」と思ってもらえる可能性が高まります。悲しいかな、自分たちで同じことを言っても「自分で言ってるだけじゃん」となってしまいがちですからね。
もちろん、たった1回ではその効果を得にくいと思います。なぜなら、人は500回言われないと本当の意味で理解をしないんだとか。PESO全体で、認知から理解までトータルでどう届けていくかを考えられるとよさそうです◎
②“◯◯といえば、Voicy”という想起
前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ本題に。
土台をつくったら、ぬかるまないようにメンテナンスしつつ、起爆剤を用意したいわけです。できれば、消えてしまう打ち上げ花火よりも山脈にしたくて、富士山だったりエベレストを狙いたいぜという。しかし、実際にヤマがつくれるかは、人々との対話ありき。手数を打って探りながら、ヤマを目指したいところ。
では、目指すヤマでなにを狙うのか。PRで担うミッションや実現したいパーセプションのために、というのは大前提。
そのうえで、“◯◯といえば、Voicyだよね”と思ってもらえるような想起を得て、その想起を増やしていくことが、実現したいパーセプションに、そして事業貢献へつながっていくのではと考えました。将来的には、想起自体も土台に組み込んでいけるとよさそう◎
③HOWとして、メディア掲載やSNSシェアを逆算する
“◯◯といえば、Voicy”という想起のための手段、いわゆる戦術として、PESOのなかでもEarned MediaとShared Mediaを逆算した施策に取り組むことにしました。
要は、PR施策を通じたメディア掲載とSNSシェアの獲得を目指そうということです。(なお、VoicyではPaid Media(広告)にはほとんど取り組んでおらず、フェーズや音声のPUGCコンテンツとの相性を踏まえると優先順位が低いと、現時点では判断しています。)
そこで、今年取り組んだ2つの施策について振り返ってみます。
国際女性デー #完璧じゃないけどはじめたい
3月8日の国際女性デーにあわせて、Voicy上の音声特集「#完璧じゃないけどはじめたい」を起案・実行しました。設けたトークテーマについてVoicyパーソナリティが独自の視点で語る放送を集めたり、トークテーマにあわせた3つの特別対談を企画して、プラットフォームが主体となって取り組みました。
なぜいま?が必要。そこで、どんな想起を目指す?
これまで比較的男性ユーザーの割合が多かったVoicyですが、ライフスタイルにまつわる発信をする方を中心に女性パーソナリティが増え、女性リスナーも増えています。そういった背景もあり、国際女性デーに焦点を当てました。
そう、ポイントのひとつは、時期もの。季節性だったり時流であったり、いま取り組む理由がなければメディアにとって取り上げる必要性がありません。よっぽど話題性に自信がないかぎりは、抑えておきたいところ。(最大化するために打ち出すタイミングをあわせますが、とってつけてやるのは本質的ではないですね💡)
過去のトークテーマの実績から感じていた音声と社会課題解決の相性の良さを、USP(Unique Selling Proposition=独自の強み)として活かすことにしました。これは、将来的にtoBにもつながることまで想定しています。
もちろん、実態とかけ離れた起案は意味がありません。虚像ではなく、現状のUSPと、その延長で定着・加速させたい想起を意識したい。
実際、Voicyで活躍する女性パーソナリティのみなさん、すごくかっこいいんです。そんなふうに活躍する女性を応援したいし、安心して発信できる場所をつくりたい。率直に、その想いがあることが大前提です🌼
社内の理解・賛同が不可欠
そうは言っても、いわゆるCSRにスタートアップがリソースを割けるんだっけ問題。とか、デリケートな社会課題にあえて取り組むんだっけリスキーじゃないか。ええ、わかっていますとも…!
それに対するポイントは、大きく2つだと考えました。
CSV(Creating Shared Value)経営のマインドを持つ
企画意図を丁寧に説明をする
2022年夏に、Voicyは“声で、未来を変える。”というコーポレートメッセージを掲げました。音声で、社会を豊かにすることを目指しているんです。施策に紐づけてもう一歩噛み砕くと、事業・経済活動を通じて、社会課題解決に寄与することへの宣言にもつながっているんです。
CSRは企業の社会的責任自体が目的ですが、CSVは社会問題の解決が経済的な利益につながるという概念。中長期的な視点で、事業貢献につなげるためのCSVとして取り組むべきPR施策だとマインドセットしました。
そのうえで、全社MTGでメンバーに向けて、企画意図を時間のかぎり説明しました。背景、取り組む意味、込めている想い、目指せ全員広報!でお願いしたいこと。その説明のまえから、ひとりずつ賛同を得て、仲間を増やすためのアクションをおこなったり。事業会社PR、特にスタートアップでは大事なポイントですよね🤝
具体的におこなった戦術は?
おこなったすべてに触れるとボリューミーになるので、PR視点で重要なものに絞ります。振り返ってみたところ、肝心なハッシュタグ候補ができてから、告知まで1か月でした。怒涛。巻き込まれてくれたみんな、あらためてありがとう。パーソナリティのみなさんにも感謝しております。
共感性の高いハッシュタグをつくることでシェアの可能性を高める
Voicyの外でもつぶやきたくなる・背伸びしていない等身大の言葉選び
実施前にジェンダー平等をテーマにした意識調査をおこなう
公式SNS、自分自身、メンバーそれぞれが積極的に投稿&いいね♡する
小手先の技よりも企画の根幹に成否はかかっているので、ハッシュタグとキービジュアルは重要。初めて社外の方に特設サイトをつくってもらったんですが、タイトなスケジュールのなか想いを汲み取ってくださって、メディアの方にもほめてもらえるビジュアルができました✨
“ジェンダー平等への行動、5人にひとりが躊躇した経験あり”だった事前調査。パーソナリティそれぞれの切り口でジェンダー平等や女性活躍について語られた音声特集の総再生時間は3万時間を超え、放送を聴いた総リスナー15万人超とトークテーマを放送した200以上のチャンネルをもつパーソナリティがジェンダー平等と向き合う現象が生まれました。さらには、音声特集の特別対談を聴いたリスナーの8割が「ジェンダー平等のために意識して行動したい」と意識変容した結果に。
この施策では、ユーザーを中心にSNSでシェアする動きにとどまりましたが、事後の調査結果からも、Voicyで生まれた現象を通じて音声の魅力が届いていることが実感できました。こうした施策は、継続を通じて結果が出ると信じて、積み上げていく一定の覚悟も必要な気がします。
この施策については、以前のnoteでも触れたのでよかったら。
NewsPicks × 毎日新聞 話題にしていただけて感激です🌼
新社会人応援 #もし今私が新社会人なら
この方程式でおこなった、切り口の異なるPR施策がこちら。
入社式シーズンに焦点をあて、これからの社会を豊かにするために、新社会人へエールを送り、ともに未来をつくっていこうという想いを込めた施策です。
「新社会人におすすめの本」という当たり前に音声の選択肢があってもよいはずという考えのもと、調査や特設サイトであえて書籍と音声を並列にしてみました。PRがゴールとして置いている、目指すパーセプションの手前で実現したい、スモールパーセプションチェンジですね。ハードル高すぎて全然スモールじゃない。笑
ユーザー向けのアンケート調査にもかかわらず、メディアで取り上げていただくことができました。これは、書籍を並列にしたからこそ実現したんだと思います。あくまで世の中の流れと乖離がないなかで、新しいニュースはなにかを打ち出していくことが、Howであるメディア掲載ではポイントになってくるんだと感じています。
ぜんぜん簡単じゃない
この2本を取り組んでいるあいだも、新機能ローンチに向けたPRや取材対応など並行していたりするわけで、予算がない。PRのための開発はむずかしい。リソースが足りない。というか時間が足りない!!!と叫びたいことは山ほど。
肝に銘じないといけないなと思います。
大変だけど!簡単じゃないけど!
もちろん、できることならホームランが打ちたいぜ!
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…めちゃくちゃ等身大なnoteになったと思いますが、いかがでしょうか。自分への戒めと整理のために書きましたが、なにかお役に立てることがあればうれしいです。同じ組織にいなくても、もがいている仲間がいると感じてもらえたら🤝
音声のPR活用しています。最近はだいぶサボっていますが…
Voicyはアーカイブを大切にしています。既存の放送も色褪せていないものばかりなので、よかったら聴いてみてください♬