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#質問のパワーとは 大坂なおみさんは超クールで超クレバー!

2020年全米オープンで優勝を果たした大坂なおみさん。「7枚のマスク」が話題になった大会でもありました。

インタビューにて

優勝を決めた後のインタビューで、「7枚のマスクに込めた思い」を聞かれると、大坂さんは、次のように返しました。

「あなたが受け取ったメッセージは何でしたか?メッセージをあなた方がどのように受け取ったかに興味があります。話し合いが起きれば良いと。USオープン会場の外で起きていることについては詳しくないですが、より多くの人がこのことを語る(きっかけになる)といいと思います」と。


このインタビューのやり取りに、思わず鳥肌が立つほどの感動を覚えました。『その通りだよ!なおみ!あなたは何てクレバーなの!』と内心で絶叫(笑)。


その一方で、インタビュアーの「質問」に、ガッカリしました。

「7枚のマスクに込めた思いとはどのようなものか」

なぜ、こんな質問をしたのでしょうか。

なぜ、こうも簡単に他人から「正解」を得ようとするのでしょうか?

大坂さんの行動、その背景を、たった一つの質問で、短いインタビューで、語ることができるでしょうか?

インタビュアーは、質問する前に、自分で考えたのでしょうか?

大坂さんが語ることが「正解」なのでしょうか?

大坂さんの行動に模範解答は必要でしょうか?


インタビューと教育の関係

私が、このインタビュアーの姿勢と重ね合わせたのは、まさに日本の従来型の国語教育の姿勢です。

教師が「発問」と「板書」の技術を磨き、教師の解釈へ生徒を誘導する。「◯◯はどういうことだろう?」と訊いておきながら、生徒が想定と違う返しをすると「ちょっと違うなー、ハイ、次の人は」という授業。教師の解釈が「正解」の授業。

これを繰り返していくと、生徒は「正解」があると信じ、テストや問題集に取り組むことで、正解を効率よく求めるだけの「考えない人」に成長します。

先生の言うこと、問題集に書いてあること、テストの模範解答、塾の先生が言うことが「正解」。それ以外に価値や意味を感じ取れなくなるのです。


「正解」のない問いに答える力

大坂なおみさんは「考える人」です。だからこそ、皆に考えて欲しいと思って行動し、あのように答えたのだと思います。正解が何かなど一概に言えない多様な価値がある世界で、多くの人が考えれば、きっと何か新しい意味や価値を生み出せると考えたのではないでしょうか。インタビュアーの功績は、大坂さんの見事な切り返しを生む質問をしたことかもしれません。

差別をしてはいけないというのは「正解」です。でも「正解」を覚えるだけでは「意味」がなく、「価値」の共有ができないのが現実です。

「意味」や「価値」を生み出し、世界を変えていく。その姿勢を貫いた大坂なおみさんは超クールで超クレバーです。「考える人」が「質問」のパワーを使うことの凄さ、素晴らしさを見せてくれました。

消費ではなく生産を

「正解」を求める姿勢は、ただの情報の消費者に過ぎません。私は国語の授業を通して「質問」や読み書きのスキルを教え、「意味」や「価値」をつくることができる「生産者」を育てたい。(新指導要領も、その方向に舵を切っています。)

大坂なおみさんは、まさに「生産者」なのだ!と思うのです。


最後までお読みくださいましてありがとうございました。「意味」や「価値」をつくりだすリーディング・ワークショップの授業に注目していただけたら嬉しいです。


質問のパワーについては以下の書籍が参考になります。よかったらご覧ください。

「たった一つを変えるだけ クラスも教師も自立する『質問づくり』」新評論 


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