働くにむけてのスイッチが入ったしあわせな顔
大学にいってもそこにはなかったしあわせ
「友だちがもっているようなゲームは買ってもらえなかったけど、古いパソコンでできることで一日楽しめていた。」
育った環境が決して恵まれているわけではなかった少年は、とりあえずてっぺんとよばれている関東の有名国立大学に合格すれば見える景色も変わるのではないかと思って、塾にも通うことなく勉強に打ち込んで大学に入学したそうです。
「そこには、恵まれた人しかいなくて、なんだか卑屈さを感じて学校にいけなくなった。」
彼は同学年となった人々や先生方と繋がることなく、孤独になっていったそうです。
北九州市に戻り、家から出られない生活が始まる
北九州市に戻った彼を待っていたのは、好奇な目でみられているのではないかという怖さでした。女手一つで育ててくれた母親に恩返しをしたいと思いつつも社会人として働かなければならないと思う一方で、自分には何ができるのかわからない。むしろ何もできないのではないか。。。
自分を肯定することもできず、嬉しいことも悲しいこととも無縁な生活が1年ほどすぎ、とうとう母親から毎日「家から出てみたらどうか」という話がでてきて、やむなく公共の施設に相談に行くことになりました。
試しに3ヵ月通ってみよう
株式会社夢をかなえる研究所のゆめかなITスクールを公共施設より紹介されて訪れた彼は、プログラミングエンジニアコースでAIのことを学んでいるヤングケアラーの若者の存在を知りました。おかれている状況は違いますが自分の道を切り開きたいと頑張っているヤングケアラーの若者のことを聞き、心にひっかかるものが2つあったようです。
まず一つは、小さいころからパソコンが好きで学校にいってもつまらないと思っていた講師の話。
もう一つは、自分には好きなことやできることがないと思っていたけれどどうやらそれは違うということがわかってきたこと。
「このスクールのプロジェクトは3社が協力して行っている講座だけど、無料ではない。3ヵ月試しに通ってみてエンジニアになるのも悪くないと思ったら、その時は家族と相談して受講生になってみたらどうか。」
私は、彼に提案しました。彼の特性に気が付いたことと北九州市にとっても日本にとっても貴重な人財であることに気が付いたからです。
「学んで仕事にしたい」しあわせな顔と本来の好奇心がもどってきた
「母に話をしたんです。ここで学んでネットワークエンジニアの仕事をしたいって。」
現役のネットワークエンジニアが講師となっているネットワークエンジニア講座、ネットワークの機材を触りながら実技と知識を学んでいく中で自分のしあわせスイッチをみつけることができたのでしょう。もともと古いパソコンを改造したり、何かものを組み立てることも好きだったことを思い出した彼は顔つきだけではなく、おしゃれにも気を配るようになりました。
変化は彼だけではありません。ネットワークエンジニアを育成している講師にも大きな変化がありました。
Well-Beingな事業を広げることで、自分もしあわせで笑顔になれる
社会がよい状態であれば、もっと活躍できる人も増える。社会課題を解決するために一社だけではなく複数の企業や団体や個人も協働で事業に関われるようにすることそれを創りだすのが私の仕事です。
はたらいていて笑顔になれた瞬間は、そこに関わる人が「自分がここにいてよかったよ」と笑顔になってくれた時です。