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【読書】ネコだけどネズミと友達になれますか?

本日の一冊
「チェシャーチーズ亭のネコ」
カーメン・アグラ・ディーディ&ランダル・ライト(著)バリー・モーザー(絵)山田順子(訳)
東京創元社

「けど、ネズミを喰わないんなら、なんでチェシャーチーズ亭に来たんだい? なにをしようと——?」

 のらネコとして過酷な日々を生き抜いてきたスキリーは内緒にしていますが、実はチーズが大好物なのです。
 そんなある日、スキリーは英国一のチーズだと評判の〈チェシャーチーズ亭〉でネズミ捕りのネコを探しているという話を耳にします。
 そこで出会った賢すぎるネズミ、ピップと「捕まえたネズミをこっそり逃す代わりに、厳重に保管されているチーズを提供する」という取り引きをします。
 そんな二匹にいくつもの困難が到来して——。
 ネコとネズミ、相容れない種族であるはずのふたりは乗り越えられるのか。

   *

 不思議なもので、読んでいるあいだじゅう、ちゃんとネコの目線になっていました。
 高くて見ることのできないテーブルの上、登りにくい梯子、開けられないドア。
 ネズミよりもチーズが好きな変わり者のネコと物知りで読み書きのできるネズミは互いに辛い過去を抱えています。
 さらにはチェシャーチーズ亭に潜む謎の住人、ネズミ嫌いの給仕係アデル、凶暴なノラねこ、ピンチ、常連客である大作家ディケンズといった個性的な面々。
 チェシャーチーズ亭を舞台にみなを巻き込んで起こる出来事にだんだんと引き込まれていき、少しずつ読んでいたのにラストの4分の1は一気に読んでしまいました。

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