見出し画像

「インディーゲームを作るゲーム」を作ろうと思ったら、コンセプトで詰んでた話

現在Steam向けに【孤独なインディーゲーム開発者の一生】というゲームを作っています。
(記事のタイトルでは没になった感ありますが、鋭意制作中で面白い物が出来そうなので、この機会に是非ウィッシュリスト登録お願いします!🙇)


このゲームは
「せっかく作るのだから売れたい」
「もっと言えば売れるゲームだけ作りたい」
「だから、作り始める前に売れる可能性があるか知りたい」
という感じで、プレトタイプを作る事から始めました。
(プレトタイプとはなんぞや?みたいな話は以下を参照の事)


なので実際に遊んだ時の「面白い」よりもまずパッと見た時の「面白そう」という事だけを意識して、ゲームのアイディアを考えました。
と言っても、自分が好きなモノかつ人気ジャンルを組み合わせるというわりと普通の方法で考えていて、僕は「お金を稼ぐゲーム」が好きだったので、目的やシステムとしてはそこをメインに据えました。


ただ、お金を稼ぐゲームは自体は既に大量にあるので、面白そうと思ってもらいやすくするには目新しさを出し差別化する必要がありました。

そこで自分が好きなジャンルの一つである、「色々な意味で辛いゲーム」を組み合わせてみようと考えました。


お金を稼ぐ事で辛いことと言えば、インディーゲーム開発でしょ(偏見)という事で、思い付いたのがゲーム発展途上国の個人開発版みたいなもの。


しかも自分が調べた限りだと、インディーゲームを題材にしたゲームはシュミレーションというよりはストーリー系が多く、シュミレーション系でもチームや企業を運営するタイプ(海外だとインディーでもそっちの形態が多いから?)だけだったので、差別化という意味ではピッタリでした。

さらにチームや友達を作らず、一人っきりで作るというのも辛さに拍車をかけられて良さそう(+開発規模も抑えられそう)ですし、寿命というタイムリミットがある事でより焦燥感のような辛さも出せそうという相性の良さも感じられました。


そして試しに作ったスクショが↓
ちなみにこの時点はプログラムを1文字も書いてませんし、仕様が決まって無いどころかスクショに映ってる各数字が何を表してるのかすら自分でも分かってません。
ようは存在しない漫画の1コマならぬ存在しないゲームの1画面という感じ。

「最低でも200RT、出来れば500RT、でもまぁ最初のプレトタイプだしそんなにいかないでしょ」ぐらいに思ってたら、なんとありがたい事に600RTをこえて、めでたく開発決定となりました。


企画段階でコンセプトが矛盾してる事に気付く

さて、開発決定したからには仕様をちゃんと考えて「面白い」ゲームにする必要があるのですが、考え始めてすぐにコンセプトが矛盾してる事に気付きました。

というのも、自分が好きな「お金を稼ぐゲーム」というのは全部、
お金を稼ぐ→それを元にもっと稼ぐ→さらに元にしてもっともっと稼ぐ
というサイクルで成り立っているので、小額であっても最初から簡単に稼げるのが普通です。(だからこそ現実と違って面白い)

しかし、このゲームで一番辛い点、つまりコンセプトの中心は
「頑張ってるのにちょっとやそっとじゃ生活費すら稼げない」
という所なので、少なくとも最初の方は稼げてはいけないのです。

ギャンブルで勝てなければ赤字だったぜ……!

ここを変えて最初からある程度稼げてしまうと、ゲームシステムとしては面白くとも、ただの売れっ子開発者で辛さが無くなってしまいます。
まぁ、売れたからこそ受ける妬み嫉み、前作のヒットを越えないとみたいな葛藤とかの辛さは表現出来そうな気はしましたが、それはプレトタイプで試したものと変わってしまうので採用できませんでした。


という感じで、コンセプト段階で詰んでいる事が判明したのですが、ここで諦めるのも勿体ないので、コンセプト自体を変えて違う方向性でいけないかと模索しました。


どのように変えたのか

まず、前提としてプレトタイプで公開してる事は基本変えられません。
なぜならどの要素(もしくは組み合わせ)のおかげで反響があったかは特定出来ない
からです。
例えば見た目の雰囲気や個人で開発する事、お金が稼げなくて辛い事や寿命に制限があることなどです。

ただ、逆に言えば公開してない事は変更や追加の余地があります。
例えば具体的なゲームシステムや数値のバランスなどです。


という事で、ゲームシステム部分を考え直す事にしたのですが、僕は「お金を稼ぐゲーム」ほどじゃないですが、「育成系のゲーム」も好きで、特に寿命などのタイムリミットがあるタイプは大好物です。

ちょうど今作にも寿命制限があるので、主人公自身を育てる事に重点を置くのはどうだろうと考えました。主人公のパラメータやその成長要素自体は最初から入れるつもりだったので、そこをより前面に押し出す感じです。

ただ、バトルや冒険といった動きのある画面がなく、淡々とし過ぎて作業感が強くなり過ぎそうだなという懸念がありました。


そこから育成途中にある程度ランダムにイベントが発生し、その発生したイベントや選択肢によって能力の変動が起きるのも良さそうという発想になりました。
もともと、何度も遊べるリトライ性とランダム性が欲しかったので、そういう意味でも持って来いなシステムでした。

さすがにストーリー的にしっかりしたイベントを用意してたら何年もかかってしまうので、軽いイベントがポンポン起きるようなイメージです。


また、パラメータ的な数値だけでなく、特殊効果があるパッシブスキルを獲得できるようにしたら、さらに育成が楽しくなりそうとも思っています。


つまり「インディーゲームを作ってお金を稼ぐゲーム」ではあるんですが、そこをメインに楽しむのではなく、「インディーゲーム開発者の育成ゲーム」を楽しみながらゲームを作り、その結果としてお金が稼ぐという、システム面でのコンセプトの中心を変えた形です。


余談ですが、魅力を出すために逆の印象の物を組み合わせるというのはよく聞くので、それをさらに上回るような根幹のゲームシステムすら成り立たなそうなぐらい矛盾したコンセプトを狙って考えるのも有りかもしれないとも思いました。

もちろん、その矛盾を抱えたままゲームを面白くする必要があるので、「面白そう」が増すほど「面白い」の難易度は上がりますし、システムとシステムの矛盾(今作のはシステムとモチーフの矛盾)だと仕様考えるだけで想像を絶しそうですが……。


実際面白くなりそうか

さて話を戻すと、大事なのは本当にこれで「面白い」ゲームになるのかという事なのですが、まだまだ開発途中でなんとも言えないというのが正直な所です。

大まかな仕組みは上記のように決まっていますが、細かい仕様に関しては結構作りながら考えてる最中です。

例えばゲーム開発部分だけ考えても、

  • 能力をどれだけ細分化するのか?

  • デバイスやプラットフォームは選択出来るか?

  • ゲームジャンルはどこまで細かく選べるか?組み合わせられるか?

  • 無料ゲームは出せるか?広告や課金は?

  • アダルトゲームは?ブロックチェーン系ゲーム?

  • SNS運営?ゲームコミュニティ作成?パブリッシャー?翻訳?価格設定?割引?レビュー返信?問い合わせ対応?宣伝素材?イベント出展?プレスリリース?アップデート?エゴサ?DLC?続編?移植?

などなど、考えれば考えるほど本当どれだけでも要素を追加出来ます。
当然、これ以外にも仕事や税金、娯楽や睡眠、引っ越しやペット、健康や病気、などなど、人生における他の要素もあるので、無限とも思える選択肢があります。

もちろん、これらを思いつく限りいれて現実に近づければ面白くなるわけではありません。
出来るだけゲームとして面白くなる要素だけ抽出して、ゲームとして無駄な要素は出来る限りなくす必要があります。

しかもゲームシステムとして面白くすればいいだけではなく、コンセプトである辛さやインディーゲーム開発ゲームらしさを出す必要もあります。

そしてそれらを分かりやすく、かつ退屈しないように説明する必要まであるのです。(当然ながら実際にゲーム開発をしてない人にも分かるように)


ただ、ちゃんと作れば面白くなりそうだなという予感は出てきています。

上記の仕様も細かく検討して試していけば面白いものには出来そうという事もありますが、そもそもゲームの内容的にある程度ボリュームがないとダメですし、バランスも大事になってきます。

なので、仕様をキッチリ詰められるか、ユーザが満足出来るボリュームを作りきれるか、バランス調整を抜けなく行えるかという、時間と根気の問題だというのが現在の認識です。

とにかくやれ!! 【仕事の姿勢】


おわりに

コンセプトの矛盾については、ちょっと考えれば分かる事ですが、逆に考えなかったからこそGoサインが出たコンセプトでもあります。

なぜなら、(記事では結構あっさり書いていますが)システム面でのコンセプトの変更には結構悩んだので、もし最初から「面白い」ゲームにするために仕様もしっかり考えていたら、これはダメだと早々にボツにしていたかもしれません。

プレトタイプを先に試し、少なくとも「面白そう」ではあるという確信があったからこそ根気強く考えられたというわけです。
正直、プレトタイプ出すまでは「面白そうな気はするけど自信は全く無い」みたいな状態でしたからね。


最後に、まだまだ開発中で、ここに書いた仕様も変わる可能性も全然ありますが、きっと面白いゲームが出来ると思いますので、ウィッシュリスト登録してお待ち頂けたら幸いです!


いいなと思ったら応援しよう!