『世界は関係でできている~美しくも過激な量子論~/カルロ・ロヴェッリ著』の感想とレビュー
『世界は関係でできている~美しくも過激な量子論~/カルロ・ロヴェッリ著』読了!
ーーー・・・以下書籍レビュー・・・ーーー
➤面白さ
★★★★★+MAX
➤知識量
★★★★★
➤難解度
★★★☆☆
➤オススメ度
★★★★★
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世界的にベストセラーとなった[時間は存在しない]の著者の新書
(もちろん前著も熟読済み)
テーマは“量子論”
これだけでその予想される難解さに拒絶する人が多いと思いますが、こちらは一般の方でも十分理解できる範囲で書かれていると思います
そして何より、読み終えた人全てが、これまでの常識や直感を丸ごとひっくり返される、いや、、ひっくり返さざるを得ないような結論を突き付けられることになります
すなわち、完全に客観的で絶対的な性質(属性)を持つ物質(≒真に形而上学的な第三者視点)は、この宇宙に何一つ存在しない!と、著者は断言します
あなたという対象物を細かくすると無数の細胞になり、細胞を細かくすると様々な分子になり、分子は原子の集まりで、原子は素粒子で構成され(実際はほとんどが空間だけど)、素粒子とはいったい何のか?を量子的に説明すると、、“空”になるんです
え、、でも、、ほら!!ここに[わたし]は存在しているじゃない⁉って思いますよね?
それは、あなたが他の対象物と関係を持っているからなんですね
量子論から導き出される真実は、ある対象物の属性は、別の対象物と相互作用することで実在化し、その属性は両者の関係における文脈でのみ事実となることを示しているようです
(文脈(状況)依存的な相対情報=一人称的視点しか存在しない)
これが日本語訳版のタイトルとなっている、『世界は関係からできている』の由来です
で、さらにこの物理的事実を踏まえて、ヒトがもつ心的表象(心身問題)についての考察が続きます
曰く、私たちが普通に抱く[わたし]という概念は、実際には存在しない幻であり、心的表象(統一された自己、クオリア、時間的厚み、感情の経験)は物理現象から生み出される“過程”に過ぎないのだそう
つまり[わたし]とは、物体でも存在物でも対象物でもなく、現象だということ←(現象(過程)と存在を混同してしまう誤謬)
ただし、私たちに関係があるこの巨視的な世界においては、上記のような量子論の影響は無視できるんです
(だからこそ私たちの間違った直感でも上手く生きていける!)
なぜなら、関係する相互作用の数が多くなればなるほど確率はゼロに近づき、確率が確信となるから
(=中心極限定理)
ってことで、この本の内容が事実だったとしても、僕らの生活は今まで通り進んでいくのでご安心をw
個人的には、自分の哲学とマッチする理論だったので、この書籍を通じて人生観がさらに強化されましたね
イタリア人ならではの言い回しにも注目の一冊、是非お手に取って一読くださいな
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世界は関係でできている
~美しくも過激な量子論~
カルロ・ロヴェッリ著
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