【動きの癖を改善しよう】最も優れた効果を引き出す運動学習4つのポイントを解説
もし慢性的な肩こりを改善したいなら、余計に肩の筋肉に負担をかけている動きの癖を改善しなければなりません。
もしヒップアップしたいなら、お尻の筋肉を上手く使えるような動き方を会得しなければなりません。
身体作りにおいて、問題を根本解決していくためには、悪い動き方を修正し、正しい動き方を学習する必要があります。
これを運動学習と言います。
ここではより効率的に運動学習効果を引き出すためのポイントを、脳科学の理解を元に解説していきます。
効果的な運動学習4要素①|注意
私たちは知覚できないものは学習することができません。
そこで運動学習効果を最大化するために第一に必要なのが、「何に注意を向けるか?」です。
認知科学で言うところの注意とは、脳が情報を選択し、増幅し、その処理を深くする仕組み全てを指します。
結果的に注意によって選択された信号は増幅し、関連性がないとみなされる信号は劇的に減衰します。
だから学習者は、覚えたい運動技能や改善したい対象動作に対して、意識的に注意を向けなければなりません。
反対に、注意の方向が間違っていれば、学習は失敗する可能性が高いのです。
効果的な運動学習4要素②|能動的関与
では注意を促す為には何が必要なのでしょうか?
その答えが「能動的関与」。
能動的関与は、学習項目が脳で伝わる深さを直接反映します。
すなわち能動的に関与することで、注意、集中、処理の深さ、意識的感知がニューロン内の大波に変形するのを促し、それが前頭皮質に侵入することで、記憶形成を最大にすることが示されています。
私たちは明瞭な目標に達しようという“やる気”が十分にある場合にのみ、うまく学習することができるんですね。
効率的な学習とは、受動性を拒み、関与し、探り、能動的に仮説を生み出して、それを外の世界で自ら検証する過程が必要なのです。
効果的な運動学習4要素③|誤りフィードバック
脳が学習するのは、それが予測することと受け取ることのずれを知覚した場合に限られると考えられています。
意外性やありえなさが学習の根本的原動力なんですね。
で、その誤差信号を最大限に利用し、効果的な学習を引き出すには、その環境(指導者など)が素早く、かつ正確なフィードバックを与えなければいけません。
これは人工知能の研究からも示されている事実。
したがって、引用図書の著者も言っていたように『全てのエラー(誤り)が学習の機会である。間違いと学習という2つの言葉は事実上同義語だ。』ということです!
効果的な運動学習4要素④|定着
定着とは、ゆっくりとした、意識的でつっかえながらの処理から、高速で、無意識の自動的な熟練へと移行することを指します。
この過程には反復プロセス(練習)が必須で、脳内では、徐々に頭頂葉や前頭前野は活性化しなくなり、自動的で定型的な行動を記録する回路群(運動野や基底核や小脳など)に制御が移ります。
さてここで重要なのは睡眠の役割。
睡眠中の脳は、前日に記録した重要な出来事を再生(約20倍速)し、それを記憶のもっと効率的な区画へと徐々に転送していると考えられています。
反復練習と睡眠をないがしろにしても、効果的な運動学習を引き起こせないのは明確だと言えそうです。
まとめ&ラストメッセージ
いかがでしたでしょう?
(もし質問や相談などがあれば気軽にコメ欄に打ち込んで下さい😙)
長期的な成果を生む身体作りには、理想的な動作の再学習が必須です。
どれだけ肩を叩こうが、股関節を伸ばそうが、パキポキしようが、電気で腹筋を刺激しようが、また次の日からこれまで通りの身体の使い方をしていては、問題の根本解決は望めませんよね!?
なので、今回ご紹介した運動学習に関する知識は、全ての身体作りの土台と言えます。
加えて、パーソナルで指導者を付ける最大のメリットとも言えるでしょう。
しかしここで重要なのは、学習者側も受け身のスタンスでいてはいけないということ。
何に注意を向ければいいのかを常に自問し、積極的に自分の感覚や動作に介入していくことが求められるわけですね。
筋肉の前に脳を鍛えましょう!
では皆さんの健闘を祈っております😎
[引用図書]
脳はこうして学ぶ/スタニスラス・ドゥアンヌ著
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