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【読書日記】 10/26 実りに感謝 ~我が家のお米本のご紹介~
先ほど、童心社さんのnoteで知ったのですが、10月26日は柿の日だそうです。
柿食えば~の句が詠まれたのがこの日なのだとか。
さて、柿も実るしお米も実るありがたい秋です
ご飯にお味噌汁、それに梅干だのたらこだの佃煮だのご飯のおとも、瑞穂の国に生まれた喜びをかみしめております。
感謝を込めて、我が家の本棚から「お米・ご飯」に関する本を集めてみました
はりきりうさぎさんのホカホカごはん絵本 鎌倉書房書籍編集部
自炊を始めた学生時代に買った料理絵本。
実用、というより眺めて楽しんでいた部類です。
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イネという不思議な植物/稲垣栄洋/ちくまプリマ―親書
お米はイネの種です。
当たり前、ではあるのですが、種をあんなに何粒も何粒もお茶碗によそって食べているのか、と思うと少し不思議な気も。
お米の実り、稲穂が金色に色づくありがたくも美しい光景です。
稲穂のように私も頭を垂れたくなりますが、この光景が植物としては奇妙だよ、と稲垣先生。
何しろ、植物は種子を地面の上に落とさなければ、子孫を残すことができない。
それなのにイネは、重そうな稲穂を垂れ下がらせて、それでもなお、種子を落とそうとしないのである。
何という変わった特徴を持つ植物なのだろう。
そんな発想したこともなかったですが、言われてみると不思議です。
イネと人間、特に日本人との味わい深い係わりについて知る入門書です
香君 /上橋菜穂子/文藝春秋
こちらはファンタジー。
動植物たちは、独自のネットワークを築き、助け合って生きている。それを「香」という形で感じ取れる少女が<オアレ稲>に起きた災厄に立ち向かう物語
遥か昔、〈神郷〉から降臨した初代〈香君〉が携えてきたとされる奇跡の稲〈オアレ稲〉の力によって、多くの国を従え、繁栄を誇って来たウマール帝国。
その属国〈西カンタル藩王国〉の藩王の孫、15歳の少女アイシャは人並外れた嗅覚を持ち、植物や昆虫たちが香りで行っているコミュニケーションを〈香りの声〉のように感じながら生きていた。
祖父の失脚の後、彼女の運命は大きく変転していき、やがて、ウマール帝国を庇護する美しい活神である当代〈香君〉の元で働くことになる。
神授の稲〈オアレ稲〉によって人々は豊かな暮らしを謳歌していたが、実はこの稲には恐ろしい性質があった。
害虫はつかぬはずのオアレ稲に、あるとき不思議な虫害が発生し、この稲に過度に依存していた帝国は、凄まじい食糧危機に見舞われる。
アイシャは当代〈香君〉と共にオアレ稲の謎に挑み、人々を救おうとするのだが――。
https://books.bunshun.jp/sp/kokun
農業とは何か
<物言わぬ>動植物たちと共に生きるということはどういうことか、物語にわくわくして没頭しながらも考えさせられます。
なにしろ、<オアレ稲>がぶつぶつと不満をたたえて実りに実っている場面はちょっと怖い。
人間が調子に乗っていると手痛いしっぺがえしが来るぞ、という警告にも思えます
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おにぎりがしま/やぎたみこ/ブロンズ新社
おにぎりは、日本でコメ作りが始まった弥生時代にはすでに存在していたといわれています。
無人島にながれついたこたろうが おにぎりおにといっしょにお米(その名もオニピカリ)を作って海の塩でおにぎりを握る。
おにぎりからおにぎりおにが生まれてもっともっとお米を作る。
そのうち、人魚や天狗、やまんばたちの協力で、海の幸山の幸を得てもっともっとおいしいおにぎりに。
いろいろなおにぎりのイラストは、おいしそうなのも今一つなのもあるのですが、みんなでおにぎり食べるのって楽しいよね、と思わせてくれる絵本です
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こたろうは、おにぎりおにの協力を得て何もない無人島に田を拓き米を作っていましたが、そんなわけはなくて。
山を開墾して田を拓くところから米を作る羽目になった若者の物語が「青姫」
青姫/朝井まかて/徳間書店
時は三代将軍、島原の乱が鎮圧され、戦国動乱の時代から平時へと動いていたころ。
ある村の若者、杜宇は、武家と悶着を起こして、生まれた村を出奔することを余儀なくされます。
逃げに逃げた先で不思議な少女「満姫」と偉丈夫「朔」の二人連れに見咎められますが、「籤」によって命を拾い郷に入ることを許されます。
誰の支配も受けない山奥の隠れ里<青姫の郷>
ここでは、人々は車座になって意見を述べ、すべてが籤による天意で動くのです。
郷に暮らす資格は年貢を納めることで得る。
人々は己の芸に応じた年貢を納めることと引き換えに誰の支配も受けぬ郷の者として生きることを許されるのです
米を作れ、わらわは姫飯(ひめいい)が食べたい。
杜宇は、これまた籤で選ばれた郷の頭領・満姫の気まぐれな一言により、彼は米で年貢を納めることを申しつけられます。
いまだかつて米の作られたことのない郷で、田を拓くところから始めねばならぬ難行苦行、郷のしきたりでしか動かぬ人々は頼りになるのかならぬのか。
姫飯(ひめいい)。
要するに、今私たちが炊いて食べているご飯のこと。
それまでは蒸して食べる「強飯(こわめし)」か、米を多い水で煮た「粥」しかなかったようなのです。
二年越しの苦難が実り、稲が実り、姫飯がほかほかと炊かれ、皆でにぎりめしを食べる場面は最高です。
この摩訶不思議な<青姫の郷>の自治のあり方、民の生き方、そして青姫の郷のたどった顛末の壮絶さについては、改めて感想を綴っておきたい物語ですが、今回は「姫飯」についてのみご紹介です。
杜宇が「あんたは何の芸を持つ者だ」と問われて「吾が持つのは、農の芸だ」として語る答えが美しいのです。
陽を読み、水や風、鳥や虫とも駆け引きをする。天に問い、時に助けられ、時に凌ぎ合いながら吾は田を耕し、稲を育て、米を作る
ああ、お米を作るって本当にそういうことなんだ、実りをいただけるということはなんてありがたいこと、としみじみ思えます。
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お米の中に八十八の神様、というのは大げさでもなんでもないですね。
心を込めて「いただきます」を言いたいと思います。