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【ミュージカル】翼の創世記

 ミュージカル『翼の創世記』は、ライト兄弟(と彼らを支えた妹)の物語です。2024年12月6日(金)に鑑賞した記録を残します。12月25日(水)まで上演しています。

■ライト兄弟について

 ウィルバー・ライト(1867~1912)と、オーヴィル・ライト(1871~1948)のライト兄弟は、アメリカの発明家です。
 以下、公式HPから少し引用します。

世界初の動力有人飛行をともに成し遂げたライト兄弟の偉業は、人間の自由と可能性を希求し開拓する、輝かしい栄光の物語。それは前人未踏の地を行く、不屈の精神と、教育ではなく自らの好奇心で勝ち得た知性によるものだった。

公式HPの「STORY」から一部抜粋

 「世界初の動力有人飛行」とあるように、ライト兄弟は、「飛行機を初めて発明した人」として、(子ども向けを含め)偉人の伝記で見かけることも多いです。しかしながら、科学系の本を敬遠しがちな私は、きちんと伝記を読んだことがなく、慌てて図書館から借りてきて読んでいるところです。

 ミュージカルでは、ライト兄弟の一生が描かれています。父母の影響と、若い頃の青春と挫折。自転車屋の経営と飛行機械の研究。そして、二人の妹であるキャサリン・ライト(1874~1929)は、兄弟を支える形で、関わってきます。後半は、飛行機械が戦争に利用されていくことも描かれていました。

■(ミュージカルの)感想など

(1)身近に感じられたミュージカル

 公式HPから、また少し引用します。

小さな空間に、俳優がいて、お客さまがいて、光があたり、劇場になる。
声という振動が、劇場を包み、お客さまの鼓膜と心をストレートに揺さぶる。
俳優のささやかな表現、息づかいさえ届く空間で、上質なミュージカルをお届けします。
石丸さち子新作オリジナル脚本のミュージカル、出演者はたった3人。
30曲を超える色彩豊かなミュージカルナンバーの作曲と演奏は森大輔。
海外上演を目指してスタートする作品のファーストフライトに、是非ご搭乗ください。

公式HPの「INTRODUCTION」から一部抜粋

 なぜ、ここまで引用するかというと、言いえて妙というか、的を得ているように思ったからです。ミュージカル作品というと、海外の作品が多いイメージが強かったのですが、本作は、石丸さち子さん作の日本発です。(石丸さんは会場にいらっしゃいました!)
 出演者はライト兄弟と妹の(たったの)3人。そこにピアノの演奏が入ります。会場の「ブルースクエア四谷」は小さめの劇場(小劇場)であることもあり、ミュージカルを、こんなに近くで観られたのは初めてでした。
 ミュージカルのナンバーが歌いあげられるなか、物語の高まりも相まって、拍手が起こることも、たびたびありました。

(2)飛行機に関わる話

 私は、技術的な話は、全く詳しくないのですが、どのようにして空を飛ぶか、色々な用語や人名などが織り交ぜられていました。例えば、翼の揚力、風洞という言葉や、鳥の観察、エンジンについて、グライダーで飛んだオットー・リリエンタール(1848~1896)などなど。(間違いがあるとまずいので、ここら辺にしておきます。)

 「悪魔殺しの丘」と呼ばれるノースカロライナ州、キティ・ホークでの飛行実験の場面など、飛行機械も出て来ます。
 そして、今回、冒頭の画像は、舞台の壁面です。ライト兄弟の実験室なのでしょうか。計算式などが描かれています。二人の衣装となるスーツにも、同じように模様が描かれていて、とてもお洒落でした。

(3)都市への憧れ

 ライト兄弟は、アメリカの発明家ですが、どこから出資してもらうか、アメリカ以外のヨーロッパの国々も出て来ます。妹のキャサリンも絡み、ヨーロッパとアメリカ間でやり取りする場面も出て来ます。世界の一体感が強まりつつある時代で、一体となるスピードを飛行機械が速めていきます。(都市化がどのように進んでいったか、そこまで詳しくないのですが)パリやワシントンといった都市は、現代に比しても、憧れの対象となる感覚が強いように感じました。

(4)登場人物たちの人間像

 今回のミュージカルで、登場人物は3人ですが、9人の役者の方々の組み合わせで、5チーム(A~E)で、上演がなされています。
 私が観劇したのは、チームDでした。ウィルバーが鈴木勝吾さん、オーヴィルが工藤広夢さん、キャサリンが福室莉音さんでした。下の画像は、上演後のスペシャルカーテンコールです。歌声、ハモリは本当にきれいでした。(本当は動画を撮るべきだったのですが、慣れていない私は写真を撮ってしまいました。)

上演後のスペシャルカーテンコール

 兄弟の性格の違い、どのような関係だったのか、妹はどんな気持ちだったのかなど、ここら辺は、観劇、演技を観る面白さのように思います。
 おそらく、役者の方の組み合わせが変われば、また異なった人間像として浮かびあがってくるのではないでしょうか。出来れば他のチームも見てみたいし、何より聴き比べてみたいなぁと思いました。

■最後に

 ミュージカルが苦手な訳ではないのですが、これまで私は「どちらかというとストレートプレイ(セリフ劇)の方がよいかな。」と思っていました。ただ、今回のミュージカルはチラシを見たときから、空を飛ぶ物語で夢が広がりそうなストーリーで面白そうだなと思い、気になっていて観に行った次第です。
 また、私は、恋愛ものはあまり観ない方なのですが、こうした夢に向かって突き進む、夢を実現するストーリーというのは、また恋愛ものとは違って、別の面白さがあるなぁと思いました。自分の好きな領域が一つはっきりしたというか、視野が少し広がった感じがして良かったです。
 おススメのミュージカルです。

 本日は、以上です。

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