【歌舞伎】『鞘当』『中村獅童の HOW TO かぶき』など(松竹特別歌舞伎)
2024年7月6日、埼玉県川越市の「ウェスタ川越」で、「松竹特別歌舞伎」を観ました。今回の「松竹特別歌舞伎」は、6月30日(日)から7月31日(水)まで全国22会場で開催される、中村獅童さん出演の巡業公演です。
私が住んでいるのは埼玉ではないのですが、後述するように、演目の『鞘当』『中村獅童の HOW TO かぶき』に関心が(すごく)あり、頑張って行ってきました。以下、記録を残します。
■演目について
演目は以下のとおりです。順番を変えて感想などを記載しようと思うので、先に演目を記載しておきます。
■『鞘当』について
演目『鞘当』を一番に記載します。歌舞伎初心者の私が言うのも何ですが、後述するように、この演目は歌舞伎の要素がたくさんつまっているように思うのです。あらすじなどから記載します。
(1)あらすじなど
『鞘当』は、『東海道四谷怪談』などで有名な「四代目 鶴屋南北」の作品『浮世柄比翼稲妻』の一場面です。
「四代目 鶴屋南北」の作品『浮世柄比翼稲妻』に関する文化デジタルライブラリーのリンクも貼っておきます。
(2)面白いと思った点の数々
箇条書きですが、記載します。二人の男の衣裳に関する括弧書き(「」)については、丸山伸彦監修『演目別 歌舞伎の衣裳 鑑賞入門』(東京美術)から引用しました。衣裳が持つイメージなどは面白いですね。
主な登場人物は①名古屋山三、②不破伴座衛門、③茶屋女房お蝶の三人です。
①名古屋山三は、和事味漂う二枚目の色男。「浅葱の繻子地に雨と濡れ燕」という着物の出で立ちです。紫色の足袋でした。
他方、②不破伴左衛門は、荒事味ある敵役(といえましょうか)。「黒の木綿地に雲に稲妻文様」という着物姿です。卵色の足袋でした。
そもそも、この二人は、山三の恋人である傾城葛城を巡り、互いに恨みを抱く間柄です。
1人の女性を巡って争うだけでも大変ですが、タイプの違う男となると「こいつには負けられねぇ。」という気持ちになるのでしょうか。
「袖触り合うも他生の縁」という言葉もありますが、「刀の鞘が当たる」というのも、何かのきっかけになるのですね。
そこに割って入るのが、③茶屋女房お蝶(※今回は、お蝶という名前でした。)です。喧嘩を止める「留女」です。三人で見得を切る姿が、カチッと決まっていて良かったです。
場所は、桜が満開の江戸吉原仲之町。華やな舞台背景で、煌々と照らされ、夜でも昼間より明るいという解説がありました。
その他、二人の歩き方やふるまい方、太刀や深編笠の使い方なども、(個人的にですが、)基本になる気がして、とても楽しめました。
他にも本などで調べると、二人の男の着物のデザインのもとに俳句などがあるようですが、ここでは控えます。
■『中村獅童の HOW TO かぶき』について
この演目は過去にもあり、大好評だったという記事を読んだことがあり、楽しみにしていました。
まず、中村獅童さんの司会進行で、歌舞伎の歴史など話がありました。
そして、メインとしては、『鞘当』の出演者(※後記する)が、舞台上で、お化粧し、衣裳を着け、鬘をつけて役に近づいく姿が披露されました。大画面のモニターにも映されました。
※①名古屋山三役の澤村國矢さん、②不破伴座衛門役の中村獅一さん、③茶屋女房お蝶役の中村蝶紫さんです。
細かい点は記載しませんが、印象に残った点を、いくつか記載します。
化粧をすることを歌舞伎では「顔をする」というそうです。
自分で化粧する理由として「自分の顔の欠点(逆としては長所でしょうか)は、自分が一番よく知っているから。」という説明があり、納得しました。
顔を大きく見せるために、眉を上の方に描く、などなど。
■その他の演目
今回はメリハリをつけることもあり、簡単なあらすじと配役を記載します。
(1)供奴
奴又平は、中村種之助さんでした。舞踊については、私はまだまだ力不足で記載できず、すみません。
(2)橋弁慶
弁慶を中村獅童さん、牛若丸を中村陽喜さんでした。陽喜さんは、獅童さんの長男で、ニュースを読んだりすると、6歳ぐらいなのでしょうか。歌舞伎役者の方々が、幼くも舞台に立つことに毎回驚かされます。弁慶との立ち廻りも面白かったです。
■さいごに
今回は、歌舞伎の基本的説明に加え、表舞台では見ることが出来ない「化粧」など裏舞台を覗くことが出来たり、『鞘当』など、非常に関心を持った演目を観ることが出来たりして良かったです。個人的にですが、川崎まで足を運んだ甲斐が十二分にありました。
本日は、以上です。