見出し画像

【文楽】ひらかな盛衰記

 2024年5月26日(日)、北千住のシアター1010にて、文楽の『ひらかな盛衰記』を観てきました。記録を残します。公演期間は、2024年5月9日(木)〜同月27日(月)でした。

■『ひらかな盛衰記』とは

 公演プログラムの「解説」などからまとめたり、引用したりしてみました。

 『ひらかな盛衰記』は、五段構成の時代浄瑠璃です。源平の合戦を題材としています。外題げだいの「ひらかな」は、軍記物語の『源平盛衰記げんぺいせいすいき』を分かりやすく書き下したという意図を表すそうです。
 内容として『源平盛衰記』と、文楽の『ひらかな盛衰記』が、どれ位重なるのかは押さえていませんが、『ひらかな盛衰記』は、木曾義仲の滅亡から一の谷の戦いまでが描かれるようです。
 主役級の登場人物は、2人います。

樋口治郎兼光ひぐちのじろうかねみつ

 樋口治郎兼光は、木曾義仲の家臣・四天王の一人です。この樋口をはじめとする義仲の残党の物語が、初段と三段目を中心に展開します。義仲の妻子に付き添う腰元・お筆が登場します。今回の上演はこちらを筋とした構成でした。

梶原源太景季かじわらげんだかげすえ

 梶原源太景季は鎌倉方の武将で「坂東一の風流男」とありました。この梶原源太と腰元・千鳥の恋愛を巡る物語が、二段目と四段目を中心に展開します。今回こちらの上演はありません。
 ちなみに、上記した腰元・お筆と腰元・千鳥は姉妹です。

■今回の上演のあらすじ

 以下のような場面がありました。③④あたりで大きな動きとなるのですが、あまり詳しい記載は控えます。

①木曾義仲と愛妾・巴御前が登場する場面
②義仲の死後、正室の山吹御前と若君の駒若丸が都落ちする場面
③宿屋での山吹御前の一行と船頭・権四郎の一行の遭遇(隣室になるようです)
④猛将・樋口兼光の活躍

■感想:舞台での動きの変化

 『ひらかな盛衰記』の特徴なのか分かりませんが、今回は、舞台での「横・縦」の動きの変化がすごく印象に残りました。順に記載します。

(1)横の流れ・絵巻物のように

 舞台の「横」の流れを感じる場面として、次のような場面が印象に残りました。

①お筆が、命を落とした山吹御前の亡骸を笹に乗せて引いていく(引こうとする)場面。
②船頭たちが大きく船を動かす場面。逆櫓なので船尾にも進みます。舞台では左右に動きます。

 また、具体的ではないのですが、構成・話のつながりが巧みなのか、話を追う感じで観ることが出来ました。上記した場面は「絵」になる場面でもあり、「絵巻物」を見ているような感じもしました。

(2)縦の動き・樋口兼光の奮迅

 後半、「逆櫓の段」で、樋口次郎兼光の人形がダイナミックに動き、飛び跳ねます。
 「団七走り」や「(その名も)樋口」の型という表現も今回知りました。「カンヌキ」の型という表現も、公演プログラム等で見つけましたが、また異なるのでしょうか。

 足の音も激しく、足遣いは吉田玉路さんでした。今回の公演の特集ページに、インタビューがあったのでリンクを貼ります。やっぱひ汗だくになるんですね。

(3)忠義

 「逆櫓の段」の後半、上記した樋口の立ち廻りの後は、駒若丸を巡る「樋口次郎兼光」と「船頭・権四郎」の忠義の話となります。腰元・お筆も去った後の段であり、男同士のやり取りです。
 こうした忠義の話は、現代とはまた異なるところもあってか、私も、舞台の動きを観るというより、頭で考えるようになっていきます。でも、こうした部分も文楽の面白さのように思います。
 また、相変わらずですが、「逆櫓の段」全体を通して、三味線の音色などにも、もう少し耳を傾けたいです。

■その他と最後に

  • 東京で観劇する時は、大阪で観るときよりも拍手のタイミングが難しいです。観客層が関西はやっぱり厚いですね。

  • 最近、自分の理解力が増したのか、内容が更に充実されて来たのか、公演プログラムで専門家の書かれた文章を読むのが楽しくなって来ました。関東版についてなのか、国立文楽劇場発行の関西版も含むのかは、もう少し読んでから考えてみたいです。

 冒頭の写真は「笹」で検索し、t.kobaさんの画像を使用させて頂きました。ありがとうございました。本日は以上です。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集