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なぜ我が故郷は地味なのか

私の出身地は佐賀県だ。
佐賀県は九州の北部に位置し、北西には玄界灘が、南東には有明海があり県面積の3割を平野が占める。冬でも雪はあまり降ることがなく、いたってのどかな気候である。
そんな佐賀県は農業、漁業、畜産いずれも盛んであり、有名なブランドでは「佐賀牛」「有明のり」「呼子のイカ」といったそうそうたるメンツがそろう。特に「有明のり」はコンビニのおにぎりや回転寿司などでも多く使われる。
グルメだけではなく、伊万里焼、有田焼といった優れた陶芸品、弥生時代最大の環濠集落「吉野ケ里遺跡」、世界遺産である 「三重津海軍所跡」、さらに温泉地も非常に多い。

そんな魅力的な要素がたくさんある佐賀県はさぞかし人気なのだろう。ここで2021年都道府県魅力度ランキングをみてみたい。

栄えある佐賀県の順位は---46位。
なぜここまで人気がないのか。隣県の福岡県は7位。福岡はまあわからんでもないが、もう一つの隣県の長崎県は8位だ。
佐賀県がいまいち盛り上がらない理由を少し考えてみた。

まず一つ考えられるのは、九州が強豪だらけであることだろう。まず隣県でいえば、東に九州の首都福岡、西には異国情緒を感じられる長崎に挟み撃ちにされている形だ。南には火の国熊本、別府に由布院を擁する大分、幕末好きにはたまらない鹿児島、どげんかせんといかん宮崎、そして北海道と人気を二分する、南国の覇者沖縄だ。
前述のランキングでも、佐賀県を除いて最も低い順位は大分の26位。順位だけ見れば、九州の他県と隔絶した差がある。
だが個人的には福岡、沖縄以外には地力に差はないと感じているものの、ここまで囲まれれば個性が埋没してしまうのだろう。「佐賀包囲網」に押し込まれた形となっていることは事実である。

しかし、私はこれが決定的な要因とは感じていない。確かに佐賀には魅力が詰まっている。だとすれば一体どのような要因なのか。

それは「アピール力の無さ」に他ならない、と思う。
佐賀県人に聞いてみても、佐賀のいいところがピンときていないことが多い。だからこそ外に対して主張できていないのではないだろうか。いや、そもそも主張すら苦手なのではないのか。
「薩長土肥」という言葉を聞いたことはないだろうか。幕末に明治維新の立役者となった薩摩藩、長州藩、土佐藩、肥前藩の4藩のことを指す。薩摩藩、長州藩、土佐藩は教科書レベルで記載されることも多く、NHK大河ドラマに取り上げられることも多い。しかし肥前藩はどうか。何をしたのかよくわからない人も多いだろうし、そもそも知らない人だっているかもしれない。

それもそのはず、幕府や他藩に大した主張も行動もせず、真面目な県民性ゆえか、ひたすら西洋科学の研究をしていたのだから。
結果、当時最先端の技術を持ち、最強の軍事力を持っていたとする研究者もいる。もっとアピールしていれば歴史の表舞台に立てたのに。せっかくいいブランドイメージがあったのにも関わらずに、これが機会損失というやつだ。

せっかくいい実力を持っていても、アピールしなければ活躍できないのだ。自分のアピールポイントがわかっていなかったらなおさらである。自らの故郷に、人生において大切なことを学ばせてもらった…と思う。

まあ、面白い土地だと思ってたらそもそも上京なんてしてませんがね!

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