【DAY 27】睡眠習慣の改善方法総まとめ
みなさん、これまでの連載を通じて、良質な睡眠がいかに重要かを理解していただけたと思います。本日は、これまでの内容を総まとめとして、具体的な睡眠改善のアクションプランをご紹介します。
1. 睡眠環境の最適化
1.1 寝室の環境整備
最適な睡眠のためには、適切な環境作りが不可欠です。理想的な寝室の温度は26℃前後、湿度は50-60%とされています。また、光や音を遮断することで、睡眠の質が大きく向上します(Okamoto-Mizuno & Mizuno, 2012)。
結局は各自の心地よさに帰結するため、熱すぎず寒すぎない室温を意識し、快適に過ごせる温度を日々見つけていきましょう。
以下、睡眠健康指導士の快眠情報サイトになります。
ぜひご参照ください。
1.2 寝具の選択
体圧を均等に分散させるマットレスと、体温調節に適した寝具の選択が重要です。個人の体型や寝姿勢に合わせた選択が、睡眠の質を高めます(Jacobson et al., 2008)。
また、厚生労働省は「首や肩に無理のない枕・適度な硬さのマットレスや敷き布団・フィット感のある掛け布団といったように、体への負担が少ない寝姿勢(寝相)を保つことができ、保温性と吸湿性・放湿性が良い寝具を選ぶとよいでしょう。」
以下参考資料です。
ちなみに寝具の選び方についても載せておきますので、ご参考までに!
1.3 デジタル機器の管理
就寝前の部屋の明かりは、睡眠を妨げる大きな要因です。就寝1~2時間前からは明るいライトの使用を控え、暖かい色のライトを使用しましょう(Chang et al., 2015)。暖色系のライト、もしくは間接照明で部屋の照度を50ルクスいかにしてあげることがおすすめです。(ちなみに一般的な部屋の照度は100ルクス)
2. 睡眠を促進する生活習慣
2.1 規則正しい睡眠スケジュール
体内時計を整えるために、毎日同じ時間に就寝・起床することが重要です。休日でも就寝時間のズレを2時間以内に抑えることで、良質な睡眠が維持できます(Wright et al., 2013)。2時間以内に抑えることは社会的時差ボケを防ぐことが出来るのです。
規則正しい生活習慣が体内時計を整え、結果的にリズムが出てきます。毎日が規則正しい生活になるだけで、睡眠だけでなく、多くのメリットがあります。
以下の記事では規則正しい習慣に関して、メリットやコツが書かれています。ぜひご覧ください。
2.2 運動とタイミング
適度な運動は睡眠の質を向上させますが、タイミングが重要です。就寝の3-4時間前までに終えることで、理想的な効果が得られます(Kredlow et al., 2015)。
就寝前に激しい運動を行ってしまうと深部体温が下がるのに時間がかかり、体温が高い状態が続いた結果、寝付くのが難しい状態になってしまいます。どうしても夜にトレーニングを取り入れたい場合は、就寝時間から逆算し、トレーニングの強度を調整してあげる事が有効です。
2.3 リラックス習慣の確立
就寝前のリラックスルーティーン(読書、瞑想、ストレッチなど)を確立することで、スムーズな入眠が促進されます(Black et al., 2015)。
私の中で特におすすめは「つまらない文章を読む」ということです。難しい哲学的な本や、そもそも見ただけで気が遠くなるような英語の長文であったりと、眠気を誘うものを探してみるとたくさん見つかります。
ぜひ自分なりの習慣を確立してみてはいかがでしょうか。
読んだだけで絶対に眠くなるような本を開発してみるのも、案外良いアイディアかもしれません。(笑)
まとめ
良質な睡眠は、環境整備と生活習慣の両面からのアプローチが重要です。これらの方法を一度に全て実践するのではなく、できることから少しずつ取り入れていくことをお勧めします。継続的な実践により、睡眠の質は確実に向上していきます。
ついに明日が最後の内容となります!
「睡眠の未来」について。
どうぞお楽しみに!
参考文献
Black, D. S., et al. (2015). "Mindfulness Meditation and Improvement in Sleep Quality." JAMA Internal Medicine, 175(4), 494-501.
Chang, A. M., et al. (2015). "Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep." PNAS, 112(4), 1232-1237.
Drake, C., et al. (2013). "Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed." Journal of Clinical Sleep Medicine, 9(11), 1195-1200.
Jacobson, B. H., et al. (2008). "Effect of prescribed sleep surfaces on back pain and sleep quality." Applied Ergonomics, 39(2), 247-254.
Kredlow, M. A., et al. (2015). "The effects of physical activity on sleep: a meta-analytic review." Journal of Behavioral Medicine, 38(3), 427-449.
Okamoto-Mizuno, K., & Mizuno, K. (2012). "Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm." Journal of Physiological Anthropology, 31(1), 14.
Strøm-Tejsen, P., et al. (2016). "The effects of bedroom air quality on sleep and next-day performance." Indoor Air, 26(5), 679-686.
Wright, K. P., et al. (2013). "Entrainment of the Human Circadian Clock to the Natural Light-Dark Cycle." Current Biology, 23(16), 1554-1558.