組織を変革するミドルマネジメント/学校の「当たり前」をやめた。
・宿題をなくす
・中間・期末テストの全廃
・固定担任制の廃止
・評価方法で全員5にしてもよい
これらは、「学校の「当たり前」をやめた。(著)工藤勇一」に書かれている内容です。民間の校長が学校を改革する事例が増えていると思いますが、工藤氏は学校の教員一筋で改革をされています。(ご本人は改革ではなく改善といっています)ビジネスマンにも参考になると思いましたので、ぜひご一読ください。
やめた学校の「当たり前」
工藤氏が校長を務める千代田区立麹町中学校では、
・服装頭髪指導を行わない
・宿題をださない
・中間・期末テストの全廃
・固定担任制の廃止
など、多くの学校の当たり前にやっていることを廃止しています。
本書では、なぜ廃止をしたのか?という著者の考え方を説明されており、その考え方は、ビジネスにおける事業でいわれる「Vision」「Mission」 を設定し、担当事業(麹町中学校)をリデザインをしています。
Vision / 最上位の目標の定義
工藤氏は、学校は子どもたちが、「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにあり、そのために、子どもたちには「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質」すなわち「自律」する力を身に着けさせていく必要があると考えています。
しかし、現在の学校は、自律を育むことと真逆のような状態になっており、ただ学校ルール・教科書を教えるたけになっています。その原因を「手段が目的化」しているからとあります。
本来は、国が示す学習指導要領や教科書は、子どもが自律するための「手段」だったはずです、しかし、教員はその手段を「目的」にしてしまい、それを消化するようになってしまっているとあります。
こういった状態は、ビジネスの現場でも多々あると思います。本来はお客様に価値を提供することや、組織のパフォーマンスを最大化させるためのものが、そのタスクをこなすことが目的になってしまい、本来の目的と真逆の対応になってしまっている状態です。
多くの場合は、そういう自体に気づいていながらも、自分の上司や多くのステークホルダーが存在するため、めんどうなことをせずに、その状態をいかに効率的に実行するかに注力してしまいます。
工藤氏は、学校という組織の中で、自ら本質の目的を定義し、その目的にそって、慣例となっているルールを改善しています。
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中間・期末テストの全廃
慣例として続けられているものを廃止した例で、「中間・期末テストの廃止」があります。この定期テストの廃止は、目的から考えて、不要だと判断したため廃止にされています。
定期テストは、法律や教育委員会規則等で定められているものではないのですが、全国どの中学にも共通してあるそうです。(自分もそういうテストを受けてきました)
こういったテストが行われる理由は、「通知表をつけるため」です。定期考査の点数で生徒の序列をつけて、生徒を5〜1の評定をつける上で、タイミングよく実施される定期考査が都合が良いためです。しかし、テストを実施する目的は、本来は、「学力の定着を図る」ためです。
麹町中学校では、定期考査を廃止し、単元が終了する毎に少テストを実施します。単元ごとに理解度をチェックするためです。そして、生徒は何度も再テストを受けることができ、最終結果を成績として記録できます。そうすると、生徒は点数をあげるために、自分自身で努力して何度も再テストを受け手学力を定着させます。
また定期テストではなく、出題範囲を事前に明示しない実力テストの回数を増やして対応しており、小テストと、実力テストを行うことで、学力の定着を図っています。
こういった慣例についても、目的と一致しているかを疑い改善していく姿勢はすべてのビジネスマンに参考になるのではないでしょうか。
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ミドルマネジメントが参考になる
本書を読んで感じたのは、校長が強い権限をもって、意思決定ができるわけではなく、学習の基本要綱が存在し、教育委員会、PTA、生徒、教師が存在しているなかで推進しているということです。
多くの関係者がいるなかで、学校のあるべき姿を定義し、関係者を説得し推進しているのです。
しかし、学校の目的が、「子どもたちを自律させること」であるとしたら、その教育の結果がわかるのに20年、30年かかるのではないでしょうか。そして、他にも多くの要素がかかわるため、おそらく、明確な答えはでてきません。
答えが明確にわからないため、おそらく、多くの関係者は、短期的な進学率や、全国一斉テストなどの学力など、わかりやすいKPIに注力すべきという声があったと思います。
しかし、本質を問い、学校をリデザインし、関係者を説得し、さらに、他の学校に伝播させていく様子は、ミドルマネジメントが参考にするべき姿だと思いました。
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