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エマヌエルのちょっと特別なサルビアのパスタをレリチの友人宅で作る。


#創作大賞2024
#レシピ部門
#エッセイ部門

家に常備している少数の材料で簡単に出来るのに、ちょっとスペシャルな味のパスタです。

これは英国人デザイナーのセバスチャンのフランス人の奥さんのエマヌエルのインスタグラムの写真を元に想像したレシピです。

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タミーと私は時々レシピの交換をする。
一昨年、タミーとエンリコのレリチの新しい別荘に招待された時の事。
「こういうレシピを仕入れたのだけど、なかなか美味しいよ。」と話しをした直後に、隣町に住んでいるアンナおばさん夫婦が急に夕食に来るということになった。

元々エンリコがレリチに別荘を買ったのは投資目的と言っているが、連れ合いを急に亡くしたタミーのお母さんが、お姉さんの家の近くにセカンドハウスがあったら好きな時に近くにいれて心強いだろう、というお姑さんへの気使いからだったと想像している。本人はそうはっきりと言わないのも彼の優しさ。

その日は軽い外食を予定していたので、アンナおばさんが来ることになったのに何もない!どうしよう!何作る?となり、話したばかりのこの常備品でできる料理を客の私が作る展開となった。

タミーのお母さんのピーナとアンナおばさんは並外れたお料理上手なので、二人の巨匠の前の弟子のように一瞬臆したが、すでに後戻りできない状況になっていた。

レモンの量を間違えると大失敗もしかねないレシピなのだが、その時はまずまずの成功。
タミーとエンリコはこの非凡な味のパスタがすっかり気に入って時々作っているらしい。


レリチの別荘のテラスでのランチのタミーのテーブルセッティング


風光明媚なレリチ近辺の海

このレシピに行き着いた経緯はレシピの後に。


材料写真

<材料> 二人分

・パスタ 160g
*写真ではシチリアの古代種麦のパスタを使用しているのでお蕎麦のような色ですが、もちろん普通の現代のデュラムセモリナのパスタでも美味しくできます。

・生のセージ 6-8枚

・オイル漬けアンチョビ 大きさにより4ー6枚

・レモン ノーワックスのもの 1個

・エキストラバージン・オリーブオイル

<作り方>

1・パスタを茹でる用の鍋を火にかけます。

2・フライパンにオリーブオイルを温め、とろ火でオイル漬けアンチョビを溶かします。
*溶けない場合はほぐします。

3・パスタ用の湯が沸騰したらパスタを投入し、指定時間茹でます。

4・その間アンチョビがいい感じになったら、とろ火のまま生のセージを加え味をなじませ、パスタを茹でているお湯も少し加えます。

5・レモンは皮を下ろすか、剥いてみじん切りにし、果肉は半分果汁を絞っておきます。

6・パスタがアルデンテに茹で上がったら4に5を加え、レモンピールを加え、果汁も半分加えます。

7・熱々をテーブルに運び、いただく際に残り半分のレモンの果汁を加減していただきます。

*レモンの量を間違えると大失敗もしかねないので、上記説明のように半量だけ絞った果汁を先に混ぜ、残りの半量は個人の好みで加えてもらうのが失敗のない作り方です。

*レモンは縦に4つに割離、中央に切り目を入れておくと絞りやすい。


完成写真

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このレシピに行き着いた経緯。。。。全く別の友人カップルの話です。

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昔何度か同じブロジェクトに参加したことがある英国人デザイナーのセバスチャンは「この人はどんな仕事をしても、その道で一流になっただろうなぁ。」と感心するような誠実で知性的な人。

食事に呼び合うほどは親しくはないが、昔セバスチャンの一家がボローニャに住んでいた頃、彼らの家に遊びに行ったことがある。

仕事でボローニャの見本市に行った後、予約した帰りの電車まで時間があったので友人に連絡してみたら、共通の知り合いのセバスチャンの家に遊びに行こうということになった。

夕方だったので食事をしたわけではない。

当時まだ小さかった子供達がテラスで遊んでいて、特におままごとセットのマジックテープで付いた木製のニンジンを木のナイフで切る感触が楽しくて、一緒に遊ばせてもらった。

その時に奥さんのエマヌエルもいたはずなのだけれど、何故か彼女に関する印象などの記憶はポカリと抜けている。

セバンスチャンの家に向かいながら「エマヌエルはフランス人でお料理が凄く上手なの。極上の食生活をする家庭で育った人でなければ、あんな真似、普通の人にはとてもできないわ。」と友人は力説していたが、そんな風に言うのはその友人が料理嫌いなので誰でも料理上手に見えるのではと疑った事と、欧州内のステレオタイプとして「英国の食べ物は不味く、フランスの食べ物は美味しい」というのは普通のことなので、英国人の友人のフランス人の奥さんがお料理上手と聞いてもその時は特別な事とは思えなかった。

夕方の訪問だったのでテラスで食前酒に振舞ってくれたフランス産の白ワインはとても美味しかったのをよく覚えている。

その後何年かして彼らは英国に帰り、セバスチャンとインスタグラムで繋がって間も無く、奥さんのエマヌエルからもフォローがあったので彼女のページを見てみたら、なんと!お料理研究家。友人が力説していた「お料理上手」は私が想像した単なるお料理上手な主婦以上だったのだ。

しかも彼女が投稿している写真の数々は私が大好きなタイプの、ちょっと捻りの効いた食材の取り合わせのものが多く、早速フォローバックさせてもらい、投稿を参考にさせてもらっている。

エマヌエルのインスタグラムはこちら。
https://www.instagram.com/topdelish/

このレシピはシチリアにもベースを持つ、ベン・ティッシュというシェフ&フードライターが開発したレシピとして彼女がインスタグラムに載せていたもの。ベン・ティッシュのオリジナルだとトーストしたパン粉も入っていて、オリーブオイルではなく、怖いほどの多量のバターを使っている様子。エマヌエルはパン粉は残し、バターはオリーブオイルに置き換えていて、私もその方がヘルシーで良いと思います。
南イタリアのパスタのレシピにはパン粉を入れるものが多いのですが、パン粉は重くなるので私は入れません。

エマヌエルのインスタグラムの投稿の多くは写真2枚で構成されていて、1枚目は食材の写真、2枚目は完成写真。作り方の説明はないので、勝手に想像するか、食材やレシピの名前などを元に検索するか、または彼女のお料理教室に通うかしないと作れないので、この場合勝手に想像して作った物です。

勝手に想像したこの作り方が我が家では定番になっていますが、今オリジナルのベン・ティッシュのYouTubeを見て、全く別物なのに愕然としました。

でもお料理も、言葉同様生きていて、人から人に伝わりながら変化していくのが自然なのかもしれません。


レリチのビーチの子供達


レリチのヨットハーバー

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