不確実性から生まれる合理的なクリエイティブ
第17回 SAAAクリエイティブ研究会に
参加しての感想。
私は、第17回 SAAAクリエイティブ研究会に
参加して、クリエイター個人がクリエイティブという手法を通して、試した結果を定量的に評価して、表彰する場所である と感じました。
そして、三氏のクリエイターから「これからのクリエイターに必要な視点」についての講演を聞くことで、マーヴィン・キング著による「錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来」でも語られているように、不確実性から生まれる合理的な判断を選択することが必要不可欠であり重要であると感じました。
<講演者>
・田辺俊彦 氏
2018 CREAOR OF THE YEAR/電通
・井村光明 氏
メダリスト/博報堂
・徳野佑樹 氏
メダリストTBWA\HAKUHODO
なぜなら、受賞した田辺さん、メダリストの井村さん、徳野さんが共通して、「リスク」をケアし、「不確実性」を恐れず「合理的な判断」である、クリエイティブを作り上げていると考えたからです。
一つ目は「リスク」と「不確実性」の違いについてです。
リスクとは、予測できる危険のことを指し、不確実性とは予測が不可能なことを指します。
そして、クリエイティブを含む、あらゆる意思決定において、リスクと不確実性を理解することが必要であると感じました。
徳野さんの「注文を間違える料理店」を例に考えると次のようになります。
リスク:ウエイターが注文を間違えることがある
→注文を確認する人を置く。
→客に事前に知らせて了解を得る。
→テヘペロマークを置いて
お客に理解を求める。
リスク:料理は美味しいか
→大手の飲食店に協力して貰い
メニューを提供してもらう。
リスク:運営資金、人は集まるか
→クラウドファンディングを行い、
支援者に対して報酬として来てもらう。
不確実性:
認知症を持った人が
働き活躍する環境を作れるか?
→やってみなくてはわからない。
結果として、クリエイティブという手法を通してリスクをケアした中で、不確実性について挑戦することができ、認知症を抱えた人が働き活躍する場所を提供することができている。
そのため、リスクと不確実性を理解した上で、リスクをケアし、不確実性に対して挑戦することが重要であると感じました。
二つ目は「不確実性」から生まれる「合理的な判断」についてです。
クリエイティブを含む、あらゆる意思決定において「どうなるかわからない」不確実性と「結果として良い」合理的な判断とは無関係であると感じました。
井村さんの「さけるグミ」を例に考えると
次のようになります。
不確実性:
商品の広告はしない。
合理的な結果:
大きな反響を生むことで、広告効果を生む。
「さけるグミ」のシリーズCMでは、商品であるグミの魅力を「さける」男女の三角関係や「さける」人間関係に例えることで、大きな反響を生み、商品の知名度を上げ、広告効果を生んでいました。
そのため「先が見通せるかどうか」で「結果が合理的か」は判断できないということであり、クリエイティブを含むあらゆる意思決定において、「どうなるかわからない」不確実性と「結果として良い」合理的な判断とは無関係であると感じました。
三つ目は 不確実性の選択 についてです。
不確実性の選択とは、「どうなるかわからない」手法や方法を選択することを指します。
しかし、日頃、私たちは、「どうなるかわからない」結果である不確実性をなかなか受け入れられず、そのため一見すると不合理な意思決定をしてしまうことがあります。
それを避け、不確実性の選択肢を選び「結果として良い」合理的な判断をするには、田辺さんが考える「実験的なクリエイティブ」のように自己ルールとして、予定調和でない方を選ぶ。という制約を作り、明確化、ルール化することが必要不可欠であると感じました。
不確実性の選択:
「実験的なクリエイティブ」が必要である。
そこで、田辺さんのように「表現は、ボーダレスであり、コミュニュケーションになる」という揺るがない価値観を自己規定し、自分軸を持ってクリエイティブに向き合い続けることが必要であると感じました。
そのため、2018 CREAOR OF THE YEARを受賞、メダリストである三氏のクリエイターのように、「リスク」をケアし、「不確実性」を恐れず「合理的な判断」である、クリエイティブを作り上げられる存在になりたいと思います。