前編 使い捨てカイロの錬金術師 山下崇さんに取材をしてみた。
Go Green Group株式会社代表取締役 山下崇
学生自体はボクシングの世界チャンピオンを目指し練習に打ち込むが、身体的な理由で断念。コンビニオーナーの時、佐々木教授の水質浄化の活動を知り、事業化に向けて行動する。実験を重ね、使い捨てカイロからできた水質浄化製品である「GoGreenCube」開発する。 汚れてしまった地球を、使い捨てカイロできれいに浄化することを目標に、現在は 2025年の大阪万博に向けて、大阪湾浄化プロジェクトを進めている。
会長 御社のTwitterを見ると、多くの人たちがカイロを回収・寄付していることが分かりますが、ここまで参加する人が増えたことは想定内だったのでしょうか?
山下さん このカイロ回収自体は2018年から始めていて、現在は約53校もの学校や自治体に協力を得ることが出来ています。約3年が経った事を考えると想定内だと思います。
ボランティアの方々と協力して、集めたカイロを開封作業する様子。
会長 なるほど。使用済みカイロの需要は冬などの寒い時期に集中しますが、夏などの暑い期間はカイロ回収、また事業はどのように行うのでしょうか。
山下さん 実はカイロって1年中生産されているんですよね。 たしかに冬に比べて消費量は減少するのですが、消費期限切れ・不良品のカイロを夏に集中して回収する事で1年中事業を続けることが出来ています。
会長 御社の代表的な製品である Go Green Cubeは水質改善・ゴミ削減という2つのメリットを兼ね備えた完璧な製品だと僕は思うのですが、現時点で改良すべき点などはあるのでしょうか。
山下さん 製品自体にはありません。もともと捨てられるだけだったカイロを再利用し、ヘドロ除去も出来た上で自然に戻る。資源の有効活用・水質改善・地球環境の保全の全てを兼ね備えた持続可能な製品だと思います。今の所、環境活動をする時に必要な行政上の手続きなどの課題をクリアすることが目標ですね。
会長 夢のような製品ですね。そのような本来ならば捨てられるだけの製品を用いて有効活用するといったビジネスモデルは今後も需要がさらに高まっていくと思いますが、競走や企業との差別化なども比例して上がっていくと思います。それに対してどう対策していこうとと思いますか?
山下さん 元から競争・競合などは考えていません。この環境ビジネスにおいてどの企業も最終的な目標は環境問題を無くすことです。問題が深刻化している現在、お互いが協力し合うことが環境問題を解決するには必ず必要ですし、技術を高めあう事もできます。適材適所でそれぞれの分野の強みを生かし、1つの目標を達成するために頑張って行くことが必要だと思います。
会長 水質環境問題と聞くと僕はマイクロプラスチック問題ぐらいしか知らなかったのですが、ヘドロの削減ビジネスの需要はどのぐらいの規模なのでしょうか?
山下さん 実はヘドロは世界的に深刻化している結構やっかいな問題なんです。ヘドロの特徴は、硫化水素を発生するので生き物が大量に死にます。また、悪臭が発生し近隣住民に影響を与えます。 それ以上の問題は、メディアがあまり取り上げていない事です。マイクロプラスチック問題などと比べると知名度が非常に少ないんですが、ダイバーの人たちなどから話を聞くと、日本の海はすでにヘドロまみれになっているそうです。だから自分は‘ヘドロ問題を解決する係’だと思っています。
後半へ続く。。。
・小ネタ
1971年に公開された特撮映画『ゴジラ対ヘドラ』に登場する ヘドロから生まれた生物‘ヘドラ’。 1970年当時、今より日本で深刻化していたヘドロ問題をモチーフにしたユニークな怪獣である。
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