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本当は分かっているのに、さらに負のループは大きくなる

私が日本で出産後、夫は喜んで日本にやってきた。
赤ちゃんを抱っこして嬉しそうにケアしていた。

夫は自分の国で仕事をしていたため、数日しか日本にいることができなかったが、その数日の間にも意味のわからないことで切れたのだった。

出産後数日病院で過ごし、赤ちゃんに問題もなく私たちは無事退院した。

私は赤ちゃんと実家に帰り、母の助けを借りながら育児をスタートさせた。

産後数ヶ月は実家にいて、赤ちゃんの様子を見て夫の国に引っ越す予定だった。
夫は出産に間に合わず、仕事の都合で初めて赤ちゃんと対面したのは私たちが実家に戻った後だった。

私はとりあえず体調が悪く、寝不足と腱鞘炎や腰痛でかなり参っていた。

これはどこの旦那さんにもよくある話だと思うが、男性はやはりどこか不器用で、わかっていると言っても実際やってる私からすると全然わかっていない。

普通の夫婦ならそれを言えるのだろうけど、私たちは普通ではないから私はなかなか夫に言い出せなかった。

私の母が私のそばにいる時間が長かったこともあり、夫はそこまで態度は悪くはなかった。

ところが、旦那が突然へその緒はどこだ?と言い始め、私はその時体が辛すぎて正直それは後でいいでしょ?
と思っていた。

私は恐る恐る、どこに置いたか忘れてしまった。
落ち着いたら探すから少し待ってほしい。

そう言うと、夫はやはり怒り始めた。

そして私の実家中を血眼になって探し回った。

洗濯機の中、全てのトイレの便器の中、トイレのゴミ箱まで。。。

そんな夫を見た母は私に”何があったの?”
と聞いた。

”へその緒を探している、私が失くしたことにキレている”

母はすぐさま夫の方へ行き

”へその緒なんて今大事じゃないでしょ?!娘が大変な時にへその緒のことで今騒ぐ時じゃない。赤ちゃんが無事産まれだけで奇跡なのに、へその緒なんかどうでもいいでしょう。娘と赤ちゃんに余計なストレス与えないで”

と母は日本語で言った。
その時夫は日本語は分からなかったが、多分伝わったのだと思う。

夫はその時は何も言わず、大人しくしていた。


この時は大人しく黙っていたが、”へその緒”の件と私の母に対して沸々と怒りを溜め込んでいたのだ。


流石にこの時は、私の体が辛すぎて夫の不機嫌や暴言など気にしたり、夫を気遣う余裕など一切なかったため夫も大人しくしていた。


赤ちゃんがあまりにも小さく、か弱くて、私は絶対この子を守ると決めた。
何があっても、夫であっても、絶対傷つけないと強く思った。

子供がいることであれだけ人格否定されても、誰だか分からないほど殴られても生きることを諦めなかった。
同時に子供がいることで、一人で子供を育てていけるのか?
一人ならなんとかなる。路上生活だって最悪できるだろう。
でも子供がいるとそう言うわけにはいかない。
夫に殴られたから、殺されそうになったから、家族も誰もいないから、仕事がないから、お金がないから子供と路上生活なんてことは許されない。

アメリカではもしそうなった場合、子供は路上生活者になれないから子供だけはどこかに連れて行かれる。
私の場合、子供だけ取られて夫の元に返されただろう。

負のループはずっとずっと続き、その生き地獄からは抜け出せない。
逃げればいいのなんて分かっている。
子供にとっていい環境ではないことも重々分かっている。
でも海外で夫しか知り合いがいない場所で、一体一人で何ができる?

何を言っても、子供だけは守らなければいけない。
子供のことだけは言い訳はできない。
子供には私しかいないのだ。
夫の元に置いて出るなんてことは絶対にできない。

あの頃を思い出すと今でも辛い。
いつか思い出しても辛くなくなる日が来るのだろうか?


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