
「自分のせい」だと感じてしまう人ほど、原因追及ではなく、問題のカタチで捉えてみよう【とあるエッセイ #02】
「〇〇のプロジェクトが、そちらのチームの影響でうまくいっていない」
「✕✕の問題が起きているのはなぜか?」
「△△について納得していない点があるので、意見をしたい」
マネジメントやプロジェクトのリーダー、プロダクトマネジメントなど、責任を持って推進する立場になると、このような相談を持ちかけられることは少なくない。
また、時には相手から強いマイナス感情を伴った接し方をされることもあるだろう。
もちろん、その場で解決できることもあるが、難しいものもある。難しいことが増えていくと、責任感が強い人ほど「うまくいっていないのは自分のせいではないか?」と、気づかぬうちに自らを必要以上に責めてしまうことがあるのではないか。
私自身も責任感が強いほうなので、そのような負のスパイラルに陥ることがある。何と言っても、私はA型の長女であり、それはもう生まれたときから染み付いているレベルである。
いろんなことで実は傷ついていたり、困っていたりしても、引っ張る立場になると、そんなことも言っていられない。
つらい部分を隠しながら、みんなの前では前向きに!と周囲をエンパワーメントする姿を見せて鼓舞したり、課題解決に取り組む姿を見せざるを得ない。
そうやって、外面的に望ましい感情の演技が重なっていき、感情労働が増えていく。
感情労働が増えると、ふとしたときに「しんどいな」と感じ、場合によっては「うつ病」など、メンタルダウンしてしまうこともあるだろう。
仕事でメンタルダウンして自分の人生すべてを棒に振るほどではない、と言ってしまえばそれまでなのだが、責任感が強ければ強いほど、そこから抜け出すのは難しいことがある。
感情労働が増えたとしても、すぐに何かを変えられないもどかしさを感じる人ほど、「外在化と内在化をして感情と事象を切り分けること」と「自分だけのコーピングリストをつくり、ストレスに対処する術を身につけること」を通じて、セルフケアで自分自身を救っていってほしい。
内在化と外在化
そもそも、感情の内在化と外在化とはなにか?

内在化
外部から得られた情報や経験、影響を自分の内面に取り入れ、それを個人の価値観や信念、態度として定着させるプロセス
外在化
個人の内面で生じる感情や思考といった現象を、外側の媒体に出して表現するプロセス (※)
「自分のせいだ」と思うことで、周囲で起きていることを必要以上に自分の内面に取り込み、内在化させてしまっていないだろうか。
内在化は無意識に起きてしまうこともある。だからこそ、感情を外に出して、外在化することが重要である。外に出すといっても、誰かが見えるところでやる必要はない。
人によって合うやり方があるだろうが、私の場合は体験作文のように書くことで、感情も含めて外に出しやすくしている。
やり方
その日起きたことを感情とともに一気に書き出す
改めてもう一度読み直し、感想を述べる
「感情とともに」というのがポイントだ。また、具体的な出来事とともに書き示すことも重要である。
架空の事例を元にして記載すると、例えば以下のようなものである。
今日は戦略を決定するための会議があった。
私はそこでの戦略提案とファシリテーションを任された。
これから半年の戦略についてディスカッションをする会議であり、ためになる議論ができるのか、自分のアイディアは筋がいいのか、不安があり、参加前から少し緊張していた。
会議が始まった時、ランチタイム明けの午後イチだったため、少しうわの空な人も多かった。場を和ませようと思い、朝に見た面白いニュースの話をしたが、「そんなことがあったのか」とAさんがひと言反応してくれただけで、全体的に反応が薄く、すべってしまったと思った。
そこから会議が始まり、Xプロジェクト、Yプロジェクトの順番で議論が進み、最後に自分のプロジェクトの番だった。
XプロジェクトもYプロジェクトも今期に目標としている数値達成が厳しく、原因追及への議論が増え、重苦しい雰囲気になっていた。自分のプロジェクトの成果は、XプロジェクトやYプロジェクトと比べるとビハインドは少ないが、達成には至っていないため、その流れで原因追及の議論に終始していた。
事前に調査していない点も指摘され、解答がしどろもどろになってしまった。会議のファシリテーションを任されていたにもかかわらず、自分の番になってからは周りの顔もあまり伺えなかった。
みんな、眉間にシワを寄せているように思えて、焦ってしまっていた。会議終了時には全然うまくやれなかったと落ち込みつつも、次回への期待を述べて場を終了させた。
会議室を出るときに、Aさんが肩をポンと叩いて、「おつかれ」と言ってくれた。うまくいかなかったから、なぐさめにそんな言葉をかけてくれたのではないか、とさらに惨めな気持ちになった。
最初は感情を素直に書き出すことが難しいかもしれないが、とにかく思い浮かんだまま一気に書くことが大切である。
誰にも見せないので、誰の目も気にする必要はない。
そして、ここから改めて冷静に見直す。あまりに感情に引っ張られそうなときは、すぐに見直さずに、1日置いてみるのも効果的だ。
そうやって改めて見直すと、「そんなに失敗したか?実際にビハインドはそんなに離れていないし、このまま行けば達成できるのでは」「Aさんは感謝の気持ちで言葉をかけてくれたのでは?」といった違う捉え方が浮かんでくることもある。
このように自分なりの外在化の手段を持っておくことが、セルフケアには大切である。
また、それ以上に今苦しんでいる人は、まず自分のストレスを軽減することにも意識を向けるべきだ。
いつもと違う場所でリモートワークをしてみる
朝ちょっと歩いてみる
部屋の模様替えをしてみる
目を閉じて呼吸に集中する(マインドフルネス)
・・・
自分に合ったセルフケアのやり方を見つけてリスト化し、タイミングに合わせていつでも引き出せるようにしておくと、対処しやすくなる。
こちらの書籍には、さまざまな手法がわかりやすく紹介されているので、まずは気になったものから試してみて、自分に合った方法を見つけてほしい。
苦しいところに留まりすぎず、こうやって自分自身を大切にすることがセルフケアにつながっていくと思う。
つらい、と自分を責めたくなるときほど、ひと呼吸を置いてケアしていきたいものだ。
今回のエッセイはPodcastで話した内容について、改めて補足的に書いています。
ぜひ、Podcastも合わせて聞いてみてください📻
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