『|眷愛隷属《けんあいれいぞく》~白狐と|貉《むじな》~』
夜光花著
イラスト 笠井あゆみ
リブレ
ケンカするほど仲が…?
世の中には、理由もわからないが肌が合わない相手に遭遇することがある。
ほんのちょっとした仕草や言葉の言い回しが気に障り『苦手だな』と感じるともうダメだ。
条件反射で、気配や声を感じただけで、その場からはなれたくなる。
たいがいの人はそうなのではないかと思うが、この物語の主人公の慶次は、それを逆手にとって進んでゆく。正に『鋼のメンタル』を持っているのだ。
いやなら、避けて通れば済むのに、そういう消極的な解決ではなく、真向からぶつかってはねのけようとする。
すべては、当たって砕けろのプラス思考の塊だ。
一方、もう一人の主人公有生は、もって生まれた特異な能力のおかげで他人とのコミュニケーションを絶ってきた人物。
気分屋で冷酷で人を寄せ付けない空気に誰もが恐れおののく。
みんなができるだけ機嫌をとろうとするのに、慶次だけは面と向かって歯向かってゆく。有生はそんな慶次にだけはなぜか興味を持っている様子。
「すげえ、真面目で受ける~。なあ、セックスしよ」
お茶でも誘うようにセックスを強要する。
「ばーか。誰がお前なんかとやるか!」
売り言葉に買い言葉のバトルが始まる!
会えばケンカのこのふたり、本人たち以外から見たら、イチャイチャじゃれあっているようにしか見えないのだ。
ケンカができるというのは、互いのどこかが気になっているからなのだそうだ。
そういえば、「なんかこいつムカつく」と思ったら自分の嫌いな部分と相手が重なっていたりする。いやなら、距離をおけば いいものをなぜかそれを指摘してしまうのは、相手にそこを治してほしい気持ちの現れなのだ。
わざわざそこを突いてしまい、ケンカに発展してゆく。
そして、ケンカするほどに相手を知ることになり、自分以外の人間が相手に同じ指摘をすると、横取りされたみたいなくやしさがあふれる。
その気持ちは徐々に嫉妬心となり、相手から目が離せなくなってしまう。
好きと嫌いの紙一重の、二人のやりとりがかわいくて、笑える。
全7巻に及ぶこのシリーズ、まだまだ変化する二人の行く末をワクワクしながら、ページをめくる手が止まらない!
全7巻紹介
①眷愛隷属―白狐と貉―
慶次が晴れて討魔師になり、有正との腐れ縁の始まり
②きつねに嫁入り―眷愛隷属―
高校を卒業して、初めての討魔師としての仕事。なのに、有正にアゴであしらわれて…
③狼に捧げたい―眷愛隷属―【番外編】
有正の兄、耀司と恋人、柚の物語
④狐の告白 狸の添い寝―眷愛隷属―
有正の元カノが義母に!?互いの本心があらわに❗️
⑤恋する狐―眷愛隷属―
恋人って難しい!?好きだからすれ違うもどかしい二人!
⑥狐の愛が重すぎます―眷愛隷属―
俺って最低のイヤな奴だ。嫉妬心から眷属を失ってしまった慶次は?
⑦狐の弱みは俺でした―眷愛隷属―
狼の子供を預かることになった慶次だが、慶次を自由に出来ない有生は面白くなくて……⁉️
眷愛隷属とは
夜行先生の作品には、霊能力や神仏にかかわる能力をもつキャラクターがよく登場する。
陰陽師や山神の子、呪術師など。
そして今回は討魔師。
討魔師とは、眷属をつけて妖魔や霊を祓うことを生業にする者。
で、『眷属』について紐解いてみた。
ググってみると
有生についている狐は白狐。文中にも慶次が伏見稲荷にお許しを乞いに行く場面が書かれている。
慶次と有生の伯母の律子は和歌山で八咫烏を眷属につけていた。
いろいろ調べてみると面白いので、キャラクターがらみの神社をあげてみることにする。
九頭龍神社【箱根】
九頭龍
✳️一説には九つ頭の龍は眷属に納まらず、宇宙を支配するとか。霊験あらたかです。
柳森神社【東京都】
狐、貉
豊川稲荷【東京都】
狐
熊野那智大社【和歌山】
八咫烏
伏見稲荷【京都】
狐、白蛇
石清水八幡宮【京都】
鳩
春日大社【奈良】
鹿
✨✨✨✨
伊勢神宮のお参りの順番とかいろいろ勉強になっちゃう🎵このシリーズ‼️末長く続きますように🎵