小説「ふたりだけの家」2(全13話)
「……いやあ、可愛い」
ピンクのベビー服を着た若葉ちゃんを抱きながら、奈美は小さく歓声を上げた。若葉ちゃんは奈美の腕の中で、ぷっくりした頬を緩めて笑っていた。
「ああ、よかった。嫌われなかったみたい」
奈美がほっとしたように言うと、若葉ちゃんの母親の響子さんが応じた。
「だから言ったじゃん。奈美なら絶対大丈夫だって」
奈美の専門学校時代の友人である響子さんが訪ねてきたのは、三月はじめのことだった。若葉ちゃんは響子さんのふたり目の娘さんだ。長女である四歳の青葉ちゃんはこの