チェンバロ名盤紹介(2):Landowska plays for Paderewski
かつてバッハをチェンバロで弾くことが悪趣味だと言われた時代がありました。そして今やモダンチェンバロは紛い物と謗られて顧みられず。でも、ランドフスカ女史はそんなことはお構いなしに愛用のプレイエルでショパンのマズルカだって弾くのです。
1曲目はミハウ・クレオファス・オギンスキ(1765-1833)のポロネーズ「さらば祖国」。
オギンスキはポーランドの貴族で、若くして外交官として活躍すると共に、熱心な音楽愛好家でもあって、ヴァイオリンとクラヴィコードを嗜みました。1794年のコシチュシュコ蜂起でオギンスキは部隊を率いてロシアと戦いますが、反乱は失敗に終わり、彼はコンスタンティノープルに亡命を余儀なくされます。このポロネーズはその際に作曲されたものだと言われています。皮肉なことにこの曲はロシアで人気を博すことになるのですが。
ただし、このポロネーズの帰属には疑いもあり、カツペル・ナポレオン・ヴィソツキ(1810-1850)を真の作者とする説が出されていますが、それより古いギター版もあったりして、今のところ真相は不明です。