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伽戸ミナ
2024年11月23日 17:42
愛とかどうでもよくなってしまいました。空腹とか無視できるようになってしまいました。春風のようにやさしい声で教科書が読み上げられる火曜の三限では、あんなにも耐え難いものだったのに。大地を揺らすほどの助けを求める叫びでも、電車の走行音のように気にも止めなくなりました。色彩とかどうでもよくなってしまいました。赤色と橙色の中間とか考えなくなってしまいました。だいすきな詩集を読んでいても、言葉が文
2024年11月5日 11:30
授業がおわった。周りが一斉に立ち上がる気配がする。ぼくは板書のさいごのさいごをノートに写している。教室の空気が渦巻いている。ぼくは渦と渦の狭間でぐずぐずしている葉っぱのような心地になった。ぼくはいつも周りとズレる、と思って周りを見ると、周りとズレている人はけっこういることに気づく。朝に買ったおにぎりが入ったビニール袋を鞄から取り出す。椅子を引くと、床を削ってしまっているような音がする。