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閑文字

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詩をまとめています。楽しんでいただけたらうれしいです。
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2024年9月の記事一覧

噓が混ざる

地面を叩きはじめてようやく
雨が降っていることに気づいた
雨の正体は粒なんだってことに脳ででしか気づけなくて
目でとらえられるのは竹串みたいなもの
無数の雨粒がバケツのみなもにまるく刺さっている
透き通っているものが偉いって声が
揃い始めたあたりから
雨は短時間で大量に降るようになった気がする
逆かもね。ねもかくゃぎ
Gyakukamone.enomakukayG
不純物の美しさに感動することを許

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漂白

息子の制服のワイシャツの襟汚れをごしごしこすっていると
鹿の解体をしているような気分になった
すうっととぎれなく皮が剥がれる快感とおなじものが
へその奥でふくらんでいった
あんなにはやく危険を察知して
北風のように駆けうつくしく跳び越えていた胡桃色の体躯が
玩具みたいにパコパコと外れて
なまぐさい笑みが自然とこぼれた、ことを思い出した
白くなったワイシャツを見て
なにかとんでもないものに加担してい

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