認知症介護ガジェット:徘徊・迷子対策に見守りGPSを比較しました<後編>
本記事の初出は家電批評2022年1月号と2月号です。
執筆:岡野学/協力:工藤広伸/編集:家電批評編集部(商品紹介のリンクはアフィリエイトを含みません)
前回、おかんがひとり歩き(徘徊)したり、出かけ先で迷って帰ってこられなくなったりする前に、居場所を特定するための「見守りGPS」を“再度”持たせようと決意した僕。
今回は、最新の見守りGPS4台を、おかんに代わってテストした模様をリポート
今回比較したのは以下の4製品です。
まず、小手調べで自宅から最寄り駅へ徒歩移動。川沿いの開けた遊歩道なのに、いきなり対岸にワープする製品が出て驚きました。最寄りの駅では、通ってきた道に近い入口を使わず、反対側に回り込んでどうなるか実験。位置更新間隔の短い「みてねみまもりGPS」だけがついてきましたが、現在地のポイントを見るとワープしただけかも……。
次は電車で移動して、新幹線が走っているターミナル駅へ。そして広い構内をうろうろ歩き回ってみました。すると屋内だからか、電波が飛び交っているからか、リアルタイム表示に「みもりGPS」がついてこられなくなる場面も。ただ、あとから軌跡を見るとかなり正確な位置をポイントしていたのが不思議でした。
乗り物のチェックでは、地下鉄移動がかなり苦手だと判明。地上に出れば測位を再開するので地下鉄を使ったことはわかりますが、駅にいる限りおかしな場所を示されるので注意が必要です。ただ、「みもりGPS」は軌跡が修正されたのか、リアルタイム確認時とは違う、正確な位置にポイントが打たれていました。そんなことってあるんでしょうか?
また、全体的にバスやタクシーなど、軌道が蛇行する高速移動は苦手なようです。タイミングが合わないと、ずっと道路ではない場所を突っ切って進みます。
テスト1:川沿いから最寄り駅へ歩く
ワープする製品が出現。駅への迂回路でも差が出た
家から川沿いの道を通って最寄り駅へ向かうシーン。「みもり」以外が対岸の宅配便会社へ一瞬ワープ。下のスクリーンショットは最寄り駅付近の様子で、直線的な経路ではなくあえて路地を進んで測位を難しくしたところ、どの製品もルート通りには記録できず。ただし、実際のルートにやや近い「みてね」と駅前は迷うものの、川沿いでワープをしなかった「みもり」を◯として評価しました。
テスト2:広い駅の構内を歩いたときの位置精度
大きな駅で正確な場所を表示できたのは2製品だけ
ホーム間の移動などの細かい動きはどれも苦手。そこで新幹線の改札前で待機。「まもサーチ2」と「みてね」が正確な場所を表示するも、「みてね」はワープしており減点としました。
テスト3:地下鉄のホーム
ほとんどが位置を見失うので地下鉄の駅では注意
地下深く潜ると、リアルタイムでは全ての端末が居場所を見失い、見当違いの場所を表示。ただ、あとから軌跡を見返すと、みもりだけ現在地近くを示していました
テスト4:ショッピングセンターの中で位置を示せるか?
屋内に入ると位置を見失うものも現れました
どれも屋内に入ったことはわかり、「どこかなGPS」以外は軌跡も似ています。しかし周囲にビルが建ち並んでいるせいか、「みてね」は屋外に出てから動きが乱れ、あちこちにワープしてしまいました
テスト5:バス移動
狭くてくねくねした道の乗り物移動はどれも苦手
実家まで路線バスに乗ってみると軌跡が飛び飛びに。通信のタイミングがうまく合えば道路上を示してくれますが、経路を把握するのはかなり困難です
テスト6:団地裏の実家を示せるか?
巨大団地の実家で建物内に入れたのは2製品だけ
先代モデルでは実家に入ってくれなかったみもりが、ようやく実家内に入ってくれました。まもサーチも中に入ったので合格。どこかなは端っこですがギリギリ合格
今回のテストでもっとも高精度だったのは「みもりGPS」でした
こんな感じでテストした結果、一番精度が高いと感じたのは「みもりGPS」。動作がもっさりすることもありましたが、位置は正確。第2世代になり、従来品では近所をうろうろするだけだった実家に“入れる”ようになったのもうれしいポイントです。バッテリー持ちがいい製品はほかにもありましたが、従来品よりは改善。これなら2台買って入れ替えながら使う必要もなさそうです。
各製品の寸評をまとめました
「みもり」を導入したいものの、認知症介護の立場からするともっと小型化してほしい
さて、残る問題は大きさと重さ。おかんが「重くてイヤ」と言った従来品よりは小さく軽くなったものの、まだ結構な存在感が。うーん、どれもいまいち決め手に欠ける……。持たせる方法は要検討です。
2回にわたってお届けした「見守りGPS」のテスト。製品選びの参考になれば幸いです。
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