『どうして分かってくれないの?』について
メンタル疾患にかかった多くの人が感じた事あると思います。上司、同僚、家族、友人……。病院に行って診断受けて、この病はこれだけツラいんだと何度も何度も説明しても根本的には理解してくれない。
腫れ物に触れるかの様な態度ならともかく、仲良いと思っていた人が離れてしまった経験をした人も少なくないはず。
最悪の場合「あなたが悪い」「そんな考え方するのがおかしい」などの言葉を頂戴する事も…。
なぜなんでしょう?
・『メンタル疾患』『精神病』という呼び方
確かに発病にはストレスが大きな要因の1つになっている事や、症状として精神が不安定になります。
しかし身体で何が起こっているかというと脳の伝達物質の異常であったり、自律神経系が乱れています。その結果として精神に影響が出ているのです。
要は『メンタルは発病のきっかけになったり症状として不安定になるけどれっきとした身体(脳)の病気』なんです。
身体症状も強いです。
それにも関わらず精神疾患と呼ぶ事は誤解を受ける1つの原因ではないかと考えています。
その結果『気の持ちよう。考え方を変えればいい。』とか『ストレス源から離れればすぐ治る』と思っている人も実際にいます。
まぁ完全に間違ってはいないのですが…急性期の段階ではとてもツラい言葉です。
・うつ病は心の風邪という言葉
この言葉、皆さんも一度は聞いた事あると思います。しかしどういう意図を持って『風邪』と例えたかまで考えた事ありますか?
これは風邪のように誰でも罹る可能性がある、という意味で使われる様になりました。
しかしこの言葉『少しの間休めばすぐに良くなる』との誤解を受けやすい危うい面もあります。
うつ病になって休職したけど〇〇ヶ月で復職した!という話聞いたことありますよね?絶対とは言い切れませんが復職=寛解じゃありません。復職してからも闘病は続く場合がほとんどです。
まず復職した段階で既に断薬まで出来てる人はいません。不安と闘っている状況は続いているのです。
しかし周囲の人はそうは捉えません。『仕事出来るようになったから治ったんだ』と考える人も多いです。
ここで『仕事して欲しい会社+社員』vs『配慮して欲しい当事者』という構図が生まれます。
しかも休職した本人は少なからず迷惑をかけたという負い目を感じている事があり、なかなか配慮して欲しいと伝えられない。
そんな状況が積もっていって『なんで分かってくれないの?』となる訳です。
・ひとりひとり症状が違う
これがでかいですよね。というか同じ症状でも医者によって病名違ったりするし。
私は社会不安障害で電話恐怖とか目上の人と話が苦手だったりしますけど、他の方は会食不安とか広場恐怖だったりある訳です。
要はストレスを感じる場面は人それぞれなんです。もちろん回復の速さも方法も全く違います。
これじゃ周囲の人はどんなにパンフレットやネットの情報見てもスタンダードを知るだけで変化球には対応できないんです。
・精神疾患の人はどうやって理解を得るのか
単刀直入に結論を言います。『完全に理解してもらう事は不可能』
身も蓋もないけどこれが現実です。逆に貴方が難病に罹っている他人の全てを分かってあげられるのか考えて下さい。
無理です。
当事者しか理解出来ないんです。
これで記事が終わってしまったらなんの価値もないのでちょっと考え方を変えてみましょう。
他人に求めるのは理解ではなく『配慮』です。そして配慮が必要な場面はより具体的な方が良い。
もちろんそれには自己理解が必要です。
「いつ、どこで、どんな場面もしくはどんな人に対して、どの様な症状が出るか。そして、どんな感情になるのか。」
加えて
「日常生活や社会生活の中でどのような場面にストレスを感じやすいか。」
ここまで自分のことを知ってからようやく「他人へ望む配慮方法」が見えてきます。
気を付けてほしいのは考える中では「ありのままの自分」を見ること。
自分はこんなに弱くないとかこんな自分は嫌だ等「理想の自分」のイメージを捨ててありのまま現実を受け入れる必要があります。
配慮事項が見えてきたら必要な相手に伝える必要があるんですが、これもハードル高いですよね。自分をさらけ出す行為は間違いなく怖いです。
でもちょっとだけ勇気を出して下さい。決して関わる全ての人に伝える必要はありません。配慮して欲しい人だけで良いんです。
言葉にするのが難しいなら箇条書きしたメモを渡すだけでも良いです。相手が何か疑問に思ったなら聞いてきてくれます。
こうすれば相手は感情じゃなく情報としてあなたの状態が分かります。対応方法も明確です。
・まとめ
理解してもらいたい気持ちが先行し過ぎると自分も相手も負担になります。
理解ではなくて配慮を求めてみましょう。
※ここまでやっても配慮してくれない人はもうあなたに向き合う気が無い人か配慮出来ない人です。距離を取ることをオススメします。
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