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世界一分かりやすい業務マニュアルの作り方──美容室174店舗統括・山本智大

「売上が上がれば上がるほど時間がなくなる・・・・・・」

事業が軌道に乗り始め、お客さまが増えてくると、誰もが直面するのがこの悩み。それを乗り越えるために必ず必要になるのが「マニュアル」です。

ですが、

  • どこから手をつければいいの?

  • どのタイミングで作成し始めるといいの?

  • どうやってマニュアルを浸透させていけばいいの?

  • 完璧なものを作らないといけないの?

と、さまざまな疑問や不安もあると思います。

そのような「マニュアル作り」に関する素朴な疑問を、広報・今村ゆりが代表して”ある人”に聞いてきました。

全国47都道府県で174店舗を展開し、約400人もの従業員を抱える美容室「Dears(ディアーズ)」。その舵取り役である山本智大さんです。

山本さんは、Dearsの統括として、マニュアルの作成・運用・改善にも携わっています。

「40点の完成度でかまわないので、まず作り上げてみることが大切です」

そう語る山本さんに、誰でも始められる”マニュアルの作り方”を教えてもらいました。


講師情報:山本智大

Laboratous株式会社の上席コンサルタント。22歳から起業し、今まで9つの事業を立ち上げ、2.5億円規模の会社の経営実績を持つ。Dearsグループでも2年で7店舗の出店をし、リスクのない店舗出店フローを作り、Dearsグループ(全国174店舗)の統括に着任。その経験を元に、60社以上の企業顧問として事業拡大に導く。


事業成長に伴う「時間の壁」とマニュアルの必要性

今村:今日は山本さんにマニュアル作りについて詳しくお伺いしたいと思います。はじめに「なぜマニュアルが必要なのか」を、山本さん目線で改めてお聞かせいただけますか。

山本:はい、ありがとうございます。はじめは自分一人で事業を始める方が多いと思います。本人は能力がありますし、頑張れば成果を出すことができるわけですが、事業を拡大していくとなると、自分以外の人にも業務をやってもらわないといけないタイミングが必ずやってきます。

今村:その通りですね。

山本:特に売上が伸びてくると、必ず「時間がない」という壁にぶつかります。お客さまが増えれば、その分対応しないといけないことが増えるわけですよね。当然、スタッフがいなければ、そこに駆り出されるのは自分しかいません。

結果として、「お金は増えたのに豊かにならない」というモヤモヤを抱えてしまったり、お客さま対応に振り回されるばかりで、肝心の経営や集客活動に時間が取れなくなってしまったりする方も散々見てきました。

マニュアル作成のベストタイミングは”一人”の今!

今村:マニュアル作成に着手するタイミングはいつがベストでしょうか?

山本:自分”一人”の段階から着手することをお勧めします。「こうやったらうまくいく」というのがだんだん分かってくる段階から始めるべきですね。

もし「自分のやってることが整理できていない」という方は、先にマニュアルを作って、自分がそのマニュアル通りにやってみるというのもすごくいいと思います。

今村:たしかに、自分でも言語化できていない”感覚”で行動している場合だと、成果の再現性も見落としがちですよね。そういうときには、先にマニュアルを作って、その通りに行動しながら、エラーが出たときに書き足していくと、再現性のあるマニュアルに近づく気がしました。

山本:そうですね。

今村:実際、どこからマニュアルは作り始めればよいのでしょうか?

山本:店舗ビジネスと無形商品では少し変わってきます。

店舗ビジネスの場合には、出勤から始まる「1日の流れ」をそのままマニュアルにしてみるのが、一番シンプルで作りやすいと思います。

無形商品の場合は、まず自分がやっている業務を洗い出す必要があります。その上で、「これって自分じゃなくてもいいな」という作業(入力作業や資料作成)から、マニュアルにすると、受け渡しやすいですね。

重要なポイントとして、私が意識しているのは、中学生でもできるようなものをイメージすることです。専門用語を避け、シンプルな誰でも分かる言葉を使うようにしてください。

雇用が進んで、さまざまな背景の人が混じり合ったとき、「言葉の意味がわからない」ということが起こり、マニュアルが機能しなくなってしまうからです。

マニュアルは能力開花のツールではない!?

今村:マニュアルを作る際、つまづく人が多いポイントはどこですか?

山本:マニュアル作りに複雑なイメージを持つばかりに、なかなか完成しないパターンが非常に多いです。最初は40点くらいでもいいので、まず1回作り上げてみることが大切です。仮マニュアルを完成させるために、半年も1年もかける必要はありません。

今村:マニュアルの「完成」をどこにするかで悩みそうです・・・。

山本:そもそも、マニュアルは能力を引き上げるものではなく、サービスの品質を一定値に揃えるためのものです。80点の力がある人を90点~100点に引き上げるというよりも、30点くらいの力がある人が70点くらいまで引き上がるというイメージですね。

マニュアル導入の正しい手順

今村:作ったマニュアルはどのように導入していけばよいですか?

山本:いきなり全体に落とすと大体失敗します。私は「必ず小さいテストをしましょう」とお伝えしています。例えば、入社したばかりの人や、売上が伸び悩んでいる人から1人ずつテストしていくといいですね。

今村:すでにマニュアルがなくても成果をあげられている人にはどのように対応しますか?

山本:既に成果を上げている場合には、マニュアルを適用しない判断をすることがあります。急に「マニュアル通りにやってね」と言っても、反発が起こることが予想されます。もし、それが原因で離職ができれば、会社として大きな損失となるため、慎重に判断します。

マニュアルの更新と見直しのタイミング

今村:マニュアルの見直しはどのタイミングで行うものでしょうか?

山本:マニュアルは、基本的には「この通りやったらこの数字になる」という結果とセットにすることが多いです。マニュアルによって作ることができる数字に変動がない限りは、マニュアルの変更は必要ありません。

ただし、事業拡大に伴って、これまでとは違うタイプのスタッフが入社したときや、出店エリアを変えたときには、スタッフ・県民性に合わせた修正を行うこともあります。

また、市場に変化があったときも、マニュアル修正が必要になります。美容室「Dears」は、2015年の開業当初から「髪質改善」を売りにしてきました。

ですが、今では「髪質改善」を謳う美容室が一般的になってきています。よって、サービスとお客さまの期待値に、ズレが起こらないよう、当店と他店の「髪質改善」の違いを伝えるようなマニュアルに修正しました。


最後に

今村ゆり

今回のお話を聞いて分かったのは、マニュアル作りは決して難しいものではないということです。

ルーティンでやっているような簡単な作業から書き出してみることがマニュアル作成の第一歩になると学ぶことができました。

マニュアルは、未来の自分を助けてくれる大切な味方になってくれます。

忙しくなってから慌てて準備を始めるのではなく、今のうちから少しずつ準備を始めていく。

それが、事業を大きく、そして強くしていく、近道なのかもしれません。

▼より詳しく知りたい方はこちらから▼

※この記事は上記対談の内容を一部編集して作成しています。動画の中では、美容室「Dears」でのマニュアル導入事例など、より詳しくお話いただいています。

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この記事を書いた人:今村ゆり

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