かぶきDOU其の20アフタートーク
皆様今回もコミてんラジオ かぶきDOUをお聴きいただきありがとうございました。台風7号の影響で急遽スケジュールの変更を余儀なくされた方が沢山いらっしゃるかと思いますが、皆様の安全をお祈りしております。
まずは今月11日東京都の国立劇場でタクシーが突っ込む事故についてお伝えしました。大劇場の入り口左側の喫茶店のあたりに突っ込んだようですね…10月の歌舞伎公演をもって国立劇場は建て替えになりますが、あと2ヶ月はありますので心配ですが、とにかくどなたにも怪我がなくて良かったです!
團十郎さん新之助さん博多の広告にお目見え
タイトル画にありますように、JR博多駅の博多口に9月博多座大歌舞伎13代目市川團十郎襲名披露 8代目市川新之助初舞台の交通広告が8/13まで掲載されていました。
博多口は駅から屋根づたいにタクシー乗り場へと行けますが、その屋根の柱部分、柱巻(はしらまき)前方には裃姿の團十郎さんと新之助さんのお姿が。
柱巻後方には博多座初上演となります暫の鎌倉権五郎景政と新之助さんの外郎売のポスターが掲載されました。掲載最終日の夜に沢山の人が行き交う中、なんとか写真撮影に成功しました!
そして8/14までは博多座最寄りの福岡市営地下鉄中洲川端駅のホームドアにずらりと團十郎さん、新之助さんのポスターが掲載されておりました↓
間近に迫る博多座での13代目市川團十郎襲名披露公演のボルテージも高まってきております!
5代目中村歌六さん8月9月ご出演舞台
今回も引き続き5代目中村歌六さんをピックアップしてお届け致しました。
歌六さんがこの度、重要無形文化財保持者 人間国宝に制定されることが発表されました。これを祝して前々回は歌六さんのルーツやプライベートについて詳しくご紹介し、前回は2代目中村吉右衛門さんと共演された令和元年の秀山祭「伊賀越道中双六 沼津」のかぶきDOU解説をお届け致しました。
今回は中村歌六さんがご出演の8月9月の歌舞伎座の演目について「ぽち解説」をお届け致しました。ネタバレにならないように、ビギナーの方にもわかりやすく…ということで「ぽち」とつけさせていただきました。
かぶきDOUぽち解説 新門辰五郎
早速の舞台は歌舞伎座の8月納涼歌舞伎ですが中村歌六さんは第二部 新門辰五郎(しんもんたつごろう)で絵馬屋勇五郎(えまや ゆうごろう)を勤められています。
主人公は江戸の町火消し、浅草十番「を」組の頭 辰五郎 松本幸四郎さんです。
時は幕末、辰五郎は若き将軍 徳川家茂の上洛にともない、親交があった徳川慶喜に依頼され仲間を引き連れて京都にやってきています。
地元の人々からの評判も高まるなか開国に反対する攘夷派や、これまで京の都を守護してきた会津方と対峙していきます。
京都を守護してきた会津の小鉄(こてつ)を中村勘九郎さんが勤められています。歌六さんは「を」組のベテラン 絵馬屋勇五郎を勤められています。
熱い男たちのセリフ劇が特徴でもある真山青果作品で歌舞伎座では47年ぶりの上演だそうです!この演目を初めてご覧になられる方も多いのではないでしょうか?イヤホンガイドで歴史背景を含めたWeb講座も行っていますので予習としてぜひそちらを参考されるのもおすすめです。8月納涼歌舞伎は27㈰千穐楽です!
そして9月の歌舞伎座は秀山祭となっております。今年は秀山祭九月大歌舞伎二世中村吉右衛門三回忌追善となっています。吉右衛門さんが天に召されてもう三回忌なんですね…しんみりしてしまいますが今年の秀山祭も注目の演目が揃っております!夜の部で吉右衛門さんのお孫さん丑之助さんが父の尾上菊之助さんと連獅子を勤められます。そして高麗屋の松本幸四郎さんなど播磨屋、3代目中村歌六、吉右衛門家に大変ゆかりの深い皆様が勢揃いとなっております。
祇園祭礼信仰記 金閣寺
中村歌六さんご出演の演目は秀山祭昼の部 祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺です。
天下を乗っ取ろうとする大悪人 松永大善(まつながだいぜん)を歌六さんが演じられます。大膳は時の将軍足利義輝を暗殺してその母慶寿院を豪華絢爛な金閣寺の楼上に幽閉しています。そこに此下東吉(このしたとうきち)を名乗る男が、大膳のお仕えを志願してきました。大膳は囲碁で勝負をしようと持ちかけ、セリフを交えながら2人が囲碁を打つシーンが役者の見せどころです。勝負に負けてしまった大膳は怒りにまかせて囲碁の板、碁笥(ごけ)を金閣寺側の滝に投げ込んでしまいます。そして手をぬらさずに碁笥を取り出せと、東吉を試します。東吉は金閣寺の樋(とい)を引き抜き、瀧から水を引き入れて見事碁笥を取り上げます。機転の良さを気に入った大膳は東吉を士官とします。
この金閣寺には絵師、狩野雪村(かのうせっそん)の娘、雪姫とその夫 直信も捕えられています。
美しい雪姫に大膳は「求愛を受け入れるか金閣寺の天井に絵を描くか」迫ります。「祖父の雪舟のお手本があれば描ける」と雪姫は言います。雪舟(せっしゅう)は水墨画の名手です。大膳はお手本はあると言い、金閣寺の横を流れる滝に剣をかざすと龍が浮かんできました。大膳は滝に浮かんできた龍の紋様を描けと要求します。
このようなことができるのは倶利伽羅丸という剣(つるぎ)のみです。倶利伽羅丸は雪姫の祖父、雪舟が当時の中国から持ち帰ったもので、父の雪村が所有していましたが、何者かに殺害された上に剣も奪われたままでした。
雪姫は父の仇が大膳と分かり、倶利伽羅丸を奪って斬りかかりますがあえなく失敗。桜の木に縄で拘束されてしまいます。夫の直信が処刑されると告げられ、満開の桜の下、祖父の雪舟の逸話を思い出し、花びらを足で集めてねずみを描くと、白ネズミが動き出し、雪姫の縄を噛みちぎってくれるのでした。しかしあえなく大膳に見つかりますがそこに此下東吉、実は真柴久吉(ましばひさよし)が武装姿で現れます。信長の命で慶寿院を救出するために潜入していたのでした。久吉から手渡された父の形見である倶利伽羅丸を胸に、雪姫は夫 直信を救うため花道をかけていくのでした。久吉は大膳の手下たちと大立ち回りの末、慶寿院を救い出します。このシーンでは金閣寺の舞台が大きく上下するのが大変迫力があります。怒り狂う大膳へ久吉は、のちの勝負を言い渡して幕となります。
「三姫と呼ばれる」歌舞伎の中で最も代表的なお姫様の役を中村米吉さんと中村児太郎さんがダブルキャストで勤められます。雪姫の夫 直信を尾上菊之助さん、慶寿院を中村福助さん。そして此下東吉、実は真柴久吉役を中村勘九郎さんが勤められます。歌六さんが勤められます松永大善は「国崩し」と言われ、歌舞伎で最も大きいスケールの敵役となっております。
菅原伝授手習鑑 車引 (くるまびき)
そして夜の部、菅原伝授手習鑑 車引では登場人物の三つ子の兄弟松王丸、梅王丸、桜丸はそれぞれ主人に仕える身でしたが主人同士の争いに巻き込まれ、今は対立する身です。
梅王丸と桜丸はともに主人の敵である、藤原時平(ふじわらのしへい)が乗る牛車を制止させます。そのはずみで車は壊れ、そこから現れた時平の険しい形相に怖れおののく梅王丸と桜丸です。
時平は松王丸が仕える主人でありました。時平は松王丸の忠義に免じて大目に見ることにします。
3兄弟の父の70歳の古希のお祝い「賀(が)の祝い」のあとに決着をつけようと別れる三兄弟であります。
藤原時平役に中村歌六さん、松王丸を中村又五郎さん、梅王丸を中村歌昇さん、桜丸を中村種之助さんが勤めます。あーりゃこーりゃの掛け声ではじまり、最後にでっけえと締めくくる化粧声(けしょうごえ)など、歌舞伎の様式美が光る演目です。
歌六さんが勤められます2役に共通している髪型が王子(おうじ)と呼ばれます。黒々としていてボリュームがあり、後ろ毛も長くとても威圧感を与える髪型です。王子は鬘の種類の名称ですが、時代物狂言の敵役の中でも公家悪や謀反人の役に使われます。迫力ある敵役の歌六さんの熱演が期待されます!
歌舞伎座秀山祭九月大歌舞伎二世中村吉右衛門三回忌追善は
9月2(土)初日、9月25(月)千穐楽です。
縁の一曲 中村歌六さん
続いては歌舞伎役者さんにゆかりの曲をご紹介する、えにしの一曲のコーナーです。
今回も5代目中村歌六さんです!かぶきDOUでもご紹介しています通り、同じ播磨屋の中村吉右衛門さんとのゆかりは大変深いものがあります。歌六さんは、2011年平成23年9月放送の中村吉右衛門さん主演のTV時代劇鬼平犯科帳スペシャルにご出演されています。前々回はエンディングテーマ曲をご紹介しましたが今回は鬼平犯科帳オープニングテーマをお届け致しました。
公演かわら版 坂東玉三郎さん キャナルシティ博多に
坂東玉三郎さんのお話と素踊りのステージがキャナルシティ博多で開催されます!玉三郎さんのトークコーナーと地唄舞「雪」のご披露です。11/23勤労感謝の日の14:30からと17:30からの2回公演です。
チケット発売は8/26(土)午前10時からチケットサンライズ、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケットです。詳しいお問い合わせはキョードー西日本まで。0570−09−2424(11:00―15:00日曜祝日お休みです)
以上公演かわら版のコーナーでした!
めでてえなぁ8/9-8/15
さてここからは今週お誕生日を迎えられる歌舞伎役者さんをご紹介する「めでてえなあ」のコーナーです!お名前と、所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。8/9から8/15がお誕生日の皆さまですがお一人です!
8/15お誕生日
市川猿弥さん澤瀉屋
1967年昭和42年8月15日生まれです。澤瀉屋の公演に子役として出演されたのがキッカケで10歳で澤瀉屋の部屋子になられました。幼い頃から舞踊や鳴物など、歌舞伎の芸の基礎を学ばれており荒事から3枚目まで、オールラウンダーの実力をお持ちです。
現在は歌舞伎座8月納涼歌舞伎の3部、新水滸伝(すいこでん)にご出演中です。中国の小説をもとに歌舞伎化された作品で、主人公 林冲(りんちゅう)を中村隼人さんが初役でさらに宙乗りも勤められています。林冲をはじめ総勢15人の荒くれ者たちが大暴れするというストーリーです。
猿弥さんのお役は荒くれ者のうちの一人、王英(おうえい)です。
ステージナタリーさんの記事で、この15人の登場人物全員が紹介されており、猿弥さんは「やりすぎかな?」と思う髭や眉毛も舞台で見るとちょうどいい(笑)と評されております。
そしてかぶきDOUでもご紹介いたしましたがTBSドラマ日曜劇場VIVANTでは主演 堺雅人さんの上司 丸菱商事の宇佐美哲也役でご出演中です。
たくさんの明るい話題を提供してくださる猿弥さんにかぶきDOUも助かっております。いつも本当にありがとうございます!
そして博多座の公演にも何度もお越しいただいておりますが、2000年平成12年11月スーパー歌舞伎が博多座に初お目見えした「新 三国志」にも猿弥さんはご出演されました。九州そして博多座での宙乗りもこの公演が初めてでした。猿弥さんは関羽の弟分 張飛を演じられ、この年の松尾芸能新人賞を受賞されています!
ちなみにこの公演には中村歌六さんもご出演で孫権役を勤められました。
またぜひ博多座の舞台にもお越しください。改めまして、市川猿弥さんお誕生日おめでとうございます!
いかがだったでしょうか?今回は文章に加えて画像も多めとなりましたが、ご覧いただきありがとうございました。
次回のかぶきDOU 8/22㈫午前10:00〜10:25生放送でお届けいたします。お楽しみに!
8/15You Tubeアーカイブ
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※権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりません。ミキサールームからのトークの為スタジオは無人で音声だけの配信となっております。ご了承くださいませ。
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