けいゆう

読書が好きな一般人。 読書の感想やら日常のことを記録がてら、ゆるりと書いていきます。

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最近の記事

 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭 一樹【読書記録】

あらすじとある田舎町で母と兄の3人で貧乏ながら暮らす主人公のなぎさ。お金という社会に対する実弾を手にして自由を得るべく、中学校を卒業した後は自衛隊を夢見ていた。 そんな最中、東京から海野藻屑が転校してくる。藻屑は親が有名歌手であり、お金持ちで容姿も垢抜けて端麗である。そのくせ、口を開いてはヘンテコな嘘ばかり言う。 そんな正反対の藻屑に初めは、自分の生活には関係ないと無関心であったが、接しているうちに惹かれていき親しくなっていく。 だが、藻屑は父親から日常的に暴力を振るわれて

    •  「かにみそ」倉狩 聡【読書記録】

      あらすじいつもどおり無気力に海岸沿いを歩いていると一匹の蟹に心を惹かれる主人公。人間の言葉を理解しているかのような蟹の振る舞いに、好奇心が湧き上がっていく。ある日、テレビが勝手に点いていることに気づき問い詰めると謝り言い訳をする蟹。喋る蟹と無気力な若者、そんな一匹と一人の奇妙な友情奇譚。 敬遠していた父の喪中に幼いころに出ていった母親に似た清野に出会う。 とっくに大人になった忍にとっては、母親かどうかなど聞けないまま、しばらく一緒に住むことになる。そこで清野が植え始めた不

      •  「ステーシーズ」大槻 ケンヂ【読書記録】

        あらすじ世界が狂ってしまい15〜17歳になった少女達が突然の死を迎え,、動く屍(ステーシー)へと変貌するようになった。そんな少女達を再び死なせるべく、政府による再殺部隊が組織される。理不尽と暴力の日々に人々の心までもが狂っていく。 感想(ネタバレ有り)・作品を通して、陰鬱とした雰囲気と世界に対する諦観、個人ではなく象徴的な罪と罰のようなものを感じた。 まず、この陰鬱さと理不尽さに関しては、フランツ・カフカの「変身」に似たものがある。人知の及ばない圧倒的な理不尽、それでもそ

        •  「わたしたちが光の速さで進めないなら」キム・チョヨプ【読書記録】

          あらすじさまざまな急速に進んだ科学技術によって、浮き彫りとなる人の孤独と傲慢さ。それに対する愛と優しさが描かれた7つの短篇集。 ・成人の儀としてまったく情報が明かされない場所に行く巡礼者 ・人類で初めて異星人と接触し、文化や生態を語れど場所は明かさない老婆 ・誰も知らないはずの星を鮮明に描く天才画家 ・何光年と離れた星にいる愛する人と会うため宇宙船を待つ老婆 ・感情を形にすることに疑問を抱く記者 ・データベース内から失踪した亡き母に再び会おうと奮闘する娘 ・突如いなくなった

         「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」桜庭 一樹【読書記録】

           「ノルウェイの森」村上 春樹【読書記録6】

          あらすじ唯一の親友キズキが自殺したことによるショックから逃れるように、東京の大学へと進学したワタナベ。真面目になんでもないような大学生活を送っていると偶然、キズキの彼女であった直子と出会う。同じ大切な人を失った同士で、懐かしさとキズキの影を感じ惹かれあっていく。ほかにも、同じ学部の緑や同じ寮に住む先輩の永沢など様々な人々と関わりつつ、喪失と再生の経験をへて青年から大人へとなっていく物語。 感想(ネタバレ有り)・全体を通して主人公の孤独感を感じた。ただ、読んでいくとルームメ

           「ノルウェイの森」村上 春樹【読書記録6】

           「ムーン・パレス」ポール・オースター【読書記録5】

          あらすじ幼いころに父と母を亡くし、伯父と一緒に暮らしていたフォッグ。唯一の家族であり、フォッグの人格の基盤ともなっていた伯父が突然に亡くなってしまい、深い悲しみからだんだんと無気力な生活へと落ちていく。 そんな中、偶然であった仕事先の老人をきっかけに、出会いと別れを繰り返しながら自らの家系の謎に迫っていく。 若いころの無鉄砲さやナイーブさを描いた青春小説。 感想(ネタバレ有り)・賢く若さゆえの純粋な主人公が、大切な人との出会いと別れを繰り返していくうちに、自分自身の立ち振

           「ムーン・パレス」ポール・オースター【読書記録5】

           「きら星きらり」坪井 聖【読書記録4】

          あらすじ小さな島の小さな街で、動物と話せる個性を活かして不思議な木の実を売るメテル。 人のためにと働く彼だが、普通の人とは違う特性に街の人たちは怖がりあまり近づこうとしない。 そんな中、不幸が重なってしまい塞ぎ込んでしまったメテルが、人の優しさに触れ再び前をむいて生きる物語。 感想(ネタバレ有り)・児童文学だからといって悪い人の描写がフワッとしておらず、しっかりと暗さと醜さを描いており驚いた。 この素直さが真っ直ぐ胸にささり、優しい心になれる。 ・美しさだけでなく、醜さ

           「きら星きらり」坪井 聖【読書記録4】

           「風の歌を聴け」村上 春樹【読書記録3】

          あらすじ大学の夏休み、海の見える街に帰省した主人公。行きつけのバーで友人と語らいつつ、そのバーで出会った女性と親しくなる。 お互いに惹かれつつ、ほろ苦くも忘れ難いひと夏の思い出となる。 感想(ネタバレ有り)・主人公はどこか飄々としており、まさに風のように掴みどころがないかのように感じられる。刹那的でありながら、つい色々なことが頭をよぎって思い悩んだりする感じは、若き日の青春を味わっているかのようで面白かった。これを期に村上春樹さんの作品を読んでいきたい。 ・さらっと村上

           「風の歌を聴け」村上 春樹【読書記録3】

           「シャンティ」佐野 しなの【読書記録2】

          あらすじ大都市ブローケナークを牛耳るマフィアの一角、ファルコファミリーの依頼を断ったことで目を付けられたサンガ。見せしめとして自身が働く叔母が経営する店を燃やされ、最愛の妹までも奪われてしまう。 生きる意味を奪ったファルコファミリーのディーノに復讐をするべく、敵対する「白蛇堂」の一員となり闇へと誘われていく。 感想(ネタバレ有り)・曲の「シャンティ」を元としており、とことどころに歌詞が散りばめられている。ここにこの歌詞を出してくるのかという驚きと曲の雰囲気をそのまま小説に

           「シャンティ」佐野 しなの【読書記録2】

           「テスカトリポカ」佐藤 究【読書記録1】

          あらすじ突如、敵対するカルテルによって家族と住処を奪われてしまい、命からがら故郷のメキシコを脱しジャカルタへと逃れたバルミロ・カサソラ。 家族の仇とカルテルの復興のために、情報と資金を集めようと暗躍する。その最中に出会った、日本人の臓器ブローカーと結託して新たなビジネスを確立いていく。 敵カルテルだけでなく仲間からも、その残忍さと冷酷さを恐れられていたバルミロの魔の手が、故郷のメキシコから遠く離れた日本へとせまる。 感想(ネタバレ有り)・なんといっても残酷な描写が多い。特

           「テスカトリポカ」佐藤 究【読書記録1】