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 「風の歌を聴け」村上 春樹【読書記録3】



あらすじ

大学の夏休み、海の見える街に帰省した主人公。行きつけのバーで友人と語らいつつ、そのバーで出会った女性と親しくなる。
お互いに惹かれつつ、ほろ苦くも忘れ難いひと夏の思い出となる。


感想(ネタバレ有り)

・主人公はどこか飄々としており、まさに風のように掴みどころがないかのように感じられる。刹那的でありながら、つい色々なことが頭をよぎって思い悩んだりする感じは、若き日の青春を味わっているかのようで面白かった。これを期に村上春樹さんの作品を読んでいきたい。

・さらっと村上春樹さんの経歴を見た感じだと、このデビュー当時はジャズやアメリカ文学に傾倒していたようで、本書の登場人物の掛け合いなどから映画のようなユーモアが見受けられる。まず、始まりが「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な文章が存在しないようにね。」といったふうにどこか決め台詞的なセリフが所々に出てきて面白いなと感じた。

・さて「風の歌を聴け」を読むと思い起こされるのが、村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」だ。同じような年齢とデビュー時期でありながら、二人の青春の捉え方が全く違うことに驚く。「風の歌を聴け」は軽快さと自由であり、ほろ苦くも楽し気な印象を受ける。それに対して「限りなく透明に近いブルー」では、将来の不安や社会への懐疑、現状に対してのやるせなさなど暗い印象であった。ただ、この二作品の背景には社会への諦観みたいなものを感じた。それぞれがその社会にたいする答えが違っていて面白かった。

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