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月山馨瑞の小説集

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昔書いていたフィクション。おもしろいよ
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#短編小説

#9 サニー 6,7

 6    父さん、母さん、栄治兄さん、恵子姉さん    この手紙が届いた時、私はおそらく自…

月山馨瑞
5年前
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#9 サニー 5

5    三十分程走らせたところで、急に景色が拓けた。  そこにあったのは、紛れもない幼少…

月山馨瑞
5年前
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#9【短編小説】サニー 4【全8編】

    4    僕がこれまでの人生で海へ行ったのは一度きりである。それは、僕が小学三年…

月山馨瑞
5年前
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#9 サニー 3

  3  途中でスマートフォンに電話がかかってきたが、これを僕は無視した。これは完全に忘…

月山馨瑞
5年前
3

#9 サニー 2

 2  べランダから見える空には少し雲が流れているようだった。  まるで美しく澄んだ水た…

月山馨瑞
5年前

#9 サニー 1

 1    桜の花びらが散って地面に染みをつけていた。  土曜日の朝、僕が目覚めて最初に行…

月山馨瑞
5年前
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#10-5 昏と揺「E章(矢口アキ)」/「F」【男装女装の短編】

 どこまで話を省略したらいいんだろう。  うん、まずそうだな。  ええと、私が目を離したスキにミズキが部活を抜け出した。  アイツは防具を外していて、着替えとかも持って行ったから、帰ったのかもしれないと思った。  それで私は慌ててミズキを追った。それに関してのてんやわんやは省略しよう。顧問の先生に気持ち悪そうなフリをしたのも、着替える時に袴の裾を踏んで床にすっころんだのも、ミズキのスマホに電話を何度もかけて走り回ったのも、つまらない話だ。  それで、待ち合わせをする事になっ

#10-4 昏と揺「D章(志田ミズキ) 」【男装女装の短編】

 僕達は社会の孤児だ。  ベッドに入って寝るまでの間、僕は様々な事を考えてしまいしょうが…

月山馨瑞
5年前
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#10-3 昏と揺「C章(矢口アキ)」【男装女装の短編】

 道着と袴を着て、正座をし、防具と面を付けた時、  アタシは徹底的にキモチが高揚する。  …

月山馨瑞
5年前
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#10-2 昏と揺「B章(志田ミズキ)」【男装女装の短編】

 僕が女装をしないと精神の安寧を図れないと確信したのはいつ頃からだろうか。  僕が姉に、…

月山馨瑞
5年前
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#10-1 昏と揺「A章(矢口アキ)」【男装女装の短編】

 九月の中頃日曜日。  いつものように賑わう片田舎のショッピングモール。  その一角でア…

月山馨瑞
5年前
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#8 きっとかき氷売りの方が似合う君へ【短編】

 小説を書くより街でかき氷を売る生活の方が時々良いように感じる。  僕は一台の屋台車を運…

月山馨瑞
7年前
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#6 機械仕掛けの冬【短編】

(共同テーマの「能力もの」で書いた短編小説です。2016年冬執筆)     1 《二〇X四年…

月山馨瑞
5年前
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#4 #thinkingwristcut【短編】

(2016年6月に大学サークルで書いたものです)  若者の間で最近、リストカットというものが流行っている。  リストカットというのは手首にカッター等で傷をつける行為だ。若者という言葉、あるいは最近という言葉を規定する事は難しいのだけれど、少なくとも、リストカットは僕らの間を含めた東京全土の間で流行っていて、気づいた時にはそこにプレイとして存在していた。  あくまでリストカットはプレイとして——すなわち病んだ精神によって及ぼされたものではなく単なるファッションとして——流行し