ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用
↑の本の原著「The Alliance: Managing Talent in the Networked Age」の出版が2014年。
豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が終身雇用の限界を述べる5年前です。早い。
昨今では、リモートワークも相まって、組織と個人の関係性はさらに変化しています。
今回は、そんな今だからこそ注目したい一冊。「ALLIANCE アライアンス―人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」を紹介します!
本書のテーマ
本書のテーマは、組織と個人が(終身雇用ならぬ)「終身信頼」関係を築くことにあります。
かつての終身雇用関係では、入社から定年まで働き続けることを前提としていました。だからこそ、個人は組織に忠誠を尽くし、組織も個人に長期的な投資をすることができたわけです。
ところが、時代が急速に変化するようになり、組織も柔軟性を重視する必要が出てきました。
日本の場合、解雇規制が強いのでここまで極端ではないかもしれませんが、今後はありうる状況だと思います。
それに対して、本書では「アライアンス」という関係を提案しています。
この「アライアンス」という関係性を実現するための手法が、本書では事例を交えて紹介されています。
コミットメント期間の設定
アライアンスを実現する上で、組織と個人はコミットメント期間を設定します。
コミットメント期間のコンセプトは、個人が「ミッションを期限内に成し遂げることに専念し、そこに個人の信用をかけている」というものです。
永続的な雇用期間を前提とするのではなく、一定のコミットメント期間の積み重ねによって関係性をつくっていきます。
本書では、このコミットメント期間の設計を「ローテンション型」「変革型」「基盤型」の3つのタイプに解説しています。詳細はぜひ読んでみてください。
社員ネットワークの活用
本書では、社員ネットワークの活用についても取り上げています。
具体的な手法としては、社外との交流やソーシャルメディアの活用、卒業生との関係構築です。
組織と個人が「終身関係」であるからこそ、社外との交流に対してポジティブであるともいえるでしょう。(むしろ推奨している)
個人的な感想
コミットメント期間や社員ネットワークの活用を前提とした組織の在り方は非常に興味深かったです。
ただ、日本で組織と個人が対等に「アライアンス」を結べるケースはまだまだ限られるかな?と感じました。
この話をどうしたら日本でも裾野の広い話として展開していけるのか。
今年、サイボウズでは「正社員・非正規雇用」の呼び方を「無期雇用・有期雇用」に変えました。
この無期雇用・有期雇用という発想は、本書のコミットメント期間に繋がるものだと思います。
いきなり全てを変えることはできなくても、呼び方から変えていくだけでも日本的な「アライアンス」が浸透するきっかけになるかもしれません。
終身雇用の限界をネガティブなものとして捉えるのではなく、新しい働き方の幕開け!と考えていきたいですね。
【監訳: 篠田真貴子さんの記事】
頂いたサポートは書籍代の一部として利用しています🙇♂️ ※たけぶちは、Amazon.co.jp アソシエイトメンバーです。