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格差社会まみれの絶望しかない世界に、僕たちは生きている


『無理ゲー社会』ってなかなかいいセンスのネーミングをつけましたね。
だって内容を読んでみると、ほんとにこの世の中は無理ゲーだわって思わされましたもの。
プロローグの時点から、日本の若い年代の人たちの間では、「安楽死・尊厳死」を認める法律を作ってくれ! と声を上げている方が結構いらっしゃるようで。
給料も低くて毎月生きていくのがやっとなのに、プラス親の介護とかもやんなくちゃいけない、共働きでなんとかやっていける程度なのに、子供を作って大学まで通わせられる余裕がない、など多くの理由が挙げられている。
たしかに自分一人で生活してなんとか貯金ができるかな? くらいの人が大半だろう中で、介護なり育児なり自分以外の人の面倒も見ないといけないとなれば、「もう無理!」となる人がいるのはよく分かる。
自分もそうです。
まあ僕の場合は自分の面倒しか見たくない、というのもありますが、大体の人はそうかもしれません。
ということで、こんなにも苦しい生活をこれからもずっと続けていくのかと考えると、苦行で絶望するより安楽死で希望を得たいという結論になり、安楽死を望む声が出ているということでした。
一部の声が抜粋されていることでみんながそう感じている、と思いがちだが、実際アンケートの中で何割の人がそう思っているのか割合が知りたいところ (もしかしたら載っていたかも…) 。

しかし、そもそもなんでこんなに行きづらい世の中になったのか、というのはわかりやすく本書の中に順番を追って書かれているので、詳細は書かない。
というか情報量が多すぎて、自分ではうまくまとめられないし、まとめる気にもなれない。
じぶんのなかでかんぜんにりか自分の中で完全に理解できているかというと、そうでもないので恥ずかしいところなのだが…。
まあつまり超簡単にまとめると、「自分らしく生きよう」という思想の世界が出発点となって、いろいろなひずみを生み出し、社会がより複雑になり、格差社会が生まれ、底辺に追いやられた人たちが行き場を失い、生きることが苦しくなっている、という負の連鎖にとらわれてにっちもさっちも行かなくて絶望している、ということ。

「自分らしく生きよう」というのは個人一人ひとりの生き方を尊重しよう、ということ。
一人ひとりは考え方も感じ方も人の数だけ違うので、それぞれに合わせようとすると人間のキャパも政府・制度のキャパもオーバーしてしまう。
そんなに一人ずつ対応を変えるのはクソ面倒だということで、人間関係を深入りしようとする人は少なくなり、友達よりも家族や恋人などつながりが深い人とだけ付き合おうとする。
そうなると狭い人間関係で完結することになり、人類全体で見ると、人間関係は希薄になる。
しかし恋人を作ろうとする場合にも障害はある。
結婚する相手には経済的に安定している人がいいと思う人は多いだろう。
生物学的にも子供を生み育てる女性は、男性の経済力によって共働きをするかしないかによって変わるため、より安定できる人を選ぶ。
今は女性進出によって自身でも稼き余裕のある人は、男性を外見で選ぶ人も多いだろう。
となると、経済力もあり外見もいい男性がモテることは必定で、条件を満たしていない人は選択肢からあぶれることになる。

経済力を左右するのは、一般的に高学歴が支配しており、偏差値の高い大卒以上でなければ、高い給与がもらえない社会は未だに健在である。
とはいえ、現在は企業も日本的雇用環境が維持できないため、高学歴でも非正規社員に甘んじている割合が多い。
今後フリーランスなども増えてくるだろうが、それはそれで熾烈な競争社会になり、格差は拡大する。このまま資本主義社会が広がれば、ますます大金持ちと低所得者の格差は広がり、学歴もなく所得も少なく外見もそこそこの非モテは増加し、一部の富裕層で勝ち組達が性愛を独占することになるだろう。

経済格差と恋愛格差は地続きにつながっており、「自分らしく生きる」こともままならない人が増え、こんな希望もない世界で生きるくらいなら死んだほうがマシだ…となる。
さらに人生 100年時代なのだ、先は長い。
ざっくりと書いてみたものの、世の中はもっといろんなことが複雑に絡み合っている。
今はもう変わったが、前トランプ政権が意味するところ、映画『ジョーカー』が示唆する低階級の絶望などが興味深い。
こんなにお先真っ暗な世界でも、どうにか人類は生きていかねばらない。
人が生きる社会にどうすればよいか、多数の政策も考えられているようだが、実現するのはいつになることやら。

「自分らしく生きよう」とする社会は、すべてが自己責任の社会だ。
学歴が低いのも、所得が低いのも、今の状況に甘んじているのも、すべて自分の努力が足りない結果だからだ。
なかなか厳しい世界じゃないか。
確かにそりゃあ死にたくもなる。
まさに攻略ルートのない「無理ゲー社会」だ。
とはいえ自分でできることは自分で変えようとしないと何も始まらない。
今よりは少しでもマシになるにはどうしたらいいか、考えるのを止めてはいけない。
「諦めたらそこで試合終了ですよ。」名言ですね。

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