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包摂の転機~人口減少時代の労働市場改革と新たな共生社会の展望【第二章】多元共生への新パラダイム②「社会統合モデル」

【第二章】多元共生への新パラダイム②「社会統合モデル」

【1,307字】
包摂の転機~人口減少時代の労働市場改革と新たな共生社会の展望【第二章】多元共生への新パラダイム①序論

【前回から続きます】

人口減少という統計的事象が、労働市場、地域社会、外国人受け入れ政策、文化的アイデンティティ、技術革新といった多面的な領域と絡み合い、社会全体を根底から組み直す契機となっている点を踏まえると、私たちには新たな理論的レンズが必要です。

 「社会統合モデル」は、人口減少という歴史的転換点において日本社会を再解釈し、単純な労働力不足の補完策にとどまらず、多元的な要素を包摂する新たな社会空間を構築するための理論的視座と考えています。

 従来の日本社会、私が外国人就労者支援活動を通じて感じて観察してきた日本社会。

 この従来、現在の日本社会は、「民族的な均質性」や特定の文化的前提を無意識的な基準とし、外国人労働者や多文化的背景を持つ人々を周縁化しがちな傾向が色濃くしています。

 その結果、人口減少が顕在化する以前から存在していた多様性への潜在的抵抗や心理的バリアが、深刻な労働力不足や地域活性化の停滞を招く一因となっていたと考えられます。

 「社会統合モデル」が意図する狙いは、こうした「同質性」依拠型の社会像を抜本的に再編し、外国人労働者や異文化背景を有する人々を、単なる補助的リソースではなく、地域コミュニティや経済活動を活性化する「新たな社会的資本」として再評価することです。

 言語、習慣、宗教観、価値観など、さまざまな文化的差異を包含することで生じる新たな知見や創造性は、特定集団内部での画一的発想を超えた発展可能性をもたらします。

 このモデルにおいては、社会統合は「質的均一性」ではなく、「多様な要素を内包しながらも統合性を維持する動的な関係性」として捉えられます。

 その実現には、地域社会、企業、教育機関、さらには行政機構や市民団体など、複数のアクターがそれぞれの専門性や強みを活かして、共に新たな社会環境を創り上げていく必要があります。

 たとえば、地域社会の方向性は、外国人住民、そして日本人住民もが、日常生活を営みやすいインフラ整備やコミュニティ形成を支援し、企業は国際的人材活用戦略を立てる中で多様なチームビルディングや相互学習の場を提供していく地域社会の構築です。

 また、教育機関は多文化共生のための人材育成やトレーニングを行い、行政機関や非営利組織は生活相談や多言語サポートといった受け皿づくりに貢献していきます。

 外国人生活者が多く居る地域社会では先端的先駆の地域社会です。日本の各地にこの実例も多く存在しています。

 「社会統合モデル」は、こうした多様なアクター間の協働によって、異質性や差異を排除するのではなく、むしろその積極的な受容と活用を通じて、社会全体が新たな活力と柔軟性を獲得し得ることを示唆いたします。

 まとめとして、このモデルは、人口減少時代の日本社会を、今まで培われてきた均質性志向の価値観から脱し、複数の文化的要素が共存し、相互補完的に発展しうるダイナミックな集合体へと再構築するための理論的フレームワークなのです。


【次回に続きます】


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