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包摂の転機~人口減少時代の労働市場改革と新たな共生社会の展望【第二章】多元共生への新パラダイム①

【第二章】多元共生への新パラダイム①序論

【1,162字】

包摂の転機~人口減少時代の労働市場改革と新たな共生社会の展望【第一章】日本の人口動態や労働市場の変遷〜歴史的連続性③

【前回から続きます】

私の認識では、現在起こりつつある変化が決して偶発的なものではなく、戦後から積み重ねられたダイナミックな歴史の連鎖であり、その中には、人海改革や内部労働市場モデルといった過去の遺産と経験が、未来を拓くためのヒントとして潜んでいることを見逃してはならないことにあります。

 第一章において私たちは、戦後から現代に至るまで、日本がどのように人口動態の変化と労働市場の再編に直面してきたか、その大局的な歴史的趨勢を明らかにしました。

 焦土からの再建期に人海改革による大量動員が行われた戦後復興、豊富な若年労働力を内部化し、終身雇用や年功序列といった特徴的な慣行をもって経済成長を実現した高度経済成長期、オイルショックやバブル経済の崩壊を経て、非正規雇用の拡大や地域・性別・年齢間での格差が顕在化した停滞の時代、そして少子高齢化・グローバル化・テクノロジー革新が複雑に交差し、従来のパラダイムが揺らぐ現在へと至る道筋は、決して単純な発展や劣化の物語ではなく、複層的で動的な社会変革の歴史そのものであります。

 しかしながら、第一章で明らかになったのは、こうした連続性や断絶性が描き出す歴史のパノラマ自体が、「なぜ今、こうした複雑な局面に直面しているのか」「これからどのような社会像を構築し得るのか」という核心的な問いに対して、なお十分な説明力を有していないという事実であります。

 時代ごとに形成され、崩れ、再生されてきた雇用モデルや社会慣行、政策や制度、それらを支える価値観と実践の総体は、もはや単なる事例列挙では捉えきれないほど複雑化しているのです。

 人口減少という統計的事象が、労働市場、地域社会、外国人受け入れ政策、文化的アイデンティティ、技術革新といった多面的な領域と絡み合い、社会全体を根底から組み直す契機となっている点を踏まえると、私たちには新たな理論的レンズが必要です。

 つまり、この歴史的背景を踏まえつつ、同時代的な課題を整理し、将来構想へとつなげる知的枠組みを提示することが、今や必然とも言えます。

第二章は、そうした問題意識に応えるための試みです。

 ここでは単なる状況分析ではなく、理論的基盤を確立することによって、歴史的連続性や社会的複雑性を解読し、将来像を構想する視点を提供していきます。具体的には、私自身の独自の概念装置ともいうべき「社会統合モデル」、「包括的労働市場理論」、「地域社会再生とグローバル人材活用の交差点モデル」という三つの理論的フレームワークを提示することで、人口減少時代における多文化共生と労働市場再編を新たな光で照らすことを目指します。

【次回に続きます】


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