包摂の転機【最終章】【5】 展望_包摂が日本の国力低下を逆転させる
【最終章】【4】論証なぜ『包摂の転機』たる決定的ポイントか?
【前回から続きます】
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日本が抱える円安やGDPの停滞といった経済的逆風は、一見すると「外国人労働者を安価な労働力として利用しよう」という短絡的な方向へ進みがちです。
しかし、“包摂”の視点からは、外国人の金銭的モチベーションを積極的に取り込むことで、むしろ国力低下を逆転させるチャンスが見えてくるのです。
まず、円安時代は輸出型産業に優位性があると言われていますが、それを本当に生かしきるには、製品やサービスが海外市場で評価されるだけのブランド力と販路開拓力が欠かせません。
そこで外国人材の国際感覚や母国語スキル、海外ネットワークが大いに役立ちます。たとえば、地元企業が作る加工食品や伝統工芸品を、外国人スタッフが自国や第三国のバイヤーに直接売り込み、輸出を拡大すれば、日本の企業収益が伸び、その分を賃金や社会保障に再投資できるというわけです。
こうした流れを作り出せれば、円安の苦境を逆に“追い風”へと変えられる可能性があるのです。
さらに、“外国人×地域”の共同起業によって、新たな市場を切り拓くシナリオも期待できます。
日本で稼ぎたい意欲の高い外国人が、コミュニティ主導のマイクロファイナンスなどを活用し、自分の母国の文化や食材、日本の技術やノウハウを組み合わせた独自ブランドを立ち上げるといった動きが加速すれば、新しい経済活動が生まれます。
自治体や商工会がこうした挑戦を後押しすれば、単なる“個人レベルのスタートアップ”で終わるのではなく、地域経済全体に波及効果をもたらす可能性が高まります。
実際に、一部の地方では外国人起業家が主導する形でリモートワーク拠点を作り、国内外からIT人材を呼び込んで地元に新たな雇用を生み出した事例も報告されており、ここでも外国人材が“稼ぎたい”欲求を原動力としながら地域活性化に貢献する姿がうかがえます。
こうした形で外国人が「日本で十分稼げる」「長期的に生活できる」仕組みが整えば、海外の働き手たちも日本を魅力的な市場だと再評価します。円安による給料の目減りが懸念される中、付加価値の高いビジネスや海外市場での成功に基づく報酬アップが見込めるなら、外国人労働者は短期間の稼ぎにとどまらず、長期的なキャリアを日本で築く意義を見いだすでしょう。
そして企業や地域社会も、海外販路の拡大やブランディング向上、国際競争力の再獲得などの恩恵を得られ、経済と共生の両面で“逆転”を成し遂げる可能性が高まります。
このように、“包摂”を実行することで生じる“転機”とは、「外国人に安い労働力を期待する構図」から「外国人との共創により日本経済をもう一段上に引き上げる構図」への大きな切り替えを意味します。
日本が円安や人口減という難局を抱える中で、思い切った変革を実施する意志があるならば、海外市場に向けた輸出やサービス展開を外国人材と共同で推し進め、適切な利益配分で相互のモチベーションを維持することが可能になります。
結果として、日本国内だけに閉じない世界規模のビジネスモデルを構築するチャンスが高まり、円安やGDPの低迷による国力低下を逆転させる原動力へと繋げられるのです。
私は、“外国人×地域”の共同起業で新市場を開きつつ、円安を輸出拡大の機会に転じる戦略こそが、包摂を実践するための強力なシナリオだと考えています。
ここで重要なのは、外国人材の金銭的モチベーションを軽視しないこと、そして日本企業や自治体が付加価値を高める意欲を失わないことです。
この二つの意欲が結びつくとき、“包摂の転機”が真に機能し、経済と共生の両面での逆転劇が現実味を帯びてくるでしょう。
【次回が最終投稿となります】
『良い人良い思い出を心に残そう』🙋🏼
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