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包摂の転機【最終章】【4】論証なぜ『包摂の転機』たる決定的ポイントか?

包摂の転機【最終章】【3】体現するビジョンへ
【前回から続きます】
【1,472字】

 日本社会が長年抱えてきた外国人労働者の扱いにおいて、多くの企業は、単に「安い人件費」で現場を回すことに固執しがちでした。

 こうした「従来型」の発想では、外国人側の「もっと稼ぎたい」という強い金銭的欲求を十分に満たすことができず、結果として早期離職や流動的な就労を招いてしまいます。

 企業側も、低コストで一時的な労働力を得られたとしても、付加価値を生み出すイノベーションや市場拡大の機会を失いがちで、長期的な利益確保には至らないまま“ジリ貧化”する構造を抜け出せませないと思います。

 こうした行き詰まりは、日本が少子高齢化や円安、GDPの継続的な低下といった厳しい現実を迎える中、いよいよ限界が近づいているといえます。


 一方で、“包摂”の視点から見ると、外国人労働者の金銭的モチベーションを「ただの負担」ではなく、「価値創造へのインセンティブ」として活用する余地が浮かび上がります。

 具体的には、外国人スタッフに対して成果連動のボーナス制度を導入し、売上増や新商品開発、海外販路開拓といった成果の一部を還元する仕組みを取り入れるのです。

 このようなやり方を構築している日本国内の企業は、稀であります。このようなやり方が、転機を生み、外国人は“日本でこそ高収入を得られる”と実感し、長期的に定着したいという意欲が高まります。企業や自治体としても、外国人材の持つ国際感覚や母国のネットワーク、さらには語学力や発想力を、“付加価値の高いビジネス”につなげることで、従来の生産性や利益率を大幅に向上させる可能性が生まれます。


 このような変化は、単なる制度改変や在留資格の話しにとどまらず、意識やマインドセットの転換を伴う点に特徴があります。

 つまり、「外国人=下支えしてもらうだけの存在」という旧来の固定観念を捨て、彼らを“新しい成長モデル”のパートナーとして迎える思考への切り替えが、まさに“転機”としての意味をもってくるのです。

 円安やGDPの低下といった厳しい経済現実に対処するうえでも、国内需要が頭打ちとなるなか、海外マーケットへ打って出る際に外国人材のノウハウや人脈が欠かせない局面は今後ますます重要となると思います。

 そうした国際展開や付加価値型ビジネスへ大胆に移行するためにこそ、外国人との“包摂的”な関係づくりが成否を分ける大きな要因となり得ます。


 さらに、“包摂”と“転機”の結びつきが決定的となるもう一つの理由は、社会全体としての持続可能性にも関わるからです。

 もし外国人を短期的な安い労働力として扱い続ければ、企業の競争力も高まらず、地域社会は人口減少と過疎化から抜け出す道を見いだせないまま衰退していきます。

 しかし、外国人との協働で海外展開やブランド価値の向上を実現し、そこで得られた利益を適切に還元する仕組みを編み込めば、外国人も企業も安定的に成長でき、地域経済の活性化にも寄与することでしょう。

 このように、外国人労働者と日本企業・地域が双方向のメリットを享受する状態を築くには、旧来の制度と意識を根本から変える“転機”が不可欠となると思います。


 この変化こそが真の意味での“包摂”の実行であり、同時に日本社会が直面する危機を乗り越える大きな転機となります。

 企業も自治体も、“下支えしてもらう”だけの姿勢を捨て、“付加価値を共有するパートナーシップ”を積極的に構築すれば、円安やGDPの低迷という厳しい現実を跳ね返す道が開けてくるでしょう。まさにここに、“包摂の転機”たる決定的なポイントが存在するのです。

【次回へ続きます】



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