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地域資源を活かした外国人労働者との共生モデル

【2,086字】
 地域の人口減少や担い手不足が深刻化する中で、外国人労働者の受け入れや定住促進は多くの自治体にとって喫緊の課題となっています。しかし、単に外国人を呼び込み、働き手として活用するだけでは、真の意味で共生する社会は構築されません。

 地域ごとの特性や資源を活かし、外国人労働者が持つスキルや文化と結びつけた新たな価値創造の仕組みを作ることで、互いの学びや地域の発展につながる持続的なモデルが成立すると考えられます。


 たとえば、北海道の農業地域を念頭に置いてみると、農作業の担い手不足に対処するために外国人労働者を導入するだけではなく、外国人自身が持つ伝統的な食文化や調理技術を地域資源と組み合わせる発想が得策だと思います。

 北海道の豊かな農産物は国内外でも高い評価を受けており、それを使った多国籍料理や新しい食のイベントを企画する余地が大きいからです。

 外国人労働者にとっては、自分の母国の料理や文化を披露しながら地域の人々との交流を深める機会となり、地元住民にとっては海外の食文化に触れる楽しみを得ると同時に、道産品の新たな活用法を見つけるきっかけにもなります。また、新たな品種の生育への取り組みを農業普及員のみなさまへ相談する機会になるかもしれません。


 具体的な進め方としては、まず、地方の地域行事への参加率を上げながら、地域に定住する外国人労働者の多様なバックグラウンドを把握し、どのような伝統料理や得意分野を持つかを丁寧にヒアリングすることが出発点となります。

 その上で、農業者、地域農協や地元の食材卸業者、さらには観光関連の事業者などと連携しながら、地域の特産物を活かしたメニュー開発を進めます。

 たとえば北海道の農業地域ならば、小麦やじゃがいも、乳製品など世界的にも支持される原材料が豊富に存在し、それらを活かした料理を外国人労働者たちと一緒に考案することで、ここにしかない新しいレシピや食文化が生まれます。そして、その料理を主軸としたイベントやワークショップを地域住民や観光客向けに定期的に開催し、多文化交流の場を作っていきます。

ここまでは、2年、3年かかるかもしれないです。

 このイベントの演出には、外国人労働者が料理の手順を実演したり、調理の背景にある文化や歴史を紹介するコーナーを設けるといった工夫が考えられます。

 その際、ただ料理を提供するだけではなく、「なぜその食材をこの調理方法で使うのか」「その国ではどのような場面で食べられている料理なのか」といった背景ストーリーを丁寧に語ることで、地域住民の興味を深めることができます。もっと科学的な論証もしながら、様々な学びを吸収する場となるように工夫、深堀りしていくことが私たちには使命のような運びになっていくのではないかと予感しています。

 また、イベント会場に地元農家の直売所ブースを設けたり、農産物の加工品を展示販売、規格外農産品などを販売するコーナーを用意することで、地域の特産物に対する認知度がさらに高まり、地元産業に対する経済的な恩恵も期待できます。


 こうした取り組みは、観光地として有名な温泉地やリゾート地でも応用可能です。外国人労働者が宿泊施設や飲食店で働いている地域においても、同様に彼らが持つ伝統料理や文化を地域資源である温泉観光と組み合わせることが考えられます。

 たとえば、温泉宿での特別な食事プランとして異国料理を提供する「異文化交流の夕べ」を定期的に開催し、その宿に滞在する観光客や地域住民を招く形をイメージすると、単調になりがちな宿泊体験に多国籍な彩りを添えられます。

 特に、温泉と食文化は「癒やし」と「楽しみ」の両要素を備えているため、相互に補完し合うことで地域の魅力をさらに高めることが期待できます。


 このような「地域資源を活かした外国人労働者との共生モデル」は、単なる労働力不足対策にとどまらず、多様な文化や価値観を受け入れる包容力のある地域社会を生み出す可能性を秘めています。

 外国人労働者が自らの存在意義や活躍の場を見いだせる一方で、受け入れる地域側も新しい刺激や学びを得て、従来にはなかった新規ビジネスや観光資源の開発につなげることができるからです。

 また、この仕組みを広域で連携して行うことで、近隣自治体同士の相乗効果が期待できるのも大きなメリットといえます。


 最終的には、個人と地域が相互に利益を得るような関係が形成され、持続可能な共生社会の実現に近づいていきます。

 特定の地域資源と外国人労働者のスキルや文化を掛け合わせることで、当初の想定を超える多面的な効果が生まれうることを踏まえ、今後はさらに多角的な連携策や広報戦略を検討していくことが望ましいでしょう。

 ここで提示した事例は、あくまで料理や観光といった身近なテーマを中心にした取り組みですが、将来的には地域独自の産業や文化を深く掘り下げ、それぞれの外国人労働者が持つ専門技術と結びつけることで、より多様性に富んだ新産業の創出やコミュニティの強化が期待できます。


 このように、地域資源と外国人労働者の文化的背景を融合させたモデルは、単なる労働力の補完にとどまらず、地域活性化の新たな原動力となり得ます。

 共生モデルを実践するためには、地域内外の事業者や行政、NPO、教育機関、そして外国人コミュニティが対等なパートナーとして協力し合う仕組みを整備することが欠かせません。その先にあるのは、多様性を積極的に取り込みながら、人口減少を克服するだけでなく、むしろ新たな魅力を発信できる地方の姿だといえるでしょう。今年はこの共生モデルを北海道で実践することが私の目標の一つです。



『良い人良い思い出を心に残そう』🙋🏼
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