パレスチナ刺繍、インターンがやってみた。
こんにちは🕊
2019年度パレスチナ事業インターン、みのりん です。
紛争や占領が70年以上にわたり続いてきたパレスチナ。
いつも何か悲しいことが起こっているというイメージをお持ちの方も、少なくはないのでしょうか。
その一方、パレスチナには豊かな文化や魅力もたくさんあります。
中でも有名なのは、女性たちによる伝統的な手刺繍。
JVCでは、難民の女性たちによる手作りの刺繍雑貨を日本で販売しています。
紀元前から続いているという、刺繍の文化。デザインや色には一つひとつ意味があり、それぞれ異なる意味を持っているそう。何度見ても見とれてしまいます。
ところでこうした刺繍は一体、どのように作られているのでしょうか。どのくらい難しいのでしょうか。
そうした疑問を解消するため、2月14日にJVC東京事務所でパレスチナ刺繍体験会が開かれました。
参加したのはインターンやボランティア、アルバイトの合計6名。それぞれイヤリングやピアス、ブローチ、コンパクトミラーなどを作りました。
今日は体験会の様子を、みなさまにお届けしたいと思います。
先生は、パレスチナ事業専属ボランティアの小向さん(写真左)。
全体に刺繍が施されたパレスチナの伝統衣装を身にまとい、インターンたちに一から優しく教えてくれました。
用意するもの
パレスチナ刺繍をするために用意するのは、刺繍糸に刺繍用の布、そして縫い針。
これにプラスして、イヤリングやブローチなど、作るものに合わせてそれぞれ必要となるパーツがあります。
小向さんが材料のほか、刺繍のやり方とパレスチナ刺繍の歴史をまとめた冊子をセットで用意してくださっていました。
参加したインターンたち、ここまで自分では何もしていません。笑
迷いに迷う! 糸選び
まず最初に行うのは、糸選び。
これがまた、とても迷うのです…
小向さんが用意してくれた、たくさんの糸。
「何色でも使っていいよ」という誘惑に、インターンたち、組み合わせを迷い続けます。
みんなでお話しながら糸を選ぶのも、一つの楽しみです。
ちなみに筆者は、イヤリングを作ることに。紫とベージュで、耳元から春を取り入れることを意識しました(笑)
果たして完成させることができるのでしょうか…
刺繍、スタート!
糸を選び終わったら、小向さんに教えてらいながら刺繍をスタート。
パレスチナ刺繍は現在、17もの刺繍方法があるとのこと。
その中でも、×の形に刺繍をするクロスステッチが主流だそうです。
小向さんが用意してくれた資料には、数種類の伝統的なパレスチナの刺繍のモチーフが掲載。これをお手本に刺繍を進めていきます。
最初は賑やかにお話ししていたインターンたちですが、だんだん口数が減り、顔つきが真剣に。
布や針と睨み合いを続けているうちに、目や肩にも疲労がやってきます。
「パレスチナの女性たち、すごすぎる…」
そんなため息が聞こえてきます。
そうした中でも、手つきがだんだん「それっぽく」なってきました。
そして、やっと刺繍ができあがりました。
ピアスやイヤリングの場合、約7センチ四方のサイズの小さな布に、ワンポイントの刺繍を入れることになります。
ほんのわずかの面積ですが、これだけでも慣れていないとかなりの労力。あっという間に30分、1時間と時間が過ぎていきます。
ブローチやコンパクトミラーはさらに大きな面積を刺繍するため、ピアス・イヤリング勢の刺繍が終わった後も、暫く奮闘していました。
刺繍が終わった後も…
やっとの思いで形にした刺繍。
ですが、これで終わりではありません。
ここから、刺繍した布を使ってアクセサリーや鏡などを形にしていきます。
特に大変だったのが、ピアスとイヤリング。布をプラスチックの型に包むように縫い、ピアスやイヤリングの形にした後、留める部分のパーツなどをつけていきます。
この作業もとても細かく、数時間かけて刺繍をしてきたインターンたちはまたしても苦戦します。
イヤリングやピアスの下の部分には、ビーズやパールを吊るすことに。
こちらもたくさんの種類を小向さんが用意してくれたため、インターンたちは悩みます。
付けるビーズやパールを決めたら、次は正方形の布を円形に切ります。
あとはひたすら、刺繍した布を縫う作業へ。
やり方のよくわからないところは、小向さんの助けをいただきながら進めていきます。筆者の場合、半分以上は小向さんにやってもらったような…(笑)
布の縫い付けが終わったら、あとは留め具とパール・ビーズをつけて完成です。
ついに完成!
お昼過ぎに始めた刺繍体験会ですが、全員の作品が完成する頃には外は真っ暗。
写真上がイヤリング、左下がピアスで、右下はブローチです。
それぞれ、自分で選んだ糸で刺繍した作品に大満足!
英語ボランティアの後藤さんは、昨年夏にパレスチナを訪問。現地でお土産として刺繍雑貨を買って、その虜になったそうです。
ですが「実際体験してみると想像以上にとても細かく時間のかかる作業」と感じたとのこと。「パレスチナの女性がいかに丹精と手間をかけて技術を磨いて作ってるんだなと実感しました。現地で買ったお土産、大切に使っていきたいと思います」と話していました。
「刺繍を手でやるのは楽しかったけれど、とても大変だということを実感しました」。そう語るのは、パレスチナ事業インターンの太田さん。普段の活動の中で、パレスチナから送られてきた刺繍雑貨の管理や販売を行っています。
「インターンの最初の時期にやっていたら、もっと刺繍商品の貴重さがわかり良いなと思います」
先生に聞いた! パレスチナ刺繍の魅力
パレスチナ刺繍の魅力はどこにあるのでしょうか。先生の小向さんにも聞いてみました。
小向さんは「奥深い歴史を持つ刺繍文化は他にあまりないと思う」と話します。
かつては十字軍やオスマン帝国などによる侵略を受け、現在も様々な形で人びとが困難な状況に置かれているパレスチナ。刺繍は「波乱万丈の歴史と共に発展し、時には歴史の争いの中で刺繍が女性の盾となることもありました」
また、パレスチナ刺繍は「色の組み合わせも、柄の組み合わせも無限大」。
「女性たちが大事にしてきた伝統や歴史、アイデンティティーが、刺繍が続いてきた背景にあること」も魅力の一つだそうです。
これまでにも数回、刺繍体験会を企画してきたという小向さん。
「いきなり政治とかから入るよりは、文化から触れた方がパレスチナに触れたくても触れられない人でも一歩踏み出せるかな」と思いを話します。
同時に、ただ刺繍をするだけの講座にならないように注意もしているそうです。
「せっかくパレスチナの刺繍を学ぶのに意味がないので、作り方のレジュメ以外に、歴史などについて書いたレジュメを用意しました」
6ページにわたるレジュメ(冒頭参照)には図や写真も多数含まれており、たくさんの情報が分かりやすく整理されています。
参加者と先生、みんなで撮った一枚。
東京にいながら、パレスチナをより近くに感じることができたひと時でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました😌
小向さんは春に、一般向けにパレスチナ刺繍の体験会を行う予定だそう。初心者でも一から教えてもらえます。
みなさまもパレスチナのことについて学びながら、オリジナルの刺繍雑貨を作ってみてはいかがでしょうか。
ご案内はJVCのホームページに掲載する予定です。ぜひご確認ください。
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JVCでは、パレスチナの刺繍雑貨を日本で販売しています。
作っているのはベツレヘムの難民キャンプに暮らす女性たち。経済状況が悪化するなか、刺繍雑貨は安定した家庭の収入につながっているそうです。
オンラインストアでも購入可能です。
実際にパレスチナで刺繍をしている女性たちは、どのような生活をしているのでしょうか。こちらからご覧いただけます。
JVCがパレスチナでどのような活動をしているのか、もっと知りたい! という方は、ぜひこちらも合わせてご覧ください。
パレスチナってどんなところ? と思ったみなさま。インターンが実際に足を運んで、レポートした記事もあります。
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