農家が伝授する、質の高い農産物の見分け方 【新商品「カシスとりんごのジャム」を発売しました】
こんにちは! 北海道北斗市のブルーベリー・カシス栽培農園「ハウレット農園」を営んでいる道産子カナダ人農家Justinです。
ノートにアクセスしてくださりありがとうございますm(_ _)m
今回は、僕が就農する前、北海道各地の農家を回って研修をしていた頃に学んだ、美味しくて安全な野菜と果物の見分け方について書いてみようと思います。
農園を一緒に営んでいるパートナーの友達で、青森県で減農薬のりんごや桃を栽培しているおぐら農園さんとコラボした商品「カシスとりんごのジャム」についてもちょっとだけ。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
農業の研修時代に発見した「美味しくて安全な野菜・果物の共通点」
話は、僕がしばらく手つかずの状態になっていた両親の農園を引き継ぎ、立て直すために色々と準備していた頃に遡ります。
「これから篤農家(こだわりのブランド作物を作って自分の手で販売する小規模農家)を志すなら、まずは先輩方の作っているものを色々食べてみるべきだろう」と思って、北海道各地を旅しながら、主に小規模な農家さんの元を訪ねていた時期がありました。
行く先々で食べさせてもらう生産物・加工品は、どれもブランドとして確立されている「本物」の食材ばかり。
「こだわり抜いて作った野菜や果物は、これほどまでに市場で流通しているものとレベルが違うのか」と衝撃を受け続けるなかで、僕はある法則を発見したんです。
それは、本当においしい農産物は、小ぶりで色が薄いものが多いということ。
言い換えれば、僕が訪れた小規模な農家さんで生産されていたこだわりの農産物は、一般的なスーパーで陳列されているような「大きくて色の濃い、見た目の良い野菜・果物」では全然なく、むしろ、大きさはバラバラだし、形はいびつだし、色もなんだか薄くて、見栄えの良くないものばかりだったんです。
農産物は小ぶりなものを選んだ方が良い
プロの有機農家さんにとっては言わずもがなの常識ですが、(品種ごとに大きさが異なるので一概には言えないものの)本来のサイズよりも大きい農産物は、肥料の力によって肥大化したものと考えていただいて概ね間違いありません。
一般的な農家としては、肥料をたくさん与え、できるだけ短期間で出荷できるようにして生産量を上げた方が、同じ面積の土地でもより多くの収益を見込めます。
しかし、肥料をたくさん使うと、それに比例して農薬もたくさん使わなければならなくなりますし、大きく育った農産物のなかには、余分な肥料が残っていることがあります。
肥料で大きくなったということは、その農産物が自分自身の力で実を育てたわけではないので、当然の帰結として香りが薄まり、水ボケしたような食味になってしまうんです。
農産物は濃すぎない色のものを選んだほうがいい(硝酸イオンについて)
こちらも、メカニズムは上記と全く同じ。その農産物が本来望まない肥料を与えすぎた結果が、濃い色となって表出します。
色が濃いということは、それだけ過剰な肥料分が実に残っている可能性が高いので、こちらも安全で美味しい農産物を見分ける確かな指標になります。
肥料を大量に与えられた農産物には、硝酸イオン(窒素)が多量に含まれています。窒素は苦味成分でもあるため、そうした野菜は、本来の味わいよりも苦くなる傾向にあります。
子供が緑の野菜を過剰に嫌うのは、一般的に流通している野菜に含まれた硝酸イオンの苦味成分に、ピュアな舌が素直に反応しているからということなんです。
ちなみに農業の世界では、自分が作った農作物に栄養成分がどれだけ含まれているのか、専門機関で測定してもらえるコンテストが全国各地で定期開催されているのですが、ビタミンやミネラルなど一般的な栄養素の他に、硝酸イオンの項目もセッティングされている場合がほとんどです。
硝酸イオンの項目だけは数値が低ければ低いほど良いとされているので、五角形のグラフで表した場合、一箇所だけ(硝酸イオン)が凹んでいて、他の4項目がマックス値に近いと、理想的な農産物として高い評価を得ることになります。
隠蔽された日本の農薬・化学肥料使用規制の緩さ
日本における農薬・化学肥料の使用量についても少しだけ。
農薬・化学肥料の使用規制が先進国中トップクラスで緩い日本ですが、モンサントに代表されるアメリカのバイオ化学メーカーに飼い慣らされている日本政府・大手マスコミの口から、その事実が語られることはまずありません。
海外では大昔に使用禁止となっている化学肥料や、使用量を極力控えるようにレギュレーションが組まれている危険度の高い農薬も、生産者にどんなものなのかきちんと説明せず、消費者の見ていないところでジャブジャブ使わせているのがありのままの現状です。
見た目だけはやたらと良くて、中身が全然伴っていない、いわゆる偽物の農産物がマス市場で大量に出回る背景には、こうしたメカニズムが隠されているんです(もちろん、十把一絡げに全てが偽物だとは言い切れないですが)
全力でりんごの味がする、おぐら農園の減農薬栽培りんご
今回「カシスとりんごのジャム」でコラボさせていただいた青森県のおぐら農園さんは、減農薬のりんごと桃を栽培している農家さん。
元々はパートナーのお友達で、僕たちが心から尊敬する先輩篤農家さんたちです。
りんごとはそもそも、収穫期に紅葉が始まるような老熟した枝から収穫すると一番おいしいらしく、おぐら農園さんでは収穫量が少なくなってしまっても、味を優先して老熟した枝から収穫するように心がけているそうです。
その他にも、土づくりや摘果などにおいてもたくさんのこだわりがあって、なるほど、そこまでして手間をかけて作っているから、こんなにもおいしくて安心できる素晴らしいりんごが作れるんだな〜と、納得しきりでした。
↑おぐら農園さんの詳しい情報はホームページでもご覧いただけます。
今回新発売した「カシスとりんごのジャム」は、おぐら農園さんのりんごの濃い味わいに、当園のカシス(「ボールドウィン」という野生に最も近い希少な品種のみを使用)の酸味とコクがプラスされた自信作です。
カシスとりんごの旨みをできるだけ瓶のなかに凝縮させているので、最初は何にもつけずにそのまま食べてみていただきたいです。
https://howlettfarm.thebase.in/items/70058995
https://howlettfarm.thebase.in/items/70065640
オトクな5本セットもありますので、たくさん使いたい方はこちらがおすすめですよ。(商品代合計¥7,000で送料無料になります)
生産者に直接問い合わせるのが、信頼できる農産物を見つける一番の方法!
最後に、あらゆる情報が溢れかえっていて、特に食べ物に関しては何を信じるべきなのか見極めるのがなかなか難しい昨今、玉石混交のなかから自分にとって信頼の置ける作り手を見つけ出すには、やはりそれぞれの農家さんメールして、栽培・製造に関する疑問点やこだわりについて直接聞くのが一番確実だと思います。
僕たち農家は、栽培しているものに対するこだわりが強ければ強いほど、やはり消費者の方々にはその思いも余すことなくお届けしたいと思っているので、質問をいただけるのはとても嬉しいことなんです。
専門的な質問じゃなくても、「栽培をする上で一番大切にしていることはなんですか?」とか、「どうして農薬や肥料を使わないで栽培しているのですか?」みたいな、ざっくりした質問も◎。
もちろん、僕もそういった質問はウェルカムですし、きっと他の農家さん(特に無農薬栽培や小規模栽培)も喜んで答えてくれるはず。
作り手と食べ手がもっと深い部分で共感し合えるようになったら、きっと食産業はもっと良くなると思うんですよね。
というわけで、今日はこの辺で。最後まで読んでくださりありがとうございましたm(_ _)m