小日向ジュンコ

つらつらと思い出すことなどを書いておこうと。 色々と使い方を模索中…

小日向ジュンコ

つらつらと思い出すことなどを書いておこうと。 色々と使い方を模索中…

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ふとした時に思い出すことの多いことよ

新しいことは覚えられないのに、昔のことはおかしいくらいに細かく覚えている。 ふだん、生活していて忘れている時間の方が多いのだが、ふとした時に思い出し、それが結構な重量で流れ出すことがある。 それを書き留めておきたいと思い、少しづつここに残してみることにした。

    • 犬も猫も飼う前のはなし

      隣家との間の塀は、半ノラ猫の通り道。 庭で放し飼いされてるお家があったので、そこの猫かなあ、と。餌だけあげてらっしゃる感じ。 ハチワレやホワイトソックス、黒(ボス)、サビ、茶トラ…いろんな猫が通る。恋の季節はかなり騒がしい街道となる。 その中でも毎日見かけたのがサビ猫で、声を掛けると反応するので「ワサビ」と名付けた。 「ワ〜サビ」と言うと、立ち止まって見つめてくる。ただそれだけだ。 その頃からだっか…うちの庭が猫糞被害を被ることになりまして。 毛モノは見るのはかわいいが

      • 夏の終わりに思い出すカブと薄青いメガネ

        稲穂が風になびく風景を見ると、思い出す場面がある。 小1の頃だったと思う。 片道2キロほどの通学路で、帰り道によく会うおじさんがいた。彼はある職業の人で、特殊なスーパーカブに乗っていた。 帰り道に大人とすれ違う時は必ず「ただいま帰りました」と挨拶するよう、当時の小学生は教えられていた。カブはいつも後ろからゆっくりと近づき「おかえり」と言う。「ただいま帰りました」と返す。 ある夏の日、一人で帰っていると家まで送ってあげよう、と言う。 右手に工場と小さな川、左手はどこまでも

        • これ、どうなのよ

          きのうのはなし、である。 定期検診の胃カメラ検査、の前の健診に行ってきた。 今どき問診もスマホ or タブレットなのね。 それはいいんだが、はい、いいえ、しかないのがなあ。 「金属アレルギーですか?」 …そうだと思ってたけど、モノによるというか、どうやら過敏症。 だから、ここは「いいえ」になるの? 去年は「はい」にしたけど。 「アルコールを摂取しますか?」→「はい」 →「毎日」、「週に2〜3日」、「週に1日」、「月に2、3度」… 週に5日ってのを追加して欲しいのよ

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        ふとした時に思い出すことの多いことよ

          犬も食わない

          昔のおとこは、向こうから歩いて来るやつにメンチ切って喧嘩売りそうな雰囲気を出す癖に、近づいて自分より大きいと分かった瞬間、ボク何も思ってませんし言ってませんよ〜って顔して「オイ、行くぞ」って急に角曲がったりする。 買ってきたごはんには文句を言い、作ったご飯は素直に食べるけど、ご飯粒が残ってたりする。寂しがり屋の癖に素直じゃない。でもそこが好きだった。 次のおとこは、声のデカい女と「犬が好きテンション」が高い女が嫌いだった。後は真面目なおとこも。 真面目な奴に限って絡もうと

          坂本図書

          都内某所。 数年前から密かに準備されていた「坂本図書」へ、先月行ってきた。 それまでに本を読んでおこうと思ったのに、間に合わず。 特に『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』は読んでいると心が泣いてしまい、飼い猫が心配して飛んでくる。そうすると嫉妬深い犬も飛んできて、読書どころではなくなる。 小学生の頃からのファンだったし、数日前から緊張して血圧も上がり気味で本も半分ほどしか読めず、特に下調べも何もせず出かけた。 重厚なドアの奥。居並ぶ本棚の間を何も考えず、本の背を流し、そ

          小沼丹って

          つるこ、って分かる人いるかな。 つるんこ、って言う人もいるかも? 運動場の表面の砂を払って、固い地面を出し、その表面を撫でていくとパウダー状の白い土が取れる。柔らかくてさらさらして気持ちいいやつを小学生の私たちは「つるこ」と呼んでいたのだが。 昨日の朝。洗濯物を干す前に、うっかり俎板削りを始めてしまった。 20年は使っている俎板、定期的に削りに出していたのだけど近所の職人さんが亡くなられたり、コロナ禍中にシルバー派遣センターが遠方に統廃合されてしまって困っている。 さて

          春のドライブ

          FM802(ハチマルニ)という関西ローカル局がある。 曲の掛け方、合間の喋り方が当時は斬新でかっこよくて。 ヘビロテという単語を世に定着させたのは802のヒロさんちゃうか?ってくらい、大学生だった私の中でもヘビロテFM局であった。 802ステッカーを車に貼って運転する。生番組中に車のナンバーを発表された人は局に電話をし、ジャンル不問で好きな曲をリクエスト出来、その曲は必ず掛けて貰える、という催しがあった。それで、老いも若きもステッカーを貼ったもんだ。私も父と共有の車に貼った

          春のドライブ

          ひとり

          高校まで暮らした町の駅近くに小さな喫茶店があった。 駅から伸びるメインの通りに面した、洋品店の2階。 燻しタイルの床を少し歩いて、厚い木の取手のついた重いガラス戸を開けると、左手に三席ほどのカウンターと、右に一人客用のテーブル席が二つ、三つ。奥は通りを見下ろす明るい場所に四人掛けと二人掛けのテーブルがあったと思う。 既に一人でウロウロする、当時の田舎では変わった部類の女子高生だった。初めて行った日も一人だったと思う。 扉を開けるとカウンターの中の

          芋のつる

          記憶と香りは結びついている。 ある香りを嗅いで思い出し、あるいは事柄から香りを思い出す。 場所は心斎橋にあった喫茶店。 クラシックがかかり、白いカバーの椅子は古いものだった。だからか、白いカバーの椅子を見ればコーヒーの香りを連想する。 そこは買い物の途中で休むのにちょうどいいお店で、シフォンケーキが美味しかった。 あの日も程よく席は埋まり、三々五々、昼下がりのひとときを味わっていた。だが不意に全員が同じ動きをし始める。 まず向かいに座る友の顔を見る。眉が上がり、すぐ眉間