見出し画像

犬も猫も飼う前のはなし


隣家との間の塀は、半ノラ猫の通り道。
庭で放し飼いされてるお家があったので、そこの猫かなあ、と。餌だけあげてらっしゃる感じ。

ハチワレやホワイトソックス、黒(ボス)、サビ、茶トラ…いろんな猫が通る。恋の季節はかなり騒がしい街道となる。
その中でも毎日見かけたのがサビ猫で、声を掛けると反応するので「ワサビ」と名付けた。

「ワ〜サビ」と言うと、立ち止まって見つめてくる。ただそれだけだ。

その頃からだっか…うちの庭が猫糞被害を被ることになりまして。
毛モノは見るのはかわいいが、糞はまた別である。


土の入ったプランターで💩をするから、濡れ縁の下に置いてみたが、それでもする。夜の間にする。濡れ縁に足跡がついていることもあるので、雨の日も来ていた様子。

それでプランターを縦に置き、わざと少しはみ出させてみた。

足音を聞いた夜、2階のベランダからそっとうかがうと、濡れ縁から尻を突き出し、もりもりと下のプランターに落としている。どうしてもプランターにしたいのね。

ベランダから猫語で喧嘩をふっかけたら、催し中に飛び上がってひっくり返った。

後日倍返しされた。

これではいかん、完全に我が家はトイレになっている。


餌場でトイレはしないから、いっそのこと庭を餌場にしてみるか、と餌を置いた。最初は、プランターに。すると餌は食べずに、糞を別の場所でしていた。その糞を片付けた跡にまた餌を置く。これを数回続け、餌を少量入れた皿を濡れ縁の端に置いた。減らなくても毎日新しいものと取り替えた。

昼間は涼しい顔をして塀を通り過ぎてゆくワサビ。
「ワサビ!」
と声を掛けると顔を見はするが、すぐに去ってゆく。

数日後、餌が減っていた。そして糞を見かけなくなった。
1週間かけて皿を少しづつリビングに近い方に移動。さらに1週間、そのまま続けた。

そして食べてる途中に窓越しに見かけても逃げなくなった。
ある日、写真撮るから待って、と言うと待ってくれた。

「アンタさあ、もううちでトイレしないでね。エサももう今日で終わりだよ、ご主人から貰いな」

というと、なーん、と一声鳴いて去って行った。
この後、塀を歩く彼女を見かけたのは数えるほど。庭に降りてくることはなかった。


写真は2010年12月4日とあるので、もうとっくに土に還られたであろう。

ワサビのことを思い出しのは、昨日ふてぶてしい態度で庭を横切る猫がいたから。それは、サビ猫だった。

我が家には今、4歳になったサビ猫がいる。
まだ乳離れできてないない頃に、捨てられていた子だ。


サビ猫には縁がある。
子供の頃に助けられなかった小さい命も、サビ猫だった。

その話もいつか、書き残しておきたいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!