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『わたくし、つまりNobody賞』は人文学ジャンルの芥川賞?

いろんな常識や習慣に
ちょっとした疑問をもって
哲学的に考えながら楽しんでいる…。

そんな永井玲衣さんの
『水中の哲学者たち』晶文社。
この本は、清涼剤というか
癒やしをくれる哲学エッセイです。

この本が、
今年、いちばん、すぐれた
人文学ジャンルに贈られる
「わたくし、つまりNobody賞」に
選ばれました。

発売は2021年ですが、
じわじわと重版を重ね、
2024年にとうとう、
人文学ジャンルの芥川賞?のような賞に
選ばれたのは、すごい。

私は去年になんとなく
書店で出会い、
そのカバーがなんとなく
心惹かれる仕上がりで、
かつ「哲学エッセイ」という
オビのコピーに、
ぐぐぐ〜んと惹かれました。

去年のオビには
穂村弘さん、最果タヒさんが
推薦コメントを寄せています。
(今は「わたくし、つまりNobody賞」
受賞と大書されたオビになってます)
穂村さんのコメントは
「小さくて、柔くて、
遅くて、弱くて、
優しくて、地球より
進化した星の人と
お喋りしてるみたいです」。

さすが、穂村さんだ、
この本の特徴をよく言い得てますね。

それにしても、
ユーモラスで、面白い本。
いわゆる硬い「哲学」ではなく、
何気ない存在感の、
空気みたいなエッセイなんです。

こんな風に、
気取らず、
カタにハマらず、
哲学という概念すら縛られず、
ふんわりしたエッセイで
思考を記録していく感じ。

私は思いましたね、
僕もこれ、やりたい!と。
(笑)。

永井玲衣さん。
これからが楽しみです。

ところで、
わたくし、つまりNobody賞?
どこかで聞いたことがあるぞ!

あ、川上未映子が受けている!
2008年、この賞の
第一回受賞者でした。

ヨシタケシンスケさんや
栗原康さん、武田砂鉄さん、
荒井裕樹さん、上間陽子さん、
伊藤亜紗さんらも受賞していました。
人文学の錚々たる顔ぶれです。

そして、
この賞を贈呈しているのは
哲学者、池田晶子氏の意志を
引き継ごうとして
形成された団体でした。

池田晶子さんも、
日常の言葉を使って
哲学を語ろうとした人でした。
哲学用語は一切、使わなかった。

日常の言葉で、
深いテーマ、難しいテーマを、
おもしろく、わかりやすく
書いていけたらいいですね。

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