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【対談】大江健三郎と古井由吉の文学談義はオススメです。

古井由吉。

最近、やっと古井由吉さんの
良さが分かってきた。
読んで面白いと思うようになった。 

あんなに、ピース又吉直樹が
10数年前から推していた
独特のスタイルを持つ、
作家、古井由吉。

最近、そんな古井由吉と
大江健三郎の対談集を読んでいて、
オトクな対談に出会いました。

それは、日本の
近代・現代文学を象徴する
明治から昭和までの、
短編小説、35作品について、
古井由吉と大江健三郎が
感触や寸評を語り合う章が
あったんです。
『文学の淵を渡る』
第2章「百年の短編小説を読む」。

二人が批評を加えるのは、
森鴎外の短編から始まり、
徳田秋声、
島崎藤村、
正宗白鳥、
永井荷風、
志賀直哉、
谷崎潤一郎、
葛西善蔵、
里見弴、
岡本かの子、
内田百閒、
芥川龍之介、
牧野信一、
嘉村礒多、
井伏鱒二、
横光利一、
川端康成、
尾崎一雄、
川崎長太郎、
林芙美子、
永井龍男、
堀辰雄、
井上靖、
円地文子、
大岡昇平、
太宰治、
檀一雄、
武田泰淳、
島尾敏雄、
安部公房、
吉行淳之介、
三島由紀夫、
色川武大、
開高健、
中上健次、
こうした作家たちが書いた
短編小説について、
忖度ない話を交わしているんです。
どうですか?
贅沢なラインナップでしょう。 

そんな短編小説に対して、
そっか、プロの作家はこんな風にして
作品を読み込むのか、とか、
この流れにこの人物キャラクターは 
うまく機能していないね、とか、 
とにかく、大江健三郎と古井由吉の
ストイックな独特な読み方が
書いてあるんです、約72ぺージで。
小説家同士による、
小説家のための読書講座って、
案外、そんな本って少ないですから
貴重ですよね。

だから、プロ作家の読書力を
知りたい方には、ぜひぜひ
オススメしたい1冊です。

ただ、あくまで大江さんや古井さんも
生身の人間だから、偏りもあります。
だから、二人に完全同意する必要はない。
プロはこんなに自由自在に
作品を読み込んでいくのね、
と耳を傾けるだけでいいのです。

ちなみに、私は色川武大の愛読者ですが、
色川武大に対しては、
大江さんも古井さんも
ピリ辛な解説を話していて、
ちょっと傷ついてしまった(汗)。

まあ、大江さんや古井さんは
あまりに優等生的なタイプで、
色川武大のようなアウトローは
好みではないのでしょう(笑)。

昭和を代表する文学者二人の
短編文学談義は貴重な読書体験でした。

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