【ミニスカート】谷川俊太郎がトラウマになった日の思い出
詩人、谷川俊太郎さんが亡くなった。
私の中で、
谷川さんの詩に
救われた体験はないのですが、
痛い?痛すぎる体験がひとつあります。
ちょうど国語の教科書で、
谷川俊太郎さんの詩が出てきました。
タイトルは『生きる』。
たしか、小学4年?6年の頃かしら。
その『生きる』という詩では、
「いま生きているということ。
それはミニスカート。」
という言葉が出てくるんです。
授業では先生がそこを読んでいきます。
すると前の席にいた私の背中に、
後ろからクラスメイトが
消しゴムの欠片を
ビュンビュン飛ばしてきたんです。
先生も不審がり、
振り返ったくらいでした。
でも何が原因か一番よく
わかっていた私は、
先生に助けを求めることもなく、
黙ったまま消しゴムを浴び続けました。
悔しかった。
悲しかった。
心が痛かった。
原因はスカートでした。
ちょうど、その国語の前の授業が
体育でした。
あの頃は〜45年くらい前は〜
女子は私の教室で着替えする
ことになっていた。
代わりに、私たち男子は
隣りのクラスで着替えをすます。
まあ、そんな習わしで…。
体育の授業も終わり、
着替えして、教室に戻ると、
当たり前だけど、
私の机の上にも、どの机の上にも、
女子たちの私服が置いてある。
私は何を思ったか、
(未だに自分でもわかりません)
自分の机の上にあったスカートを
履いて、みんなの前で、
フラメンコよろしく
クルクルまわってみたんです。
たぶん目立ちたがり屋の
一瞬の行為だったはずですが、
体育から戻ってきた男子たちから
ワイワイガヤガヤ、
喝采を浴びたと思いきや、
それは私への冷やかし笑いでした。
そして、ふと我に返りましたが、
もう時すでにおそし!
私はスカートを履いています。
今も覚えているんですが、
その時のスカートは
茶色のコーデュロイの膝丈でした。
そうして履いた時に
気づいたのですが、
それは、女子グループで
一番の秀才にして美貌の持ち主の
女子のものだったんです。
ありがちですが、彼女は
同級生男子から妬まれてました。
男子のクラスメイトが
冷やかし笑いを浴びせてきたのは、
そんな女子のスカートを履いたから、
だったのです。
「はい、スッカート〜!
はい、スッカート〜!」と笑われ、
私は泣きながら、
慌ててスカートを脱ぎました。
この一連のエピソードは
時間にして1分?でしょうか。
いや、長い短いの話ではないですね。
私がしたことは変態行為だし、
女子当人に知れたらたいへんです。
恥ずかし過ぎた私は
何もなかったことにしようと
次の授業の教科書を机に出しました。
それが国語だったこと。
それに、谷川俊太郎さんの詩が
載っていたこと。
それには、スカートという言葉が、
出てくること。
そんなことみんながみんな、
偶然が偶然を呼んで、
一生忘れられない体験を
招き寄せたのです。
これもまた、生きるということ?
だったにちがいありません(汗)。
あの時のスカートの女子さん、
勝手にスカートを履いて
本当にごめんなさい。
思春期とはいえ、
気持ち悪いことをしました。
申し訳ありませんでした。
本当は私もあなたのことが
好きだったからかもしれません。
ところで、あなたは今、
生きていますか?幸せですか?
あ、肝心なことを忘れてました。
谷川俊太郎さん、たくさんの詩を
ありがとうございました。合掌。