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【対談本】小林秀雄には、対話本が4種類もある。オススメはどれか?

批評の神様と言われた
小林秀雄には、対談本の文庫が、
4冊あります。

まず1冊は、
新潮文庫『直観を磨くもの』。
2冊めは、
講談社文芸文庫『小林秀雄対話集』。

どれを読もうか、買おうか?
どれがいちばんいいのか?
気になりますね。

対話相手は誰にするか、
といった辺りは、
さすが小林秀雄だけあって、
実に各界の実力者が選ばれている。

一冊めの新潮文庫では、
対談相手は、どんな人たちか?
湯川秀樹、物理学
三木清、哲学
三好達治、詩人
梅原龍三郎、画家
横光利一、作家
折口信夫(しのぶ)、古代研究
大岡昇平、小説家
福田恆存、作家、翻訳家
永井龍男、作家兼編集
河上徹太郎、文学研究

この本では、対談相手は
ほぼ、人文系ばかりですね。
その上で、目玉の人として、 
ノーベル物理学賞を日本で初めて
授与された湯川秀樹博士との
長めの対談が収録されてますね。

文学の泰斗と、
科学の泰斗がぶつかると
どんな対談になるのか、
読者もこのカードに一番期待を
膨らませますね。

さて、2冊めの講談社文芸文庫
『小林秀雄対話集』では
どんな人が対話相手に
選ばれているか?というと、
坂口安吾、小説家
正宗白鳥、批評家
青山二郎、美学研究
大岡昇平、小説家、
河上徹太郎、文学研究
三島由紀夫、小説家、
江藤淳、批評家
中村光夫、文学研究
福田恆存、小説家、
田中美知太郎、ギリシャ研究

1冊めと、2冊では、
重なって登場する人がいますが、
内容はちがっています。

ただ、一冊めは、
湯川秀樹博士を除いたら、
三木清らは先輩すじになりますが、
他は文学の世界で、
小林秀雄より後輩が多いから、
緊迫した対話にはならない。
穏やかな空気になっている。

そうした意味では、
講談社文芸文庫の方は、
青山二郎や正宗白鳥といった、
小林秀雄の先輩筋や、
あるいは、系譜がかなり違う
三島由紀夫や坂口安吾との対談が
興味をそそられますね。

という意味では、
講談社文芸文庫『小林秀雄対話集』に
軍配を上げたいところです。

それにしても、
この2冊を読めば、
豪華な顔ぶれが並んでいるから、
教養がつきそうですね。
いや、それはないか!(笑)

本を読むだけで教養が 
身につくはずがありません。

色んな人間としての経験をしながら、
苦悩しながら生きていって、
こうしたクオリティを欲しがる時に
読むべき瞬間が来る。
教養は、身につく時にこそ
読むべきなんですよね。 
そんな時に熟読玩味したら、
血肉となり教養になるにちがいない。

教養。それはいったい、 
どんなものなのでしょうね??

教養とは何かを追求していく
その態度こそ、また喜ばしからずや。

さて上記2冊は、対談集ですが、 
小林秀雄には、 一対一の対談本が
まだあります。 
『小林秀雄・江藤淳 全対話集』
中公文庫、という本があります。
これは、師弟関係にあった
2人の文芸批評家の対談を
ぜんぶ集めた画期的な一冊です。
発売になった年には、
「本の雑誌」によって
ベストブックに選ばれています。
この対談本では、
時に刺し合うような緊迫した場面も
出てきます。
昔の文学者は熱過ぎて、
ケンカみたいな議論をしたものです。
最近は文学者も丸くなりました(笑)。

それから、
数学者、岡潔(きよし)との
一夜限りの対話集があります。
『人間の建設』新潮文庫。
これは今も新潮文庫が
めちゃめちゃ押しているので
書店でよく目にします。
天衣無縫の数学者、 
岡潔さん対話相手では
小林秀雄も緊張してるように見える。
対話では岡潔の中にある
科学の世界に圧倒されていきます。
文学の達人と数学界の天才のこの企画、
実に貴重な対談となりました。
セッティングした編集者には
お礼を言いたいくらいです。

4冊ある、小林秀雄対談本では、
『小林秀雄・江藤淳対話集』か
『人間の建設』か、
この2冊がオススメです。


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