【読む】作者のプロフィールを知らないで、読書はできない…
エッセーなり小説なり、
作者を知らされないで読むとします。
ちょっと感動するとします。
後から作者は、オウム真理教の
死刑囚・麻原だと言われたら?
私はたぶん、嘔吐するでしょう。
でも、オウム真理教がまだ
小さな規模の頃の、
麻原が書いた初期の文章は、
自己啓発本や仏教的人生論として
普通に中身があるように読めます。
(あるように読んでしまいます)
ふだん、読書というのは、
中身を読んでいるようでいて、
実はその著者の研究成果や
体験や心情を信じ、対話しています。
その本の語り手が三島由紀夫だと
知った上で安心して読んでる。
そのメッセージが
心理学の河合隼雄先生のだとわかって
安心して説得されている。
時にある人生論エッセーを読んで、
それが無差別殺人犯の書いた
ものだと知らずに読書を
楽しんでしまったら?
読書とは、実にあやふやな信頼関係で
成り立ってるのかもしれません。
先日、母が急に高血圧の病気に
なってしまった。
びっくりした私は、
夜中に開いたフェイスブックで、
高血圧に効くという塩の記事を見つけ、
記事をコピーし、母にメールした。
ところが、翌朝、母に電話したら、
さっそく笑われてしまった。
もう今どき、高血圧に塩を!なんて
もう十年前のやり口よ、と。
確かに十数年前から、そういう
治療方法もあるけど、それなりに
副作用もあり、病院の医師からは
ネットやチラシで回ってくる
血圧に関する民間療法には
気をつけてね、と言われてるらしい。
おまけに、母は健康オタクで、
高血圧に効くという塩の
効果と副作用はよく知っていた。汗。
知らなかったのは、私だけ…!
笑うべくは、
フェイスブックの広告記事を読んで
信じて疑わず、母に送った私の浅さ。
あんた、物事っていうのは、
誰がそう言ってるか!見極めるのが
大事なんやで、と母は嬉しそうに
笑ってた。
「ネット記事でもSNSでも、
なんでも鵜呑みにしてないか?」
確かに、ぐうの音も出ない。
「あんた、難しそうな本ばかり読んでも、
ネット記事をまるごと信じてたら、
まだまだやで(笑)」
うーん。返す言葉はありませんでした。
ふだん、本やブログやネット記事は、
気に入ってる人のは信じて読み、
気に入らない人のは最初から読まない。
これでは、情報過多社会を生き抜くのに、
あまり賢いとは言えない…。
どんな本や記事やブログを読む時も、
語り手とは、
気持ちの半分はニコニコ握手し、
もう半分は疑う心を持つように!
…似た言葉をヨーロッパの賢人の
名言で読んだことがあるなあ…
あ、いけない、こうしてなんでも、
賢人の名言を有り難がるのが、
私の悪いクセでした。
うーむ、まだ母を追い越しては
いなかったらしい…(笑)。