【読書】新潮文庫の100冊は、夏の夜の祝祭でした。
夏の風物詩といえば、
なんといっても、
新潮文庫の100冊。
あちらこちらの書店で
開催されますからね。
思えば、中学や高校時代は
このセレクトを眺めるだけで、
胸がワクワクしました。
あの100冊を読破する猛者も
中にはいましたが、
私はそんな根性がありませんでした。
ただ眺めているだけで幸せでした。
オリンピックは見なくても、
書店に並ぶ新潮文庫のセレクトは
もう見ているだけで、
気持ちが昂ぶる時間でした。
それから、
簡単そうな、星新一短編集や
ヘミングウェイ『老人と海』
カフカ『変身』
夏目漱石『こころ』
宮沢賢治『銀河鉄道りの夜』などを
ちょびちょびと
かじり読みしてましたね。
それにしても、
この文庫フェアのおかげで、
(新潮社の誰がやろうと
言い出してくれたんでしょうね?)
夏は文庫、という固定観念を、
思春期の頃には、
植え付けてくれてたことには、
感謝しかありません。
普通、固定観念を植え付けられたら
あまり嬉しくないのが相場ですが、
夏の文庫100冊は、
ちっとも不快じゃないですね。
100冊というキリの良さ。
読書と夏休みとの相性抜群さ。
セレクトに残った本たちだけが持つ
エリートな香り。
そうしたさまざまな要素からなる
夏の祝祭。
夏の夜の夢。
思えば、15才頃からの
セレクトリストを
記録しておけば良かったなあ。
毎年、何が加わり、
何がセレクトから外れたか?
観察するのがまた、楽しい。
やはり年につれ、
もうセレクトから追い出された
古典の名作もあれば、
現代的な視点から考えたら
なくてはならない
ミステリーやエンタメ作品もある。
伊坂幸太郎、
辻村深月、
湊かなえ、
西加奈子、
原田マハ、、、、。
一方で、平成後半には、
エンタメが主流になり、
戦争小説はセレクトには
入らなくなってきた。
かろうじて、
井伏鱒二『黒い雨』だけが、
まだ毎年、セレクトされている。
大岡昇平『野火』や
原民喜『夏の花』は
もう夏の100冊には入らなくなった。
さて、今年は、
どんなセレクトになるのかしら?
7月1日から始まるらしい。
今からワクワクが止まりませんね。